IDC Japanは3月5日、グローバルセキュリティ市場におけるテクノロジー/産業分野/企業規模別の最新予測を発表した。2024年の世界セキュリティ市場は2385億ドル(約35兆6755円)、国内市場は初の1兆円超えの支出額になるという。

国内セキュリティ市場ユーザー支出額予測:産業分野セクター別、2022年〜2027年(10億円)

IDCは、セキュリティ関連のハードウェア/ソフトウェア/サービスについて26の産業分野、5の企業規模およびコンシューマー市場に対して、国内市場を含むグローバルな支出額分析を「IDC Worldwide Security Spending Guide 」として提供している。

2024年2月に発行した同製品では、セキュリティ市場のグローバル市場支出額は2024年に前年比11.5%増の2385億ドル、2022年〜2027年の年間平均成長率(CAGR)11.7%で成長し2027年に3,289億ドルに達すると予測。また国内市場の支出額では、2024年は前年比7.6%増の1兆455億円を予測し、初めて1兆円を超える支出額規模に達すると予測した。

2023年の国内セキュリティ市場は、コロナ対策の変更によって企業のオフィス回帰の動向はあるものの、在宅勤務やリモートワーク、インターネット経由での企業システムへのアクセスが継続。EDR/Server Securityを含むモダンエンドポイントセキュリティ市場が拡大し、これと連動してID管理市場も成長した。加えて、企業/団体に対するランサムウェア攻撃などが数多く報告され、脆弱性管理対策市場が成長した。

このような背景から、IDCではセキュリティリスクの増大や個人情報保護/コンプライアンスへの対応として、AIを活用したサイバーセキュリティ対策が拡大。国内セキュリティ支出額は2022年〜2027年のCAGRは7.2%で成長し、2027年に1兆2488億円に達すると予測した。

IDC Japan Software/Service Solutions グループディレクターの眞鍋敬氏は、次のようにコメントしている。「2023年に発生した公共機関や企業を標的とした大規模なサイバーセキュリティインシデントは、企業の事業遂行に影響するばかりではなく、社会機能に大きな影響を与えることが明白になった。デジタル社会の進行は企業/団体から個人に至るまでサイバーセキュリティリスクが及ぶことが広く認知されつつある。一方でセキュリティ人材とスキルの不足は国内市場での課題となっており、セキュリティリスクは拡大傾向にある。国内セキュリティ市場では生成AIを含むAIによる人材/スキル不足の補完を行い、リスク診断、攻撃検知や対策/復旧の自動化などのセキュリティリスク低減施策が今後重要になる」