「理想のケース」が付属! 三菱電機の冷蔵庫「MZシリーズ」製造現場で進化を見た
三菱電機は新型6ドア冷蔵庫「MZシリーズ」を1月26日に発売しました。その発表にあたり、冷蔵庫を製造している静岡製作所で新製品のお披露目、新製品と同社調理家電を使ったリレー調理の実演、さらに製造現場の見学もしてきましたので、その内容をレポートします。
MZシリーズは、定格容量602LのMR-MZ60K(実売価格48万4000円・税込)、540LのMR-MZ54K(同45万1000円)、485LのMR-MZ49K(同42万9000円)の3機種。それぞれ、グランドリネンホワイト、グランドクレイベージュ、グランドアンバーグレーの3色展開となります。三菱電機では2022年に高級冷蔵庫のフルモデルチェンジしているため、今回はマイナーチェンジという位置付けとなり、本体カラーの変更ほか、使い勝手の面で改善を施しています。
自由度の高い整理ケースを新たに付属
まず、使い勝手で改善したのは、「思うまま整理セット」を付属したことです。「思うままフリーケース」の大と小、フリーケースに使う「思うままストッパー」の3点セットで、冷蔵室の棚はもちろん、野菜室の段違いケース、冷蔵室ドアポケットにも収納できる整理ケースです。
「思うまま整理セット」がハード面で整理整頓をアシストする一方で、ソフト面でもアシストをし、省エネの手助けを行うのも改善ポイントのひとつ。三菱電機は昨年、ハイエンドモデルに「A.I.予報」という機能を搭載しました。センサーでドアの開閉状況を分析し、開けている時間が長くなってきたら庫内が整理整頓できておらず、無駄な電力を消費していると、冷蔵庫ドアの操作パネルに通知を出すものです。三菱電機の公式アプリにて冷蔵庫内の整理整頓術を紹介しているので、通知を受けたユーザーは動画を見ながら庫内の整理ができるという仕組みです。
前年モデルでは、通知を受けた後に整理整頓をするかしないかはユーザー任せでしたが、新製品ではA.I.予報で通知を受けた後、扉を開けている平均時間が減ったら整理整頓ができたと判断し、扉パネルおよびアプリに成果を評価する仕組みを導入しました。扉オープンの長さに合わせて優・良・可の3段階で評価されるのですが、これによりユーザーは整理整頓のモチベーションを維持できるという仕組みです。なお、新製品の発売に合わせて、「思うまま整理セット」を使った整理整頓術の動画も公開しています。
トレンドに合わせて自然の要素を取り入れた新カラー
新しいカラーバリエーションはインテリアのトレンドに合わせた色を採用したと三菱電機は説明しています。近年、「バイオフィリックデザイン」という自然の要素を住環境に取り入れることで快適性や生産効率が向上するという考えが住居やオフィスインテリアデザインに採用されていますが、コロナ禍において在宅時間が増えたことでより一層、この傾向が強まりました。そのような中、冷蔵庫はLDKの中で最も存在感の強い家電であり、インテリアと融合したデザインが求められているため、新製品では自然の要素を取り入れたカラーを採用したとのこと。
MZシリーズはインテリアのトレンドである低彩度・中明度を基本とした3色。グランドアンバーグレーは琥珀(アンバー)をイメージしたダーク調の落ち着いたデザイン。コンクリート打ちっぱなしや鋳物など、モノトーンインテリアを好むユーザーをターゲットにしています。グランドクレイベージュは粘土(クレイ)をイメージしており、色のトーンを抑えたナチュラルな空間に合います。こちらはステンレスのキッチン、木目の家具、レザー張りのソファを好むユーザー向けに。グランドリネンホワイトは麻布(リネン)をイメージしており、明るく生活感のある空間にマッチします。観葉植物や木目調家具、布・フェルトの家具といったナチュラル志向のユーザーをターゲットにしています。
「思うまま整理セット」で得られる3つの効果
新製品説明に続いて、生活情報発信系インフルエンサーでNadia Lifestyle Artist/整理収納アドバイザーのみなさんが登壇し、冷蔵庫の整理整頓がいかに大切かを解説しました。
「冷蔵庫を整理整頓することで、時間的効果、経済的効果、精神的効果の3つの効果が得られます。時間的効果というのは、探している食材がすぐに見つかること。経済的効果は、ドアの開閉時間が短くなることで省エネになること。食材が見つけやすくなることで同じものを2回買うことを防いだり、賞味期限切れで食材を廃棄することも防げるという経済的効果もあります。
最後の精神的効果は、自分時間ができてゆとりが生まれ、探しものが見つからないストレスから解放されることです。冷蔵庫の整理整頓方法でよくあるのが市販のケースを活用することなのですが、自宅の冷蔵庫に合った理想のケースを探すのがまず大変。今回、純正品の『思うまま整理セット』を付属するのはとてもありがたいことです。まさに主婦の味方だと思います」
その後、みなさんは「思うまま整理セット」の活用方法を紹介。バターやジャム、ヨーグルトを収納した朝食セットにまとめたり、半端野菜を収納したりするほか、納豆やカニカマ、チーズなどバラバラになりやすい食材を収納するなどの例を紹介してくれました。
冷蔵庫とIHクッキングヒーターのコンビで時短・おまかせ調理が進化
続いて、Nadia Artist/三菱家電アンバサダーの西岡麻央さんが、三菱電機の冷蔵庫とIHクッキングヒーターを使ったリレー調理を実演しました。三菱電機の冷蔵庫と言えば「切れちゃう瞬冷凍A.I.」。冷凍肉に包丁がさくっと入り、カット野菜も解凍せずにほぐせるのが特徴。一方、IHクッキングヒーターは業界で初めてグリル部にレンジ機能を搭載し、時短調理・おまかせ調理がより進化しています。
「生の鶏肉は包丁で切りにくいのですが、『切れちゃう瞬冷凍』で冷凍したままの鶏肉はサクサク簡単に切れます。あらかじめカットして冷凍していた野菜も、使うぶんだけ凍ったままパラパラとフライパンに投入することができて本当に便利。食べきれなかった野菜を瞬冷凍しておけば、時間がある時にミックスベジタブルを作るという工夫もできます。私はもう7年くらい三菱電機の冷蔵庫を使っていますが、まとめ買いしてきた肉と野菜を冷凍保存して全て使い切るという循環が出来上がっており、幸せ度がとても高いのです」(西岡さん)
調理は瞬冷凍した肉と野菜をフライパンに入れ、IHで炒めた後に牛乳と小麦粉、ショートパスタを入れて少し煮込み、チーズを乗せてフライパンごとレンジグリルに投入。あとはレンジとグリルのリレーにより、煮込みから焼き上げまでを自動で行います。
「IH、レンジ、グリルをリレーすることで、ショートパスタは下茹せずに乾麺のままフライパンに投入できるので時短になります。レンジ調理は短い時間で食材の中まで火を通し、最後はグリルで表面をパリッと焼くので1台で本格的な調理が簡単にできてしまう。また、1台の中で3役こなせるので、IHから振り向いて後ろのオーブンに入れるという動作もなくなり、動線が短くなるのでとてもラクです」(西岡さん)
間違いの出ない生産工程に安心感がある
ここ静岡製作所では1日約1600台、年間約35万台の冷蔵庫を生産し、日本全国およびアジアを中心に世界各国に輸出しています。単一機種を生産する小ロット方式と、複数の機種を1つのコンベアで生産するミックス方式を併用することにより、必要な機種を必要な台数・必要なタイミングで効率的に製造する体制を整えているとのこと。
冷蔵庫の外箱・内箱などの成形は機械で行っていますが、部品の組み立ての多くの場面で人の手が介在しています。ミックス生産ラインでは最大8機種を同時に組み立てることがあるため、部品の取り付けを間違えないように1つのハンガーに1台ぶんの部品すべてを搭載。部品ハンガーと冷蔵庫本体が同じ速度で流れていくなか、作業員は各自決められた部品のみをピックアップして取り付け、最後にゴンドラが空になればミス無く完了という、アナログながら間違いの出ない仕組みを導入しています。最後は人の目で外観検査をした後、全数通電チェックし、メイド・イン・ジャパンの品質を保っているというわけです。
冷蔵庫は今や生活に欠かせない必需品。それゆえに、使い勝手と安心感が重要となってきますが、今回の静岡製作所の見学ではその両方を確かめることができたのが収穫でした。