自転車で通勤や通学している人にとって、向かい風の強い日や険しい上り坂は大敵です。そんな自転車の問題を克服するため、バックパックに仕込んだ電動ダクトファンを展開して自転車を加速させる装置を、オランダのエンジニアリング系YouTubeチャンネル・The Practical Engineerが自作しました。

Nooit meer wind tegen met Electrische Straalmotoren! - YouTube

Transforming EDF Backpack For A Speed Boost | Hackaday

https://hackaday.com/2024/02/03/transforming-edf-backpack-for-a-speed-boost/

The Practical Engineerのエミール氏は今回のプロジェクトのため、電動のダクトファンを2個購入しました。ダクトファンは円筒形のダクトの中にプロペラ状のローターファンを設置し、それを回転させることで推力を生み出します。



次に取り出したのは古いバックパック。



エミール氏は電動ダクトファンを自転車に取り付けるのではなく、バックパックの中に格納し、使いたい時だけ展開する装置を作るとのこと。



イメージとしては、バックパックの形状に合わせたプレートにアームやモーターを取り付け、ボタンを押すと展開してダクトファンが稼働するという感じです。



エミール氏はクラウドベースの3D CADソフトウェアであるFusion 360を使用し、装置の設計図を作りました。電動ダクトファンとバックパック本体にある程度の隙間がないと空気がうまく押し出されないため、アームはかなり広めに展開する必要があります。



アームを折り畳むとこんな感じ。



パーツの一部はFusion 360による設計案の自動生成ツールを使用して設計したそうで、非常に有機的な形状をしています。



エミール氏が自分でこのパーツを製造するのは難しいため、3D CADデータを基にパーツを製造・配達してくれるオンラインサービスのXometryに依頼しました。



Xometryから注文したパーツが届くまでの間に、装置を取り付けるアルミニウム鋼板を成形します。



さらに、アームを取り付ける用の部品も製造し、アルミニウム鋼板に取り付けます。



届いたパーツを開封。



複雑な形状ですが、しっかり設計通りに作られていました。



早速アルミニウム鋼板に電子部品やアームを取り付けます。



全体を制御するコードはChatGPTを使って書いたとのこと。



アームはArduinoで制御します。



いくつもの配線とスレッドをつなぎ、ようやくベースができあがりました。



テストしてみると、ちゃんとアームが横に展開されました。



展開後に電動ダクトファンの向きを変えるための回転もバッチリ。



電動ダクトファンをアームに取り付けます。



これで、電動ダクトファンを自由自在に展開するシステムが完成しました。折り畳んだ状態が以下。



展開するとこんな感じ。



試しにファンを回してみると室内のゴミやホコリが巻き上がり、勢いよく空気が押し出されているのがわかります。



続いて、普段は電動ダクトファンを格納して必要な時に展開できるように、バックパックを改造していきます。



大胆に生地をカットするエミール氏。



実際に装置をバックパックに入れます。



電動ダクトファンが飛び出す横の部分をカット。



横側は大きく開き、電動ダクトファンがのぞいて見えます。



バックパックのベルトに取り付けたボタンを押すと、横から電動ダクトファンが飛び出しました。



横から見るとこんな感じ。



背後から見るとこのようになっています。まるでSF映画の世界のような印象です。



エミール氏は実際に外で自転車をこぎ、電動ダクトファンを試しています。



電動ダクトファンが展開。



ファンが回転して推力を生み出すと、エミール氏がペダルをこがなくても自転車が進んでいきました。



笑顔のエミール氏。



自転車だけでなくスケートボードでも力を実感できるようです。