伊東純也

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「行為」を認めている伊東

 週刊新潮が報じた、サッカー日本代表・伊東純也(30)が性加害で刑事告訴されていた一件。本件について、週刊新潮編集部は以下のコメントを出している。

「本誌は取材の結果、被害女性たちの訴えを真実と確信しております。彼女たちが受けた心身の傷は極めて甚大です。事は刑事事件に発展する可能性のある重大な案件であり、伊東選手、ならびに日本サッカー協会(JFA)はその重大性を深刻に受け止め、被害女性たちに真摯に向き合い、対応すべきであると考えます」

 一方、伊東側は被害を訴えている女性を虚偽告訴で訴えるという事態になっている(女性らの訴える被害の詳細については中編、後編に詳しい)。

 当日、ホテル内で「行為」があったことは伊東側もすでに認めている。つまり、代表戦が行われたその夜、既婚者である伊東が初対面の女性とホテルで行為に及んだかどうか自体は争っていない。伊東側が「虚偽」と言っているのは、主に同意の有無、その一点に絞られるようだ。この構図は、かつて元TBS記者と伊藤詩織さんとの裁判で争われたものに似ているかもしれない。

伊東純也

 人気も実力も抜群の伊東だけに、無実を信じたいという声は大きい。しかし、その中には意図的にフェイク情報を拡散している向きもいるようだ。

 典型は「週刊新潮は伊東には取材すらしていない」というものだろう。

 以下の記事をご覧いただければお分かりの通り、実際には伊東本人、マネジメント担当者、代理人弁護士への取材を申し入れ、事実確認や反論を求めたものの、回答を拒否してきたというのが事実である。
 問題の日、現場に同行し、もっとも事情を知っているはずのマネジメント担当者に至っては、用件を聞いた途端に電話を切る始末だ。

 また、女性の言い分だけしかない、といった批判も的外れだろう。
 これも以下を読んでいただければおわかりの通り、今回、被害を訴えている女性は2人存在している。芸能活動している彼女たちには、所属事務所の社長が同行していた。しかし、途中で伊東側から強引に彼女たちと切り離され、その後に女性らは被害に遭ったというのだ。

「昨年9月以降、伊東らの謝罪を求めてきました」と語るこの社長は「彼女たちをこんなひどい目に遭わせてしまい、申し訳なく、後悔しています」という。

 もちろんこの人物もまた、今回の件の証言者の一人である。

 では「こんなひどい目」とはいかなるものだったのか。「合意だった」という伊東側の主張に対して、彼女らはどう反論しているのか。

 中編、後編では女性らの語る「性加害」の全容について詳報するが、まずは被害女性が今もなおPTSDの症状に苦しめられている事実、そして専門家の見解を紹介する。【前中後編の前編】

※この記事では女性の被害に関する詳細な描写があります。フラッシュバック等の症状のある方はご留意ください。

 ***

 まず問題の日を振り返ってみよう。2023年6月21日未明。場所は大阪・中之島のリーガロイヤルホテルだ。

 前日の6月20日、ともに芸能活動を行っているAさん、Bさんという二人の20代女性は、X氏という男性(Aさんの事務所社長の知人。当時、スポーツ選手のマネジメントを手掛ける「D-Sports」社の社員)の招きで、大阪の「パナソニックスタジアム吹田」で行われた日本代表 VS ペルー代表の一戦を観戦。

 都内で活動するAさんは「仕事につながらないのなら、大阪には行きたくない」と事前に事務所社長に報告。しかし、社長は過去にタレントのキャスティングでX氏に世話になったことがあり、なおかつ今回もAさんの仕事につながるという可能性を匂わされたため、Aさんを大阪に向かわせることにしたという。Aさんは友人であるBさんも誘い、大阪に向かうことになったのだ。

「自発的について行ったわけではない」

 代表戦の後、Aさん、Bさん、社長の3人は、X氏に呼び出される形で、大阪・西区の飲食店を訪れた。そこには、伊東純也や同じく日本代表の前田大然、浅野拓磨らがいたという。

 彼女たちによれば、その店での滞在時間は1時間程度で、

「飲み会はまだ続いていたのですがXさんが“そろそろ行こうか”と言い出して、店の外に出ました」(Bさん)

 伊東、Aさん、Bさん、X氏の4名はX氏が用意したレンタカーに乗り込んだという。AさんとBさんはX氏から「人目につくから、早く車に乗り込んで」とせかされて乗車。一方で事務所社長はX氏に「大丈夫だから」と乗車を拒絶されてしまう。

 つまりここで社長は二人の女性から切り離されてしまったことになる。

 社長の不在に気付き、不安になったAさんが車内から社長に電話を掛けようとしたが、

「Xさんから“事務所の社長には連絡してあるから大丈夫”と止められたんです。車内で“どこに行くんだろう、どこかのバーかな”と考えていたら、伊東さんが誰かと電話を始めて“今から女の子たちとホテルで飲むから”と言っているのが聞こえました。
 今思えば、電話の相手は伊東さんの専属トレーナーの男性(47)だったのでしょう。いずれにしても、私たちはホテルに誘われて自発的について行ったわけではありません」(同)

 しばらくして、4名を乗せた車が滑り込んだ先がリーガロイヤルホテルの駐車場である。伊東はAさんらとスーペリアフロアの部屋に入るのを避けたといい、

「先に私たちがXさんとホテルの宿泊階に上がって、いったん、Xさんが泊まっている方の部屋に入りました」(同)

 ほどなくして、二人がX氏に伴われながら隣の部屋に入ると、そこには伊東の姿があったという。

 二人の女性が訴える「おぞましい性被害」の実態については後編で触れるが、そこで彼女らは意識が混濁した状態で、伊東及び、伊東の専属トレーナーからの性加害を受けたと証言している。

「同意はあった」として示談を求める

 Aさんは昨年9月以降、伊東側に謝罪を求め続け、11月に入ってからは弁護士を通じて話し合ってきた。対する伊東側は、女性との間に性的同意があったと主張し、金銭による示談を提示するとともに、示談が成立した場合の条件に「口外禁止条項」を盛り込むよう女性に迫ったという。反省や誠意が感じられない姿勢に対し、Aさんともう一人、その場にいた女性Bさんの二人は共同で24年1月18日、伊東の刑事告訴に踏み切ったのだ――。すでに警察は告訴状を受理し、大阪府警天満署が担当となっている。

 だがしかし、あまりに辛い経験は、Bさんの心に深い傷を与えた。

「去年の夏頃から過呼吸になる頻度が増えて、あの日の光景がフラッシュバックすることも。昨年11月に心療内科を受診しました」(Bさん)

 診断の結果は〈心的外傷後ストレス障害〉(PTSD)。〈令和5年6月に発生した性被害に起因するものと思われる〉として治療を必要とする状態だというが、

「Aちゃんが刑事告訴するなら、私も一緒に声を上げようと決意しました」(同)

 AさんとBさんは共同で伊東とその専属トレーナーを刑事告訴している。また本件の告訴状は警視庁管内で受理されたが、警視庁が大阪府警と協議した結果、現場となったホテルの住所地を管轄する天満署が担当することになった。

 社長が苦渋の表情で話す。

「彼女たちをこんなひどい目に遭わせてしまい、申し訳なく、後悔しています。そのためXさんとは決別する覚悟で昨年9月以降、伊東らの謝罪を求めてきました」

X氏、伊東はともに取材に答えず

 さる法曹関係者が言う。

「伊東には妻がいるはずですが、Aさんと性的交渉を持ったこと自体は認めている。ただし“性的同意の有無”については争う姿勢のようです。一方、専属トレーナーは性的交渉自体を否定する方針です。問題なのが、伊東らの代理人弁護士がこれまでに2回替わっていること。これでは弁護方針も定まらないのでは」

 実際、1月28日まで伊東の代理人だった弁護士は、

「私は伊東氏やX氏と打ち合わせを重ねてきましたが、弁護方針が折り合わなかったため、代理人を辞任しました」

 また「D-Sports」社を退社後も伊東のマネジメント担当として振る舞うX氏の携帯も鳴らしたが、こちらの取材意図を告げようとした途端に電話を切り、以降、電話には出なかった。

 むろん伊東本人にも個人LINEに取材を試みたが、返答はなかった。

 刑事告訴後も伊東の代理人を務めていた弁護士も、取材に対して事実関係について主張しないまま降りたのは彼自身の言う通りである。今回、女性を「虚偽告訴」で訴えた弁護士は、1月29日以降に代理人になった人物ということになる。

専門家に今後の行方を聞くと…

 性犯罪やセクハラ問題に詳しく、犯罪被害者支援にも取り組む上谷さくら弁護士は、

「女性たちの話の通りに立証できればという前提でお話ししますが、Aさんにお酒を飲ませて、心神喪失ないし抗拒不能の状態に陥らせて行為に及んだ者には旧刑法第178条2項の罪が成立する可能性があります。またBさんはトレーナーの行為が原因でPTSDを患っているので、旧刑法第181条2項の罪に該当する可能性があります。ただし、それらを立証する証拠は過去の同種事例の判例から行為の動画などの客観証拠が決め手となっており、容易ではありません」

 彼女たちの主張に不利に働きそうな事情はほかにもある。二人とも事後に、伊東にLINEで〈おつかれさま〉を意味するスタンプ(Aさん)や〈また飲みましょう〉(Bさん)というあいさつを送ってしまっているのだ。しかし、これについては、

「私たちはなにも好き好んで、伊東さんにLINEを送ったわけじゃない。二人ともトレーナーの男性に“すごい選手なんだから、連絡先を交換しておいた方がいい”などと半ば強いられて、伊東さんにメッセージを送らされただけです」(Aさん)

「半年足らずで打ち明けられるようになったのは早い方」

 上谷弁護士が続ける。

「性被害を受けた直後に、性被害に遭ったという認識が無いことは、よくあることです。なかなか現実を受け入れられない、無かったことにしたいという心理も働きます。だから女性がすぐに警察や病院に駆け込むことは少なく、性犯罪の立証は難しい。今回の女性たちは半年足らずで打ち明けられるようになったということですが、それでも早い方だと思います」

 確かに安倍晋三元総理ベッタリ記者だった人物から性被害を受けたジャーナリストの伊藤詩織さんも、直後に彼にお礼のメールを送っていたが、その後、起こした民事裁判の判決では、被害女性が直後に被害を認識するのは困難で、お礼のメールは被告が主張した“同意の証明”にはならない旨、判断されている。

 司法は彼女たちが苦悶の末に選んだ決断にどう応えるのか――。中編では、飲み会で伊東が放った衝撃発言や、ホテルでの性加害に至るまでの経緯について、彼女たちの証言を報じている。

 また、後編では彼女たちが語ったホテルでの「おぞましい性被害」の全容を報じている。

「週刊新潮」2024年2月8日号 掲載