「私にとって、“ケチ”とはお金を節約するのはもちろんですが、毎日を楽しくするためのものだと思っています」と話す、タレントの松本明子さん。松本さんが普段から実践している、約100個の節約術をまとめた著書『この道40年あるもので工夫する松本流ケチ道生活』(アスコム刊)より、家庭菜園にまつわる「ケチ活」を抜粋して紹介します。

ゴーヤのグリーンカーテンのおかげで夏でも快適な室温に

家庭菜園につくったゴーヤが葉っぱを茂らせて、部屋の窓がちょっとしたグリーンカーテンで覆われるようになったら我が家の夏の訪れ。もちろん、ゴーヤの実もびっしりとなっています。

私はもう10年近く、家庭菜園でゴーヤをつくっています。
最初につくろうと思ったきっかけは、テレビの取材で群馬県に住む節約家のおじいさんにお話を伺いに行ったこと。いろんなお話を伺ったのですが、「緑のカーテンはいいよ。とくにゴーヤはおすすめ」と教えていただき、私もつくろうと思いました。

直射日光をさえぎるグリーンカーテンは夏場、部屋の温度が上がるのを抑えてくれるとのこと。暑がりの夫がいる我が家にはぴったりです。

実際にゴーヤを育ててからは、どんなに暑い日でもクーラーの設定温度が27度で平気。これは、グリーンカーテンの効果では?と思っています。
最近は電気代が高くなってきているので、少しでも電気代を節約するには向いているかもしれません。

日当たりがよく、風通しのいい場所が最適とのことで、家の小さな庭の土を耕し、土をつくるところから始めました。
ホームセンターで苗を買ってきて植え、支柱とネットを用意して、つくりたいカーテンのサイズまで広げて窓際に設置。あとは、ゴーヤのつるが成長してきたらネットに絡めていけば自然と伸びていきます。

最初は初心者の私でもできるのか不安でしたが、毎日、水やりをするなど基本的なことを抑えていればOKとのこと。
虫がつきにくいのと、暑い時期でも枯れにくいそうで、初心者でもかなり育てやすいようです。

家庭菜園では、いろんな作物を選べますが、“ケチ活”視点から言えば、ゴーヤから始めるのは最適。私でも簡単につくれましたから。

実際に植えたのは5月最終週あたり。いつの間にやらどんどんと育っていき、8〜9月中旬の収穫時は、かなりの数のゴーヤがとれました。
おじいさんがおっしゃっていたように、本当に初心者でも簡単につくれるんです。そして私がしていたことといえば、毎日水をあげたぐらい。それでこんなに実がなるなんてうれしい限りです。

それから毎年、5月ごろに298円くらいの苗を3つ買いに行き、必ず育てるようになりました。ちなみにこれまでで一番たくさんとれた年は90本。昨年は60本近くとれています。大きさも長さ25〜26センチとかなり大きいほうで、味は変わらず独特の苦みがあっておいしいです。

実はゴーヤには種類が多く、苦味が少ないものや、グリーンカーテン向きのものなどさまざま。我が家も一時期「ほろにがくん」という苦みが少ない品種を植えていた時期もあったのですが、やっぱり苦みがあったほうがいい!と今では「にがうりくん」一択になりました。
そのように紆余曲折するのも楽しいところです。

ゴーヤはひとつの苗からかなりの数が収穫されることに感動します。だって、1本130円くらいだとしても、60本なので7800円もお得ですから。
もちろん、苗代や初期投資のネットや支柱などもろもろ経費はかかっていますが、それでも絶対につくったほうがいい。私の“ケチ活”ライフには絶対に欠かせないものになりました。

ちなみにこれまでは平均80本くらいはとれていたんですが昨年は60本。気温などもあると思いますが、収穫数が少なかったのはもしかしたら土の栄養が足りていなかったからかもと考えています。
でも今年からは、コンポストを導入したのでそれも解決するはず。今年はいつもよりもっとたくさんの実をつけてくれると信じています。
生ゴミがいい土をつくっておいしいゴーヤが育つ…。最高の循環だと思います。

そうやってできたゴーヤはゴーヤチャンプルやおひたしやぬか漬けなどにして食べることが多いです。苦みがクセになって私とお義母さんは大好きなんですが、夫と息子は少し苦手みたい。それがもったいないんですよ。
でも余らすのはもったいないと、ご近所の方やお友だちにお裾分けをしたりしています。そのときはもちろん高級ミニ紙袋で(笑)。それも喜ばれるのがすごくうれしいです。

家庭菜園で“ケチ活”がはかどる

家庭菜園は、同じ土に毎回同じ収穫物を植えるのではなく、違う種類の苗を植えたほうが良いらしいんです。つまり二毛作がベター。
その話を聞いてから、夏だけというのはもったいないと思うようになり、冬場は春菊を栽培しています。こちらも種をまいて水やりをして害虫駆除するくらいで、そんなに難しくないので始めました。収穫時期にはおいしそうなやわらかい葉っぱをつけるので、おひたしにしたり鍋に入れたりして楽しんでいます。

実は春菊、茎の途中で切りとって収穫をすれば、再び芽が出て新しい茎葉(けいよう)が茂ってくるんですよ。つまり、一度きりではなく長い期間収穫できる野菜。
これを知ったとき、春菊を選んでよかったと思いました。ゴーヤと春菊以外にも、ミニトマトはチャレンジしたのですが、収穫量が少ないのであまり私の好みではなく…。1年やってみてそれ以降は手を出していません。
でも初心者でも簡単につくれるものなら今後もチャレンジしたいと思っている今日この頃。夏前にスナップエンドウをつくるのもいいな、なんて考え中。ホームセンターに行ったり、いろいろ調べるのがすごく楽しいです。

取材先で出会ったおじいさんに教えてもらったゴーヤの栽培。そこから家庭菜園の面白さに気づき、さらに“ケチ活”がはかどっている気がします。
そして今思うのは、あのとき教えてもらったことをすぐに実践してよかったなと。教えてもらってもタイミングが合わなくてできないことはたくさんあるので。気になったことはなるべくやるようにしたほうがいいなと、改めて感じました。人生タイミングですから!

松本明子さんの著書『この道40年あるもので工夫する松本流ケチ道生活』(アスコム刊)では、ほかにもさまざまな“ケチ活”テクニックを紹介しています。