「以前は『年賀状だけのつながり』という知り合いや友達がいましたが、今の時代はSNSだけのつながりという関係が増えてきたように感じます」と話すのは、フランス文化研究者でフランス人の夫と暮らすペレ信子さん。簡単に連絡が取れる時代だからこそ、本当の人間関係が貴重に思えてきますよね。ペレ信子さんが、フランス人がやっている友達つき合いの方法を教えてくれました。

ネットでつながっていても、声を聞くために電話する

私のつき合いのあるフランス人というと50代より上の人の話になりますが、フランス人とのつき合いで気づくのは、「よく友達に電話をかける」ということ。
メールやSNSでのメッセージ交換が盛んですが、フランス人の友人はちょっと声を聞くために電話をかけてきます。日本語の「ご機嫌伺い」と少し似ています。
大切に思っている人には自分から定期的に連絡をとって近況を聞くことが多いようです。
しばらくぶりに友達から先に電話がかかってきたとき「私から連絡を取るべきだったのにご無沙汰してしまってごめんなさい」と謝っているのを聞くこともあります。

メッセージですませることが多い時代に電話がかかってくると何事かと思ったりします。ですが、フランス人の友人からだと大体「元気? 久しぶり!」という気軽な話題が多いのです。

電話であき足らずに直接会いに行くことも

なんと大胆なと思われるかもしれませんが、夫のフランスの両親の友達つき合いを見ていると、友達が午後にアポなし訪問してくる、というのは意外によくあります。もちろん相手が元気であり、在宅している可能性が高いとわかっている時です。
ランチを食べてちょっと一休みという時間にチャイムが鳴って出てみると隣人や友人がドアのところに立っています。家で採れた果物や、自分でつくった焼き菓子を手にしていることも。

最初の頃は午後のアポなし訪問なんて失礼、と思いましたが次第にそれは彼らの習慣であるとわかってきました。
電話でお義母さんが「今週は出かけないので午後に寄ってくださいね」なんて言っているのです。寄ってくださいね、と言われて本当にやってくるのがフランス人なのです。

少し奥ゆかしい、旅行先からの絵ハガキという方法も

フランスに住んでいた頃、そして義父母がまだ元気だったとき、彼らが旅行に行くと必ずその土地の絵ハガキを送ってくれていました。
まだ若かった私たちに「旅行に行ったら絵はがきを送りなさい」とアドバイスも。最初は面倒くさいと思っていましたが、何回もやっていると習慣になって、旅行先ではその土地らしい、自分たちが見たものを誠実に表している絵はがきを探して歩くようになりました。旅行の感想を少し、その人たちのことを考えましたという一言。数行だけですが、カフェやホテルのラウンジでハガキを書くとき、温かい気持ちになりました。
最後に旅行に一緒に行った全員でサインをして送ります。現地で郵便局に行ったり、切手を買ったりするのもよい経験です。

特別なことではないけれど昔ながらのつながり方を大切に

これらはフランス人特有という連絡方法ではありません。人とつながる昔からの普通の方法です。でもSNSの時代だからこそ肉声、自筆が貴重に思えます。
先日この年末に帰国できなかった娘から初めて絵はがきが届き、選んでくれたはがきを眺め、久しぶりに彼女の字を見てジーンとしたのでした。