いくつになってもなくならないお金の不安。知恵を働かせて、お金をかけずに、豊かな日々を過ごせたらいいですよね。第5回「ミス日本」でグランプリを受賞した伊藤千桃さん(72歳)は、現在葉山で娘、孫と3人暮らし。手間を惜しまず知恵を絞ることで、お金をかけなくても毎日を楽しんでいます。ここでは、地元の食材や庭の恵みを余すことなく活用している伊藤さんの、暮らしの工夫を教えてもらいました。

素材のおいしさを最大限に。手と知恵を働かせて料理する

現在は、娘と一緒にケータリングサービスをしているという伊藤さん。地元の食材を使った料理の数々は、ケータリングのお客さんに大人気。その料理はもちろん、家族の食卓にも。食材を余すところなく生かした品々が、今日もテーブルに並びます。

ダイニングルームは、かつて営んでいたレストランの客席。「オープンキッチンのこぢんまりとしたお店でした。それでも不思議と、お客さまは来てくださって。ありがたかったですね」(伊藤千桃さん、以下同)

●ひと手間は惜しまずに。単純な料理ほど差が出ます

せっかくの地産地消の素材を最大限おいしく食べるために、手間暇は惜しみません。よく切れる包丁を使って魚は丹念におろし、骨も丁寧に取り除きます。「お金をかけなくてもおいしいものが食べられる。そのためには手をかけなくちゃ」

●季節野菜のおいしさ丸ごと!ジンジャーディップでいただきます

はじけるような歯ざわり、口に広がる香り。新鮮だからこそ、生で食べてもえぐみが少なく、野菜本来のおいしさが味わえます。添えたジンジャーディップは、手づくりのジンジャーシロップの副産物を活用。

ジンジャーシロップをつくったあとのショウガの甘煮はギュッと絞って冷凍保存。みそとあえるだけでディップに! おいしいものは余さず生かします。

●旬のムツとイサキは素材そのままカルパッチョに

小さな魚を丁寧に薄づくりにしたカルパッチョには、形がユニークで歯ごたえのよいシカクマメのスライスを散らしました。「都内のお店で食べたら、いいお値段するでしょう。こういうとき、いい場所に住めて幸せだなと思うんです」

庭の恵みは常備菜に。身近なものを余さず生かす!

庭の果物や木の実は貴重な食材。常備菜づくりにも活用します。「夏ミカンやレモンが採れるし、山椒やビワもたくさん。食べてよし、飲んでよし、化粧水になったり家のお手入れに使ったり。お金をかけなくても、周囲にあるもので十分豊かに暮らせます」

●漢方薬にもなるビワの葉はお茶や化粧水にして活用

ビワの葉を乾燥させてお茶に。生の葉は日本酒に漬ければ化粧水にもなります。含まれる成分には鎮咳(咳をしずめる)や利尿(水分排出)の作用があるといわれていて、古くから漢方薬にも使われています。ノンカフェインでクセがなく、飲みやすいところもうれしい、自然のお茶です。

ビワの葉は収穫して水洗いし、ペーパータオルで細かな産毛をふき取ります。ザルに広げてしばらく乾燥させ、手でちぎってもみ込みながら土鍋やフライパンで乾煎りするだけ!

●青ジソ、ミョウガ、山椒…庭は食材の宝庫です!

三浦半島のちりめんじゃこと庭の山椒で「ちりめん山椒」をよくつくります。左に添えたのは庭で採れたゴーヤのピクルス。「今年は台風の直撃でゴーヤもやられました。来年はどうかしら…」。思いどおりに進まないことも受け入れます。

真っ赤な実をつける山椒。葉は木の芽としても活用できます。実を収穫したら下処理して、冷凍保存しておきます。

植えたわけでもないのに、いつの間にかミョウガが顔を出すようになりました。「雑
草の合間からたくましく花を咲かせるんですよ」

レモンはお酒に漬けてレモン酒に。梅は甘酢漬けにしたり、梅ジュースにして次のシーズンまで楽しみます。

年齢は取材当時のものです