現地時間2024年1月3日にDevチャネルとCanaryチャネルにWindows 11 Insider PreviewをリリースしたMicrosoftだが、翌4日にはさらに大きな発表があった。公式ブログにて、WindowsのCopilotを呼び出す「Copilotキー」をキーボード上に用意すると表明したのだ。



Altキーと矢印キーの間にあるCopilotキー

MicrosoftがYouTubeで公開した動画を見た筆者の正直な感想は、「そこまでやるか」「右側……」だった。Windows環境におけるキーボード上の特殊キーといえば、Windows 95以前の1994年に登場したWindowsキーを思い出す。当初から、Windowsキーと組み合わせる必要最低限のショートカットキーを用意していたが、筆者はキーピッチが狭まるのを嫌って、Windowsキーレスのキーボードを選択していたものだ。

現在はWindowsキーがないキーボードは少数派。Microsoftは30年という月日をかけて、WindowsキーをWindowsユーザーに浸透させた。ちなみに、Microsoft 365の操作性改善を目的とした「Officeキー」は筆者も目にしたことがないのだが、関心があればサポートページをご覧いただきたい。

Microsoftとしても、満を持したCopilotキーの導入なのだろう。米ラスベガスで現地時間2024月1月9日に開幕するCES 2024で発表・展示するPCはCopilotキーを備えているそうだ。さらにMicrosoft EVP&Consumer Chief Marketing OfficerのYusuf Mehdi氏は「CESの期間中はエコシステムパートナーが提供する新たなWindows 11 PCでCopilotキーを利用し、2024年1月下旬から新春にかけて、今後のSurfaceデバイスでも利用可能なる」と公式ブログで述べている。

さて、気になるのはMehdi氏の発言にある「日常的にCopilotをシームレスに使用できる」のかだ。現在のキーボードでも、Windows+Cキーでプレビュー版のCopilotウィンドウを開閉できる。これで十分ではないだろうか。現時点のWindows用Copilotは応答性に乏しく、データ保護機能を備えたCopilot(旧Bing Chat Enterprise)をEntra IDでサインインしたMicrosoft Edgeを起動したほうが使いやすい。

WindowsのCopilotもCopilot(旧Bing Chat Enterprise)に切り替わる

無変換キーや変換キーなど日本語キーボード特有のキーが並んだ最下段にCopilotキーが加わると、キーピッチの再調整など各PCメーカーとキーボードメーカーは苦労しているだろう。おそらくMicrosoftも、今のAI戦略が続く間はCopilotキーと組み合わせたショートカットキーを段階的に追加し、「Copilotキーがなければ不便」という状況を作っていくものと思われる。

それでも筆者はさほど悲観していない。不要なキーはカスタマイズすれば済む。個人的には、普段まったく使わないCapsLockキーに(レジストリ編集で)Ctrlキーを割り当てているが、今ならPowerToysでキーの再マップを実行したほうが簡単だ。いずれにしても、話はCopilotキーを搭載したPCを見て、触れてからのこと。Mehdi氏の言葉どおり「2024年はAI PCの年」――。まずは各PCメーカーの新モデルに期待したい。

PowerToysの「Keyboard Manager」

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら