PCゲームの多くがLinuxを念頭に開発され、2023年8月にはゲーミングPCのOSのシェア率でLinuxがmacOSを上回るなど、Linuxはゲーマーコミュニティの間で人気のOSとなっています。ドイツのIT系ニュースサイト・ComputerBaseの調べにより、3つのLinuxディストリビューションがベンチマークでWindows 11をしのぐパフォーマンスを示すことがわかりました。

Linux-Gaming: Distributionen im Vergleich: Testergebnisse und Fazit - ComputerBase

https://www.computerbase.de/2023-12/welche-linux-distribution-zum-spielen/2/

Three gaming-focused Linux operating systems beat Windows 11 in gaming benchmarks | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/software/linux/three-gaming-focused-linux-operating-systems-beat-windows-11-in-gaming-benchmarks

今回、ComputerBaseがベンチマークを実施したLinuxディストリビューションは「Arch Linux」「Pop!_OS」「Nobara OS」の3つです。

中でもArch Linuxは、必要最小限の構成で提供されるため特に「Linux的」と位置づけられているほか、携帯ゲーミングPC「Steam Deck」を動かすSteamOS 3のベースになったことでも知られています。また、残りのPop!_OSとNobara OSはGPUのサポートや導入の簡単さにより、初心者にもとっつきやすいゲーマーフレンドリーなLinuxディストリビューションと位置づけられているとのこと。

ベンチマークにはAMD Ryzen 7 5800XとRadeon RX 6700 XTを搭載したAMDマシンが使用され、「Cyberpunk 2077」「Forspoken」「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」「Starfield」「The Talos Principle 2」のWindows版をValveのProton互換レイヤーを通じて各Linux上で動かし、その際のフレームレートを計測する形で実施されました。

テストの結果、すべてのLinuxが僅差ながらWindows 11を上回る結果を示しました。



ゲームごとの分析では順位にばらつきがありましたが、「Cyberpunk 2077」「Forspoken」「The Talos Principle 2」の3つのタイトルでNobara OSが首位を獲得し、「Starfield」ではArch Linuxがトップを飾りました。ベンチマークが行われたゲームの中でWindows 11が健闘したのは「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」だけでした。



各OS間のフレームレートの差は小さく、ほとんどのタイトルでは最速のOSと最下位のOSのFPSの差は8未満でした。唯一の例外だったのはCyberpunk 2077で、最も遅かったOP!_OSの72.7fpsと最も速いNobara OSの89.6fpsとの間には17fpsの差が出ました。



テクノロジー系メディアのTom's Hardwareは、「ComputerBaseのベンチマークは、Linuxのゲーミングパフォーマンスがいかに向上しているかを示しています。なぜなら、ValveのProton互換レイヤーにより余計な処理が必要になったにもかかわらず、Windows 11を上回るか、または非常に近い性能を達成することができたからです。これは、今やLinuxは非常に競争力のあるゲーミングプラットフォームとなり、Protonがあればパフォーマンスを犠牲にすることなくWindows向けのゲームをプレイできることを意味しています」と評価しました。