恵比寿に事務所を構える芸能事務所「スターダストプロモーション」の、さまざまなグループを束ねたアーティスト・演劇集団「EBiDAN」。

今回は、その中でも注目の5人組グループ「M!LK」の佐野勇斗さんと山中柔太朗さんを、恵比寿南にある話題のピッツェリアへお連れした。

25歳と21歳のふたりが語った、恵比寿の思い出、M!LKの今、そして未来とは?


「恵比寿はやっぱり僕らのホーム。ここで出会いすべてが始まっているから」

恵比寿のピッツェリアにて“ワインでサシ飲み”との撮影テーマを伝えると「柔太朗は分かるけど俺は似合わな過ぎ(笑)」と佐野さん。普段一緒に飲む時はハイボールかビールとか


小雨の恵比寿。八頭身の男性ふたりが坂を下ってくる。

遠目にも驚愕の美形で芸能人オーラが溢れているが、少し様子が違う。荷物が多い現場スタッフに傘をさし歩いていたのだ。華やかさと優しさが相まって映画のワンシーンのような登場だ。

ともにスターダストからスカウトされ、佐野勇斗さんは11年前、山中柔太朗さんは7年前にこの世界に入った。事務所のある恵比寿に通い始めたのも、少年の頃だった。

山中:恵比寿に初めて来たのは最初の面接の日だと思います。中3の時に母と来たんですけど、雨が降っている日に早く着き過ぎてしまって、たこ焼きを買って傘をさしながらふたりで食べたのを覚えています。

佐野:かわいいし、めっちゃいい話!

山中:それで緊張がほぐれて(笑)。

佐野:僕は愛知に住んでいたから、観光のついでに家族5人で事務所に挨拶に行きました。14歳の頃で、地元は人が少ない街だから、やっぱり東京は人が多いなと思いました。

でも当時の本社に続く裏路地を歩いたら、怖くなって家族5人で小さくなってた……。

山中:分かる、線路沿いの道でしょ。

佐野:いきなりひと気が消えて、ドラマなら絡まれてしまいそうな道(笑)。


“3080”コンビが語った、M!LKのいま、そして未来


恵比寿に限らず、「外が苦手で……」とインドア派の佐野さん。そもそも仕事と家の往復で、遊ぶ時間はない状況だ。

たまに翌日の始まりが遅い時はM!LKの5人で会うことを優先する。



佐野さんと山中さんのユニット名“3080(さんぱち)”は約2年前に決まった。由来は「佐野30」「山中80」という互いのあだ名。公式TikTok(@3080txhyo39)の動画が眼福と好評だ


山中:次の日ゆっくりだったら普通は寝るじゃないですか。でも、グループの連絡網に佐野さんからの集合がかかって、みんなで佐野家に集まります。

編集部:集まってすることとは?

山中:仕事の話をして脱線して最後はまた仕事の話。混ぜこぜですね。

佐野:全員のベクトルを合わせたい時とかに声をかけます。仕事の話をし出すのは僕か(塩粼)太智。本当は2週間に1回ぐらい集まりたいんですけど、5人そろった最後は2ヶ月前で。

編集部:仕事以外だと何の話を?

佐野:言えない話しかない(笑)。

山中:ギリ言える話は……なかった。

週に1度全員でオンライン会議も行う。なぜそこまで議論を重ねるかと言えば、M!LKには「3年以内にドームツアーを実現させる」という目標があるからだ。

そのために作戦をたて、最近でいえば佐野さんと山中さんユニットのTikTok開設が決まり、8月28日に始動。佐野さんが思惑を話す。

佐野:今年は10月に横浜アリーナでのライブが決まっていて、それはすごく嬉しいけど、その次も考えなきゃいけない。いまの速度だと3年後のドームツアーは間に合わないんですよ。

簡単な言葉で言うなら、“バズ”を何回も起こさないとM!LKを知ってもらえない。いままでもSNSはやっていたけど、「M!LKといえばこれ」というアカウントがなかった。

好きになってもらうためにはメンバーの関係性をもっと発信する必要があって、まずは“3080(さんぱち)”ってあだ名がある僕らが関係性を出していきます。

そんなふたりに互いについて聞いた。まずは山中さんから佐野さんへ。

山中:すごくM!LK思いで仕事人。人柄については100%の人が“いいやつ”って言います。共演者もスタッフさんも絶対言う。

どんなに疲れていても人に優しくて接し方が丁寧なんです。たぶんM!LKといる時は素で、ずっと明るいわけではないですけど、ネガティブなところが本当にない。

あと、おでこが好き(笑)。生え際って普通は薄いところもあるけど、めっちゃ綺麗に生えてるんですよ。眉毛も綺麗だから前髪をあげるのも似合います。

佐野:ありがと(笑)。

柔太朗は優しくて人を絶対に悪く言わないところが魅力的。空気が悪くなったりしても、“もっとこうした方がいいよ”と落ち着いて言ってくれる。いつも僕より4つ下なのを忘れて喋っています。

きっと柔太朗にしか出せない特殊な色があるんですよ。例えばみんなが暖色なら唯一の寒色みたいな感じで、彼がいるからできる曲もある。柔太朗の役割は本当に大きいです。

ビジュアル担当だけあって顔はどこから見ても綺麗だし、初めて言うけど、僕の最近の髪型、美容師さんに“山中柔太朗でお願いします”って彼の写真を見せています(笑)。


「M!LKで生きていくことはもう確定している」「誰かの支えになれるって大きい」


ふたりとも俳優業もこなしながらM!LKに力を注ぐ。そこまで費やせるモチベーションはどこにあるのか。



「あとでTikTokの撮影しようか」と、美味しいピッツァを食べながらもM!LKの活動のことを考えてしまうふたり。ワインを少しだけ嗜んだ程度で事務所へと帰っていった


山中:人生だから。

佐野:格好いいけど、どういうこと?

山中:僕がM!LKで生きていくことはもう確定している。

どんな仕事でも、偉くなりたいとか、お金を稼ぎたいとかあると思うけど、僕らの仕事は、どれだけ多くの人を幸せにできるか。その気持ちが年々高まってモチベーションになっています。

特に最近はライブに来てくれる人を幸せにして帰したいって気持ちが原動力ですね。

佐野:僕は、自分で決めたからっていうのも大きいです。

結成当初にドームツアーをしたいと決めたから、“まぁいっか”と思ってしまう自分が嫌で、ここまで糸を緩ませずにきていて、逆を言うと、緩ませた時に終わっちゃいそうで怖い。

人間だから波はありますけど、“今日はいっか”と休みたくない。

山中:やっぱり気持ちが強い佐野さんはM!LKのモチベーター。僕たちにエンジンをかけてくれます。

佐野:そうやって走り続けられるのも喜んでくれるファンの方がいるから。だから、みんなに公言しているドームツアーは果たしたい。この5人で果たすという気持ちがいま一番強いです。

編集部:ファンの声が届くことも?

佐野:「上司に怒られたけど配信見て元気になった」とか、「10月にライブがあるからそこまで頑張れる」なんてコメントがよく届きます。誰かの支えになれるって大きいです。

あと、コロナ禍にインスタライブを始めました。あまりにファンの方とコミュニケーションが取れなかったので、ネット上ではあるけど対話できるツールを活かしたいなと思って始めて、続けています。

山中:配信をしないアイドルも多いけど、僕らは夢を見させるというより、どちらかというと寄り添うタイプ。

佐野:確かに親近感を感じてもらえると嬉しいです。そういう歌も多いし。

山中:でも生で会ったら意外と格好いいっていうのをライブでは見せたい。

佐野:親しみやすいままじゃダメ。

山中:会ってみたら愛知のヤンキーだったって言われたら嫌だからね。

佐野:なんで俺に限定!?(笑)

山中:YouTubeとライブでギャップを見せられるのは、僕らの強みです。

その舞台のために歌とダンスにも精を出す。大手に所属しながらもベンチャーのように自分たちで見せ方を企画し、撮影や編集まで行うM!LK。

自ら未来を決めるアイドルがドームに立った時、その輝きは一際眩しいはずだ。


■プロフィール
佐野勇斗 1998年生まれ、愛知県出身。2014年にM!LKの初期メンバーとなり、2015年に俳優デビュー。今年夏に放映されたTBS系ドラマ『トリリオンゲーム』など出演作多数。

山中柔太朗 2001年生まれ、栃木県出身。2018年にM!LKへ加入し、同年に俳優デビュー。昨年12月から放映されたMBS系ドラマ『飴色パラドックス』ではW主演を果たす。

■衣装
[佐野さん]ジャケット 93,500円、パンツ 42,900円〈ともにイロコイ TEL:03-3791-5033〉、シャツ 29,700円〈アーネイ/ジョワイユ TEL:03-4361-4464〉、靴 37,400円〈ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 新宿 TEL:03-6457-7957〉、その他スタイリスト私物
[山中さん]ジャケット 84,700円、パンツ 55,000円〈ともにターク/ジョワイユ TEL:03-4361-4464〉、ニット 39,600円〈ジョン スメドレー/リーミルズ エージェンシー TEL:03-5784-1238〉、スカーフ 17,600円〈ヴィンセンツォ ミオッツァ/真下商事 TEL:03-6412-7081〉、ブレスレット 5,500円、リング(中指)2,750円〈ともにエルエイチエムイー/シアンピーアール プルスルーム TEL:03-6662-5525〉、靴 75,900円〈ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 新宿 TEL:03-6457-7957〉、その他スタイリスト私物

▶このほか:BE:FIRST・JUNON&LEOの現在。「“大人の色気”とは、出すんじゃなくてにじみ出るもの」




東京カレンダー最新号では、佐野勇斗さんと山中柔太朗さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、お二人のホーム・恵比寿に対する今の印象とは?

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