かなりの打撃。

ロシア海軍への艦船納入遅れの可能性も?

 イギリス国防省は2023年11月7日、ウクライナ軍に建造中の軍艦が攻撃されたのを受け、ロシア海軍黒海艦隊の造船所がより後方の安全圏へ移転せざるを得なくなる可能性があると発表しました。


黒海艦隊の旗艦だった「モスクワ」は、2022年4月14日にウクライナ軍攻撃により沈没(画像:ロシア国防省)。

 この発表は、クリミヤ半島のケルチにあるザリブ造船所への攻撃で、建造中だったカラクルト級コルベット「アスコルド」が損傷した可能性があることを受けてのものです。

 イギリス国防省は同艦について「ザリブ造船所で接舷中に被弾し、ほぼ確実に損傷した」と述べています。なお、攻撃にはフランスが供与した巡航ミサイル「SCALP-EG」が使用されたとみられています。このミサイルは、イギリスが供与した「ストーム・シャドウ」と同型のものです。

「ストーム・シャドウ」や「SCALP-EG」を使用した攻撃では、2023年9月にも、キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」、ロプーチャ級揚陸艦「ミンスク」が重大な損傷を受けています。

 供与された「ストーム・シャドウ」や「SCALP-EG」は射程距離が短く設定されているものの約250kmもあり、ウクライナは、運用次第では、前線から離れたクリミヤ半島東側の軍事施設に対す攻撃も可能となっています。

 イギリス国防省は、今回の攻撃はまさにその東側での造船所で起きたということで、造船所一部と就役前のコルベットを破壊されたロシアは、造船所をより安全な海域に移転せざるを得なくなる可能性があるとし、「新しい艦船の納入が遅れる可能性が高い」と見解を示しました。