市場調査会社・IDCが、2022年に続き2023年第3四半期のPCの出荷台数も下落を続けており、世界全体の出荷台数が前年同期比7.6%減の6820万台を記録したとの速報を発表しました。PCの需要と世界経済は依然として低迷していますが、徐々に市場の勢いが回復しつつあるとも報告されています。

Global PC Shipments Decline Again in the Third Quarter of 2023 Amid Signs of Market Improvement, According to IDC Tracker

https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS51295423



Gartner Says Worldwide PC Shipments Declined 9% in Third Quarter of 2023

https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2023-10-09-gartner-says-worldwide-pc-shipments-declined-9-percent-in-third-quarter-of-2023



以下は、2023年第3四半期におけるPC出荷台数の速報値で、単位は100万台です。HPを除く市場シェア上位5社は全て出荷台数を落とし、全体でも前年同期比7.6%減となりました。HPが在庫の正常化により成長を見せた一方、Appleが特に大きく下落していますが、これは同社が2022年第3四半期にパンデミックによる生産停止から回復し、生産を増やしたことが前年同期比の数字を不利にしたからであるとIDCは指摘しています。



IDCのリサーチマネージャーであるJitesh Ubrani氏は、「デバイスの更新サイクルとWindows 10のサポート終了が2023年後半以降の売り上げの追い風となるため、PC業界は回復に向けてゆっくりとした足取りを進めていますが、それまではさらなる痛みを経験することになるでしょう。業界の停滞はサプライチェーンに中国以外での部品調達と生産の選択肢を模索する機会を与えており、これは今後もAIの台頭に次ぐ重要な課題であり続けると思われます」と述べました。

また、IDCのデバイスおよびディスプレイ担当リサーチ・バイス・プレジデントであるLinn Huang氏は「生成AIがPC業界にとっての分岐点となる可能性があります。ユースケースはまだ完全に確立されていませんが、この分野に対する関心はすでに強い勢いを見せています。AI向けPCは、プライバシーとデータ主権を守りながらより深いレベルでユーザー・エクスペリエンスをパーソナライズする能力を企業に提供するため、このようなデバイスが2024年に登場すれば、全体的な販売価格が大幅に上昇することが予想されます」と話しました。

市場調査会社・GartnerもPC出荷台数の速報値を発表しており、それによると2023年第3四半期の世界のPC出荷台数は前年同期比9%減の6430万台だったとのこと。



今期の結果は、世界のPC出荷台数が減少傾向にあることを示していますが、Gartnerは第4四半期ごろから再び成長に転じるとの見方を示しています。

Gartnerの主席アナリストである北川美佳子氏は、「PC市場の落ち込みがようやく底を打ったことを示す兆候が見られます。2023年第3四半期は、新学期を迎えた教育市場からの季節的な需要が出荷台数を押し上げましたが、企業向けのPCの需要が引き続き低調だったので、販売台数の伸びが部分的に相殺されました。一方、ベンダー各社はPCの在庫削減に向けて着実に前進しており、無事に年末商戦を迎えることができれば、年末までに在庫が正常な水準に戻ると予想されます」と述べました。