足が臭う原因は?

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 「足が臭う」と感じたことはないでしょうか。特に仕事の際に革靴を履いていると、足が蒸れやすく、臭いが強くなる傾向にあります。

 足が臭うのはなぜなのでしょうか。何らかの病気の可能性はあるのでしょうか。足が臭う原因や対処法などについて、たかはし皮膚科クリニック(兵庫県尼崎市)院長で皮膚科医の高橋謙さんに聞きました。

細菌がたんぱく質を分解したときに臭いが生じる

Q.足が臭うのはなぜでしょうか。足の病気の可能性はあるのでしょうか。

高橋さん「そもそも、足が臭うのは、足の皮膚に繁殖した細菌が、皮膚に含まれるたんぱく質を分解するからです。このとき、不快な臭いが生じます。

細菌は高温多湿な環境で繁殖しますが、靴や靴下を履いていると高温多湿な状態が維持されるため、細菌が繁殖しやすくなります。特に屋外で遊ぶ機会が多いお子さんや日頃からランニングなどの運動をしている人のほか、営業職で靴を1日中履いて歩き回っている人は、足に細菌が繁殖しやすい傾向にあります。

足に細菌が繁殖し、臭いが生じるメカニズムですが、歩き回ることで足に負荷がかかると、角質層が増えます。その後、剥がれた角質層に細菌が繁殖し、菌がたんぱく質を分解したときに臭いが生じます。

病気が原因で、足の臭いが生じる場合もあります。よくある症状は、水虫と呼ばれている『足白癬(あしはくせん)』(以下、水虫)のほか、水虫によく似た『紅色陰癬(こうしょくいんせん)』『汗疱(かんぽう)性湿疹』『点状角質融解症』などです。

先の3つはいずれも炎症を生じる疾患で、炎症が生じた後で皮がむけます。水虫や汗疱性湿疹では水疱ができた後に皮がむけ、そこへ細菌が繁殖し、臭いが出るほか、点状角質融解症は細菌が直接、角質(たんぱく質)を溶かし、臭いを発します。

水虫のように皮膚炎が生じた後、ジュクジュクとした『滲出(しんしゅつ)液』と呼ばれる液体が出るケースがあります。滲出液にはたんぱく質が多く含まれているため、細菌が繁殖しやすく、足の臭いにつながります」

Q.どのようなときに皮膚科を受診した方がよいのでしょうか。受診の目安について、教えてください。

高橋さん「水虫や汗疱性湿疹はかゆみが出やすいため、かゆみが出たときが受診の目安となります。その他の足の疾患はかゆみが出ないことが多いですが、『皮がむける』『水疱が生じた』などの症状が複数見られたときが受診の目安となります。

また、点状角質融解症は入浴後に皮がむけることが多く、比較的容易に見分けることができますが、反対に入浴後でなければ分かりにくいことが多いです。ただし、よく観察すると足底に浅いクレーターのような皮膚の欠けを確認できます」

Q.足の臭いを抑える方法について、教えてください。

高橋さん「先述のように、足の臭いは細菌の増殖が原因なので、細菌の繁殖を抑制することが予防につながります。従って、足を蒸れにくい状態にさせる必要があるほか、運動などによる足の皮膚への負荷を軽減するとともに、できるだけこすれにより、足の皮膚に刺激を加えないようにすることが大切です。そこで、主に以下の対策が有効です」

・抗菌加工された靴下を選ぶ。
・靴の内部を乾かすため、同じ靴を連続で履かない。
・足に余分な角質が残らないように、毎日丁寧に洗う。ただし、こすり過ぎると角質層を増やし、細菌が増殖する原因となるため注意。

靴を履く際は、抗菌加工の靴下を履くようにしましょう。靴下が足の表面に生じた水分を吸収し、蒸発するため、靴の中の湿気が軽減されます。それにより、細菌が繁殖しにくくなるため、臭いが軽減されます。このほか、抗菌作用のある市販のクリームなどを使用するとよいでしょう。