藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00〜10:50)。8月5日(土)放送のゲストは、元陸上競技選手の為末大(ためすえ・だい)さん。ここでは、8月19日(土)に開幕する世界陸上競技選手権大会で、為末さんが注目している選手を紹介してもらいました。


(左から)高見侑里、藤木直人、為末大さん



1978年生まれ、広島県出身の為末さん。陸上400mハードルの日本記録保持者であり、オリンピックには2000年シドニー大会から2008年北京大会まで3大会連続で出場。世界選手権では、2001年のエドモントン大会で日本人初の短距離種目でのメダルとなる銅メダルを獲得し、2005年のヘルシンキ大会でも銅メダルを獲得。

その後、2012年の日本選手権をもって競技生活から退き、現在は指導者、コメンテーター、会社経営など多方面で活躍しています。

◆為末大の注目選手は?

藤木:8月19日(土)からハンガリーのブダペストで開幕する世界陸上競技選手権大会。最近では、男子4×100mリレーをはじめ、競歩や投てきなどで世界のトップを争う日本人アスリートが活躍していますが、ハードルも熱いんですよね?

為末:大変なことになっているんですよ(笑)! その1人が、110mハードルの泉谷駿介(いずみや・しゅんすけ)選手ですね。

陸上選手は、オリンピックや世界選手権以外にいろいろな試合が各地でおこなわれていて、賞金レースもあるんです。その賞金レースにもランクがついていて、その世界最高峰が「ダイヤモンドリーグ」なのですが、泉谷選手は(ダイヤモンドリーグ スイス・ローザンヌ大会で)優勝しているんです。しかも、初出場で!

さらには、ロンドンでおこなわれたダイヤモンドリーグも2位だったので、(世界選手権でも)金メダルか銀メダル獲得を期待できる位置にいるんです。110mハードルって、泉谷選手の世代の前は決勝にも残ったことがない競技なので、(泉谷選手の成績は)本当にすごいんです。

藤木:泉谷選手は、どこがすごいのですか?

為末:まず足が速いです。たぶん100m走でも結構なレベルまでいきそうなぐらい。さらに、走り幅跳びも三段跳びも跳べるんです。だから、身長はそんなに高くないんですけれど、“すごいジャンプが跳べて足が速い人”がハードルを跳んでいるような感じです。

これまでは、ジャンプをする瞬間のバネが日本人は弱くて、そこで(世界に)置いていかれていたんです。ハードルって、やっぱりジャンプ力なので。でも(泉谷選手は)置いていかれないどころか、ちょっと詰めちゃうんですよ、それがすごいですね。

幅跳びのすごい選手と100mが速い選手を掛け合わせた選手に、ハードルをやらせるとこうなるんだという、そんなイメージですね。

400mハードルより、110mハードルのほうが(メダルを獲るのが)正直ちょっと難しいんです。400mハードルのほうは特殊性があって(競技人口が少ないのに比べて)、110mハードルは別の競技から転向しやすい種目なので(競技人口が多い)、だから、なおのこと(優勝が)すごいんですよ。

藤木:世界選手権でメダルが獲得できるのか、さらには来年のパリオリンピックもどうなるのか、大注目の選手ですね。

為末:大注目ですね。もしメダルを獲って上位入りみたいなことになると、ビックリするのは日本人だけじゃないですよ。アジアの選手でいうと、かつて中国の劉翔(りゅう・しょう)選手が(オリンピックで)金メダルを獲ったときの驚きも半端じゃなかったですけど、その驚きに近い感じでグローバルに受けとめられると思います。

◆世界のトップで活躍する選手が増えた要因は?

藤木:ほかに注目選手はいらっしゃいますか?

為末:3,000m障害の三浦龍司(みうら・りゅうじ)選手ですね。

藤木:箱根駅伝にも出て、東京オリンピックでも素晴らしい走りを見せてくれましたよね。

為末:そんな彼が、そこからさらに実力を伸ばしていって、今回の大会にも出るんですけど、この種目でメダルを獲ったらすごいことですよ! “もしかしたら獲れちゃうかも!?”と思えるぐらいのポジションまで実力をつけています。

とはいえ、1,500m以上(の競技)は、もう長らくケニアとエチオピアに独占されて、日本人の選手は周回遅れになってしまうような世界だったんです。それが(三浦選手は)互角に勝負できているので楽しみな選手ですね。

藤木:これほどまでにトップで活躍する選手が増えてきているのは、どういうところに要因があると思われますか?

為末:泉谷選手のコーチをやっていらっしゃる山崎(一彦)さんという方がいて、私の前に日本記録を持っていらっしゃったハードルの選手なんですが、実は、その人たちが最初にヨーロッパに挑んでいたんです。

だから、野球で言う野茂英雄さんとか、サッカーでいう中田英寿さんの世代が、コーチになって育てたのが今の世代なんです。世界を経験した人たちが帰ってきて、“これを若いうちにやっておけば良かった”ということを(指導を受けて)きちんと練習していくと、ちゃんとここまで実力がついていく。そういうところが大きいかなと思いますね。

次回8月12日(土)の放送は、総合格闘家・中村倫也(なかむら・りんや)選手のインタビューをお届けします。

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8月5日放送分より(radiko.jpのタイムフリー) http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7124
聴取期限 2023年8月13日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00〜10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/