日本記者クラブで会見を開いた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(日本記者クラブのYouTubeチャンネルより)

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ジャニーズ事務所前社長の故・ジャニー喜多川氏から性被害を受けていたと訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の7人が2023年8月4日、日本記者クラブで会見を開き、性被害を訴える困難さや性被害の実態を語った。

「当事者の会」はジャニーズ事務所にかつて所属し、ジャニー氏による性加害を受けたと告発した有志により6月26日に創設された。石丸志門副代表は会見で「被害の数は4桁に達するのではないか」とし「人類史上最悪の性虐待事件がようやく明るみに出た」と思いを述べた。発起人の二本樹顕理さんも「人類史に残る最悪の性加害として歴史に残す必要ある」と語っている。

「ジュニア同士で『やった?やらない?』というやり取りはあります」

男性が性被害を訴えることの困難さについての経験を問われると、平本淳也代表はこう語った。

「自分が受けた性被害は不思議な性被害ですよね。自分たちが被害に遭っていること自体が理解できない歳に、理解できないようなことをされていた始まりから、気づいたら1年、2年経っていて思春期の頃15歳、16歳に初めてホモセクシャルとか少年愛という言葉を認識し始めた、僕の場合は。ジュニア同士で『やった?やらない?』というやり取りはあります。『気をつけろよ』『覚悟しろよ』と互いを労るような感覚で、心配し合う感覚で会話を交わします。いざジャニーズのレッスン場などから一歩外に出た時、学校の友達、家、先生などに表に出して語るとは考えられないし、今でも『カメラの前で自分の受けた性被害を話すか、普通?』という思いがずっとあります」
「自分の受けた性被害を話しているという不思議さは今でもずっと抱え続けています。実におかしいよね」
「男の子の性被害において、だいぶ変わったと思います。昔は誰も聞いてくれなかったので。男の子が性被害に遭うとは想像さえされなかった。理解されないことに対して説明もできない。警察に行っても弁護士に行っても証拠あるのかとそれで終わってしまう。誰にも言えないし、言うことも恥ずかしい。これについて課題は多いと思います」
「男の子がおじさんに触られました、やられましたと言っていること自体で自分たちは頭がおかしいと思われていた時代が長かったので、時代も文化も動いてこのようにみなさんが話を聞いてくれる、国連が話を聞いてくれるとなった奇跡の中で、話を聞いてくれる方がいるんだと思うと少しは良くなったかと思います」

ハヤシ(仮名)さんは次のように答えた。

「子どもが性のことでわからないことをされるのは、何をされているかわからないのと、びっくりすると思います。当時、ホットラインがあったらかけるかな。あったとしてもかけられないのではないかと僕は思います。芸能事務所はガイドラインを作ってやっていかないとこの先も起きると思います。子どもの意思で相談するのは多分難しいと思います」

「気に入っている子、嫌っている子がはっきりしていて...」

ジャニー氏のボディタッチ等の行動を見たのであれば、合宿所以外ならどこで、いつ、どういう行為があったか問われると、志賀泰伸さんは「そういうことが性被害かもわからない歳だったので、子どもなりに『人に伝えていいのか、自分の中では言っちゃいけないことなんだ、ジャニー氏はこういう大人なんだ、世の中にはこういう大人もいるんだ』と割り切って10年ほど所属し、CDも出しました」「ジャニーさんがそれ以外の場で、そういう行為をしていたかはあまり見た記憶がないです」と明かした。

中村一也さんは「記憶の中では、ボディタッチはなかったです。レッスン生として初期のころからジャニーさんは常にいた状態です。自分の時は合宿所という認識ではなく、ジャニーさんの家でした。気に入っている子、嫌っている子がはっきりしていて、『あの子は呼ばないでね』そういったことははっきりしていて、好きな子だけ持ち帰るという感じです」と話した。

平本さんは「僕自身もジャニー喜多川氏の膝に上にはしょっちゅう座らせてもらってた。言い方おかしいですけど。撫でられる、触られる、は日常的にありました。僕以外にもそれはありましたし、更衣室では着替えを手伝う、(服を)上げたり下げたりは日常的にあったので『そんなに驚くことだったのか』と逆に驚きました」と明かし「テレビ局の少なくとも2社。レッスン場でいうと概ねそこかなと。あとは車の中、飛行機の中はいつでも触られていました」と被害を受けた場所を明かした。

志賀さんは「初めて行ったハワイの時に、ジャニーさんも同行してシェラトンのワイキキのスイートで『YOUこの部屋ね』と。海外まで来てこんな状態なのかと。どの番組かという時期までわかっています」とした。

石丸志門副代表は「この問題は、自分たちの直接的な被害の問題であって、それを目撃したから覚えているという性質のものではないと思います。自分が被害に遭うか遭わないか、瀬戸際の中で日々生きている。被害に今日は遭わなかった、今日は遭ってしまった、そういう文脈の中では語れるけど、誰がどこで何をしていたかを記憶するのは困難だと思います」と語った。

イズミ(仮名)さんは「合宿所からレッスン場に向かう車の中で『君は助手席に座りなさい』とよく言われて、その間、信号に停まるたびにボディタッチなんかをされていました」と明かした。