男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:年収5,000万・外銀勤めの夫に渡される生活費は、月8万円。友人のエルメスを見て思わず…




二度目のデートの別れ際。僕は絵里奈にまたすぐに会いたくて、次の約束を決めようとした。

「絵里奈ちゃんまたご飯行こうよ。来週とかはどうかな?」

しかし絵里奈は少し困ったような顔をする。

「いいですね。ただ今月は忙しくて…また予定が見えたら連絡しますね」

そう言いながら店を出て、大通りまで歩く。タクシーは拾えそうだ。でもこのまま帰したくない気持ちもある。

「この後どうしようか。本当に帰る?」
「はい。帰ります。ありがとうございました」

そう言うとすぐにタクシーを止めて帰ってしまった絵里奈。

デート中は絵里奈のほうから積極的に質問をしてきたし、熱い視線でじっと見つめてきた。

そして何度待っても、絵里奈の「また予定が見えたら」の連絡は来なかった…。


Q1:女が男に対して最初から思っていたことは?


絵里奈と出会ったのは、知人が主催したホムパだ。

男女合わせて8人くらいいたと思う。みんな素敵な人ばかりだったけれど、その中でも一際目立つ美人がいた。それが絵里奈だった。




はっと目を引くほど綺麗な彼女が気になった僕は、知人にお願いして、彼女と話せるように取り持ってもらった。

「絵里奈ちゃん、こちら僕の経営者仲間の明宏さん。お世話になっている先輩で。ちなみに、明宏さんの会社は僕の会社とは比べものにならないくらい大きくて業績もかなりいいから、仲良くしていて損はないよ〜(笑)」

知人の冗談混じりの紹介のおかげか、絵里奈は最初から笑顔だった。

「初めまして、絵里奈です」
「初めまして。絵里奈ちゃんは、何をしている人なの?」
「私は外資の保険会社に勤めています。明宏さんは?」
「僕はざっくり言うと金融かな」
「じゃあ少し業界が近いのかな…?って感じですね」

近くで見れば見るほど、絵里奈は綺麗だった。そのせいか、思わずじっと見つめてしまう。

「…どうされましたか?私の顔に何かついていますか?」
「いや、全然。綺麗だなと思って」
「え…!!そんな嬉しいことを。ありがとうございます」

きっと褒められ慣れているのだろう。絵里奈にうまくかわされても、嫌な気はしない。

そんな初対面だったけれど、絵里奈は僕の業界に興味があるようで、仕事のことやプライベートなことなど、色々と質問をしてきてくれた。

「よければ、今度もう少しゆっくり話さない?」
「はい、お願いします!明宏さんのお話は面白いし勉強になるので、もっと色々とお伺いしたいです♡ただ、もし良ければ私の友達も連れて行ってもいいですか?」

友達が来るのは予想外だったけれど仕方ない。初回だし警戒心もあるだろう。

その気持ちは理解できたので、まずは僕の友人も連れて、2対2で食事をすることにした。






2対2のグループデートの日。

「私の友人の茜です」
「初めまして。こちらは僕の友人の山田さんで…」

それぞれ簡単な自己紹介をしつつ、話はどんどん進んでいく。そんな時、急に絵里奈が僕の顔をじっと見つめてくる。

「そういえば、明宏さんっておいくつなんですか?」
「僕?何歳に見える?」
「えーっと…45歳くらいですか?」
「本当?僕は今年、48歳になるよ〜」
「そうなんですか。見えないですね」

絵里奈から「若い」と言ってもらえて上機嫌になってしまう。お世辞かもしれないけれど、そう言ってもらえるのは嬉しい。

「絵里奈ちゃんは何歳だっけ?」
「私と茜は、今年で33歳になります」
「そうなんだ。いい年齢だね」

そんな当たり障りのない会話でこの日は終わってしまった。

― さすがに次は二人でもいいよな?

そう思い、「話し足りなかったので、再来週あたりもう一度お食事いかがですか?」と絵里奈をデートに誘ってみる。すると絵里奈は快諾してくれ、ようやく二人でのデートが実現した。


Q2:女が「一緒に旅行しよう」の誘いに乗った理由は?


そしてようやく実現した二人きりでのデート。そもそも今日で会うのは三度目だし、二人きりでのデートに来てくれる時点で「ナシではない」ということだろう。

「絵里奈ちゃん、今彼氏は?」
「今はいないんですよ〜」
「そうなんだ。どういう人がタイプなの?」
「優しくて、大人な人ですかね」

ワイングラスを傾けながら、不意に僕を見つめてきた絵里奈。

― その視線の意味は…なんだ!?

この視線には、絶対に何か意味がある。




「普段、お仕事以外は何をしているの?」
「仕事以外ですか?そうですね…ゴルフへ行ったり、こうやって美味しいご飯を食べたり」
「僕と一緒じゃん!今度、ゴルフに行こうよ」
「明宏さんもゴルフされるんですか?」
「うん。この前の食事のメンバーで行ってもいいしね」
「いいですね!」

すっかり話は盛り上がり、僕たちはゴルフへ行く約束をした。

「ただ私、夏は暑いのでゴルフをしなくて…。涼しくなってからでもいいですか?」
「そっちタイプか〜。じゃあ9月とか?」
「そうですね」

しかし僕はふと気がついた。意外に今年の夏は忙しい。

「あ…。ごめん、8月は出張と旅行で日本にいないかも…今月はハワイで、再来月はヨーロッパにいるんだ」
「え〜すごいですね!いいなぁ。私も旅行大好きなので、羨ましいです♡」
「絵里奈ちゃんも旅行好き?」
「はい、大好きです♡」

ここまで趣味が合う子は久しぶりに会った気がする。話も合うし、趣味も合う。これはかなり良い相性ではないだろうか。




「絵里奈ちゃんとハワイに行けたら楽しいだろうなぁ。よければ、来ちゃう?」
「明宏さん、お仕事で行かれるんですよね?」
「一応、ね。でも部屋もあるし飛行機代だけ自分で出してもらえれば、現地に行ってからは全部こっちで手配するから考えておいて」
「え〜!すごいですね♡」

旅行へ行くことがOKなんて、もうこれは付き合っているも同然。それか絵里奈も相当僕のことが好きでないと、こんなオファーに乗ってこないだろう。

「絵里奈ちゃんといると楽しいな」
「ありがとうございます」

こうして夜は更けていったけれど、この日は残念ながら1軒目で解散となった。

しかし翌日、「昨夜はありがとうございました。ご馳走さまです」というお礼のLINEは来た。しかしそれ以降、パタリと連絡がない。

僕のほうから連絡をしても、もはや既読スルーだ。

― 僕に気がなかったら、そもそも旅行もしないし二人きりで食事も行かないよな…?

絵里奈の気持ちが分からず、僕は鳴らないスマホを見つめている。

▶前回:年収5,000万・外銀勤めの夫に渡される生活費は、月8万円。友人のエルメスを見て思わず…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が見ていた全然違う景色とは?