中国のネット規制を司るサイバースペース管理局が、半導体製造大手・Micronの製品について「比較的深刻な、潜在的ネットワークセキュリティ問題がある」として審査に合格しなかったことを明らかにしました。また、審査不合格に伴い、重要なインフラの管理者に対して、Micron製品の購入を停止するよう呼びかけています。

美光公司在华销售的产品未通过网络安全审查-中共中央网络安全和信息化委员会办公室

http://www.cac.gov.cn/2023-05/21/c_1686348043518073.htm



China tells tech manufacturers to stop using Micron chips, stepping up feud with United States | AP News

https://apnews.com/article/china-us-micron-processor-chip-technology-de338cb39118d7fe4de984c640fec967



China Bars Purchases of Micron Chips, Escalating US Conflict

https://www.msn.com/en-us/money/other/china-bars-purchases-of-micron-chips-in-escalation-of-us-clash/ar-AA1btFat

China Bans Micron Chips in Wake of Cybersecurity Review | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/micron-products-banned-by-china-in-wake-of-cybersecurity-review

サイバースペース管理局(CAC)によると、Micron製品のネットワークセキュリティの問題は、中国の主要な情報インフラのサプライチェーンに重大なネットワークリスクをもたらし、中国の国家安全保障上に影響を与えるものだとのこと。

一方で、「中国は広範な対外開放を断固として推進しており、中国の法令を順守する限り、あらゆる国の企業やさまざまなプラットフォームによる中国市場への参入を歓迎します」と記しています。

IT系ニュースサイトのTom's Hardwareは、CACの決定について政治的、経済的な背景がある可能性を掘り下げました。

政治的背景として挙げられているのは、アメリカが2022年10月に行った追加の貿易制限です。もしこの制裁がMicron製品を禁止する動機になったとすれば「報復の応酬」だとTom's Hardwareは指摘しています。

中国がAIとスパコンを駆使して兵器開発や暗号解読を行うのではないか」という疑念でアメリカは中国への半導体輸出を取り締まっている - GIGAZINE



また、経済的背景としては、中国半導体産業がDRAMとNAND生産で利益を出せるようになったことで、Micron製品に頼る必要がなくなった可能性が挙げられています。

事実として、中国政府は「半導体の自給自足」を目指して、年間2000億円以上の補助金を国内向けに投じています。

中国政府は年間2000億円以上の補助金を国内の半導体関連メーカーに投入して「半導体の自給自足」を目指している - GIGAZINE



なお、市場はこの発表による影響は大きくないとみているのか、記事作成時点でMicronの株価は大きな動きを見せていません。