日本ハム「育成球団」は過去の話…選手が育たなくなった責任は監督かフロントか

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今季は優勝を目標に掲げている新庄監督(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 すっかりBクラス常連の日本ハム。就任1年目の22年、リーグ最下位に沈んだ新庄剛志監督(51)が「優勝しか目指さない」と臨んだ今シーズンも、開幕から低迷が続いている。昨年からの上積みも乏しく、日本ハムファンのフラストレーションはたまる一方だ。

 3日の西武戦(ベルーナドーム)は1−3と敗れた。打線は4回に4番・野村佑希の適時三塁打が飛び出し得点を奪うも、後が続かなかった。1点を追う7回無死満塁のチャンスには松本剛が投ゴロ併殺、続く谷内亮太が中飛で無得点に終わった。西武打線を上回る11安打を放ちながら、11残塁の拙攻で連勝は3でストップとなった。

【動画】3日の西武戦、4回に相手先発の平良を攻め込み、野村の適時打が飛びだすも勝利には結びつかなかった

 今シーズンも限られた戦力をやりくりしている新庄監督の采配が、SNSで批判されたり、議論となるケースが多い。だが、球界では「監督の采配で勝てるのは年間あっても数試合」といわれている。長いシーズンを見れば、根本的なチーム編成、補強の差が順位となって現れる。

 日本ハムの年俸総額は12球団でもっとも少ない。少ない予算でも、これまでの強みは新陳代謝を促す育成システムにあった。育てた選手を引き留めず、高年俸のスターに育てば他球団に放出してチームの資金を獲得し、空いたポジションで競争させる。有望な若手には試合数を確保することでチャンスをつかむ環境を与え、新たな選手を台頭させるビジネスモデルを作った。

 「卒業システム」とも呼ばれる経営戦略で、育成と勝利の両立を成功させてきたが、近年は陰りが見えている。ここ数年でも中田翔、西川遥輝、近藤健介といった看板選手が出ていくばかりで、穴埋めするような若手が出てこない。ドラフトで獲得した選手の成長が不可欠なシステムだけに、成長が見込めなければ機能不全となる。

 低迷する日本ハムはこれから若手の数選手が爆発的な活躍でもない限り、戦力が違う他球団との順位は開く一方だ。開幕1か月をみると、万波中正、4番の野村佑希がチーム最多となる4本塁打と気を吐いているが、清宮幸太郎は故障で離脱中。投手陣もチーム防御率はリーグワーストで、接戦に弱い。当面の穴埋めをしてほしい外国人助っ人も来日後、1勝も挙げていないガント、昨年、ノーヒットノーランを達成したポンセはともに故障のため、「リハビリ帰国中」と厳しい状態で、チームの弱体化に拍車をかけている。

 功労者でもコストに見合わないと判断した時点で放出するドライな球団経営は、当然リスクもある。生え抜きスター選手不在で、チームの不振が続けば、離れるファンも出てくるだろう。実際、本拠地を新球場に移転した今シーズン、勝てないチームに集客も苦戦している。

 優勝したのは大谷翔平が日本ハム最終年だった16年が最後。大谷のメジャー移籍後6シーズンで5度のBクラスと低迷期に入った。若手の伸び悩みが続く原因が、現場にあるのか、選手のスカウティングにあるのか、フロントにあるのか。ファンが求める魅力あるチームにするにはどうすればいいか、検証しなければならない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]