ダークポックダンスアイドルユニット・クロスノエシス。左から、AMEBA、MAI、FLAME、RISA、LAKE。

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AMEBA、FLAME、LAKE、RISA、MAIの5人のメンバーで活動してきたダークポップダンスアイドルユニット・クロスノエシス。その、他にはない唯一無二のサウンドとダンス、独特の世界観でファンを虜にしてきた彼女たちだが、5月20日のワンマンライブをもって、無期限活動休止をすることが発表された。今回アニメージュプラスでは、5人のメンバーに加え、プロデューサーでありクロスノエシスの楽曲をすべて手掛けているsayshine氏を迎え、4月25日に発売となるラストアルバム、2nd mini album『moment』のこと、さらには近年の活動のこと、そして活動休止に向けての想いを聞かせていただいた。

>>>クロスノエシスの5人を見る(写真4点)

◆『moment』はラストアルバムとして作られた?◆

ーーでは最初に、みなさんの最近のマイブームをお聞かせください。

AMEBA 最近のマイブームは『ポケモン バイオレット』のテラレイドでポケモンをたくさん捕まえることです。

FLAME クリスマスプレゼントに、AMEBAからもらったミントを育てることです。

LAKE マイブームは、掃除をすることです。

MAI ファミマの「冷やし胡瓜一本漬」にハマってます。美味しいです。

RISA マイブームは、『ポケモン スカーレット』をやることです。

ーーありがとうございます(笑)。今回はメンバーだけではなく…。

sayshine クロスノエシス・プロデューサーのsayshineです。よろしくお願いします。

――sayshineさんも交えて、お話を聴いていきます。今回のアルバム『moment』は、いつくから制作が始まったんですか?

sayshine まず、配信された『devotion』、『stable』、『insane』の三部作を作ろうということで、『entity』というスタジオライブに合わせて作り始めました。

ーーその時には、活動休止は決まっていたんですか?

sayshine いや、決まっていなかったです。

ーーそうなんですね。活動休止を知っていて聴いているのもあるかもしれませんが、今回のアルバムのどの曲もラスト感が強いですよね。

AMEBA 確かに。

LAKE 最初聞いたときは普通に「2枚目のミニアルバム出させてもらえるんだ、嬉しい」というだけでしたね。普通にその次のシングルの話もしていましたし。

sayshine 今回、ジャケットの色が黒くて、喪を表す色みたいになっているのですが、三部作の時点から『devotion』が青で『stable』がピンクで『insane』が黄色、それは印刷のインクのCMYKから取っていて。だから今回のアルバムのジャケットはCMYを合わせた黒にしようと最初から考えていました。
前回のアルバム(2022年4月12日発売の『circle』)も、その前に発売した200円シングルがそれぞれRGBでそれが合わさって、白のジャケットになっていたんですよ。なので、ジャケも偶然ですがラスト感が強まっています。

ーーそれは知りませんでした! ラストのアルバムとして作られたのかと思いました。

sayshine クロスノエシスは ”死” や ”終わり” を歌った曲が多いので、いつも通りといえばいつも通りです。僕は、人間は死に向かって生きていると思っているんです。”生をまっとうする” という意味で。アイドルも絶対に終わりが来る、常に終わりに向かっていて…だからこそ、アイドルっていいんだと思います。

◆『devotion』『stable』『insane』三部作◆

LAKE 『devotion』は最初に聴いたデモ音源と、完成形が一番違っている曲ですね。

FLAME レコーディングも、まだ完成していない曲でやることが多いんですよ。編曲がすべて終わって完成したものを聴いたら、全然印象が違いました。

sayshine クロノスあるあるですね(笑)。僕は、ギリギリまでイジりたい人なので…。

RISA 「どうせ、音全部変わるんだろうな」とはいつも思っています(笑)。

LAKE その中でも『devotion』は、ずっとデモ音源で振り入れもしましたし、スタジオライブ『entity』も収録しました。長い間デモを聴いていたので、ガラッと変わったと感じました。

AMEBA 曲を作った時期から、提出期限が長ければ長いほど変わるということですね。

全員 (笑)

ーーAMEBAさんは作詞をされています。

AMEBA 作詞する時はいつも曲が来て、それを聴いてイメージして詞を書くんですけど、今回は3曲あることは決まっていたので、テーマを決めるのに時間がかかりましたね。ちゃんと考えておかないと、あとの2曲がたいへんになるので。『幻光』の時も、『光芒』と『幻日』という3曲でテーマを一貫させるというのが難しかったんです。だから『devotion』には時間をかけて、すごく考えて作りました。

ーー曲をもらう時に、sayshineさんから指示はあるんですか?

AMEBA 曲によってはテーマを伝えられることもあるのですが、基本は無いです。自分のイメージで書いて、sayshineさんに提出して、そこであっているか確認してもらうという感じですね。

sayshine 音の響きに合わせて言い回しとか変えて欲しい、くらいですね。

ーーAMEBAさんは、三部作の歌詞のテーマを、どのように考えたんですか?

AMEBA 私はまずクロスノエシスの曲である、といった前提からイメージを広げたり詞を考えることが多いんですね。今回はグループの "名前" という要素から連想して、精神や思考に及ぼす作用をテーマに考えました。精神に及ぼす作用とはつまり自律神経だと思うんですけど、その自律神経には、交感神経が優位な状態、副交感神経が優位な状態、2つのバランスが取れた安定状態があって、その3つをCMYの3色と3曲に当てはめて考えました。
黄色の『insane』が興奮状態の交感神経優位、青の『devotion』が抑圧された副交感神経優位、ピンクの『stable』が拮抗し安定した状態...それで曲名から決めて行きました。
(注:それぞれの英語タイトルは、insane/狂おしい・非常識、devotion/献身・没頭、stable/安定・永続性のあるというような意味がある)

RISA 初めて知った…。

LAKE そうなんだ、すごい…。

AMEBA そういう話は恥ずかしいので、メンバーにもいつもしないんです…。振り付けの先生に聞かれたら、説明するくらいです。

ーー話してくれて、ありがとうございます! 曲名から先に決めたのは意外でした。

AMEBA 『devotion』は歌詞を先に書いていたんですけど、あとの2曲は先にタイトルを決めました。これまで、曲名はあとから決めるのがほとんどだったので、この3部作は特殊ですね。『devotion』の歌詞に関しては、スタジオライブ『entity』で歌うことが決まっていたので、それにも合わせたかったんですよ。entityは実体・存在といった意味を持つ言葉なのでその要素を取り入れたのと、演出会議に参加した際に、ライブは煙の中にいて何も見えないようなところから始めることが決まったので「光彩は煙のようにゆれて」という出だしに決めました。事務所の名前であるekomsから煙のイメージを歌詞に取り入れた、というのも理由のひとつです。

ーーいろいろなものが絡みあって、歌詞ができているんですね!

AMEBA クロスノエシスというグループ名の意味、entityというタイトルと演出、そういうものがすべて重なり合う地点が『devotion』だったという感じです。

FLAME 多分時系列で、順番にいろいろなことを書いていくと、その辺はわかりやすいのかなと思います。

LAKE すごく、興味深い話を聞けました。

AMEBA れーちゃん(LAKE)は、いつも歌詞について質問してくれるんですよ。

LAKE 歌詞について聞くの、楽しいです。『stable』は?

AMEBA 『stable』は、穏やかな曲調と激しい曲調が交互に来る曲なので拮抗するふたつのものをそこに感じました。あとは自然と私たちに根付いている死生感をテーマに、クロスノエシスもその命と ”変わらないもの” だという意味を込めて書きました。

sayshine 難しい歌詞が多そうだけど、実はクロノスの曲は自分達のことを歌っていることが多いです。

RISA 最後の「訪れる 終わりは 変わらないもの」というのは、珍しくわかりやすい歌詞だよね。

AMEBA 歌詞の部分が短いのもあって、抽象的になってしまったので、最後はわかりやすくテーマである言葉で終わらせました。ループから抜け出す、というのもクロノス初期からのテーマとしてあったので、流転の中で終わりが来るけど、それは自然の原理で、変わらないもの...と。

sayshine さっき言った、アイドルは終わりがあるからこそいいというのもあって、とてもいい歌詞だなと思っています。

ーー3曲目の『insane』は「輝いてみたい」「輝いていたい」という歌詞が印象的ですね。

AMEBA この曲はそのサビから完成しました。わたしはいつも、難解な単語を歌詞に入れがちなので、サビではちゃんと聞き取れて感覚的に伝わる歌詞にしたいと思っているんです。そこで決まっていた要素である黄色という色、insaneという言葉、交感神経の作用、それに「ステージで輝く存在でありたい」という気持ちからサビを決めました。クロスノエシスのコンセプトに「日常に苦しみを抱える「あなた」の暗闇を、一粒の光のように照らします」というのがあるので。そして、サビという最高潮で輝くためにはどう持っていくか、というのを考えた結果、感情の起伏や葛藤などを部屋から空へ、と情景と思考を混ぜるように表現しました。

ーーありがとうございます! では、sayshineさんはどのように考えてこの三部作を作られたんですか?

sayshine 僕としては、『devotion』はJ-POPから逃げないというルールの曲です。アイドルとして定期的にそういう曲を入れるようにしているんです。Aメロ Bメロ サビ Aメロ Bメロ 落ちサビ ラスサビ、ケチャもできます、みたいなのを。そういう曲です。『insane』はいつものクロノスの曲ですね。『stable』はこれからのクロノスと考えて作りました。

LAKE そうなんですね。初めて聞きました(笑)。

RISA sayshineさんも、AMEBAも、いつもなにも説明してくれないんですよ。

◆特殊な企画から生まれた『atmosphere』◆

ーー『atmosphere』はRAY、代代代というアイドルグループと、同じタイトルの曲を作るスプリットシングルから生まれた曲ですが、制作は三部作と同時期ですか?

sayshine 『devotion』『stable』『atmosphere』『insane』の順番ですね。

ーーAMEBAさんはどのように考えて、『atmosphere』を作詞したのですか?

AMEBA 三部作はタイトルから歌詞からかなり意味を持たせたので、『atmosphere』は浮かんだ情景から描くことに重きを置きました。最初に曲を聴いた時に、霧がかかった森の中のイメージが浮かんだんです。『atmosphere』は ”大気”、"雰囲気"、"空気" というような意味を持つのと、大気が存在するのは重力があるからだなと思ったので、重力の要素も入れました。そんな浮かんだ情景と言葉が持つ意味たちを掛け合わせた壮大な世界観のなかで、最後には光の下で2人だけになる、という物語に仕上げました。人間が歌う曲には愛という要素は必要だなと思っています。

ーーsayshineさんは最初、『atmosphere』はインスト曲にしたかったとツイートしていましたね。

sayshine タイトルが送られてきて「これしかないでしょう」という曲を作った…のですが、最初はインスト曲にしたかったんですよ! 3グループの中でどれだけ尖るか勝負だと思って、でもあの2組に負けないためにはインストしかないかなと。でも「ダメ」って言われたので(笑)。

メンバー全員 (笑)

RISA ”どれだけ尖るか勝負” というのは、3グループでツアーを回った時に感じましたね。各プロデューサーさんがうちのグループはこんなに尖れるぜというステージでしたね。

◆『moment』の中で注目して欲しい曲は?◆

MAI 前回のアルバムの曲と比べると、今回の曲は激しい振り付けの曲ばかりなんですよ。「こんなに踊るの??」って、振り付けするたびに思っていました。ダンスという視点で言うと『Gravity』に注目して欲しいですね。わたしとRISAちゃんが踊りすぎだよね。

RISA そうね。めちゃくちゃ踊ってますね。

FLAME 2人とも、めっちゃカッコいいよ。

MAI でもまだまだいけると思っていて、ステージで披露していくうちに、どんどん踊りを完成させたいと思っていますね。「もっとカッコよくできる!」と思っています! 最後まで、突き詰めて行きたい曲ですね。

sayshine 歌詞はほかの曲とは違って、クロノスとは違うアナザーストーリーというか、”重力の子どもたち” の物語ですね。

FLAME 振り付けのわこ先生が、歌詞を読んで別世界の自分たち…というような物語の振り付けをしてくれました。

LAKE RISA、MAIグループと、あとの3人のグループが、別世界の存在という設定の振り付けです。例えば1サビだと、「飛び立て 動かせ」をわたしが歌って、「重力のこどもたち」を別世界のRISAちゃんが歌って、「共鳴の中で」を2人で歌って、振りでは全員で共鳴しあっています。

sayshine わこ先生には説明していないんですけど、そういう解釈がバン! とハマったときが楽しくて、やめられないんですよね(笑)。

FLAME わこ先生はいつも物語とか世界観を重視した振り付けをしてくださいます。それに対していどみん先生は、音を重視して音ハメした振りや、振りコピしやすい振りをつけてくださいますね。

AMEBA いどみん先生は音を身体で表現するのがダンスだとおっしゃっていて、それを聞いて、わたしはすごく踊りやすくなりました。音になればいいんだ!って。

sayshine 『lost moment』のサビは、メロディを元に音ハメをしていて、そう意識して見ると、おもしろいですよ。

RISA わたしは、『lost moment』が一番好きですね。
前回のアルバムで『nursary』という曲があって、好きだったんですけど、それはsayshineさんが…。

sayshine 僕がメンバーくらいの年齢の時に作った曲なんです。

RISA 『lost moment』も…。

sayshine 実は『lost moment』は前回のアルバムの頃に曲だけは作っていたんですけど、今では無いと思って温めていた曲で、今回のアルバムを作るタイミングで入れることを決めました。

RISA あっためていた曲を、好きになりがちかもしれません(笑)。なんで1回お蔵入りにしているのか解らないですけど「sayshineさん、ありのままでいいんやで」って思ってます(笑)。

全員 (笑)

RISA もうファーストインプレッションから好きな曲ですね。メロディラインが切なくて。わたしは難しいことを考えられないんで、完全に感覚で好きになりますし、感覚でこの曲はこうしようとか決めるんです。正解は求めないというか、わたしの感覚でいいじゃんと思っているので。

sayshine 僕はBメロがものすごく好きですね。自分で作っておいてなんですが(笑)。

RISA いや、わたしもめっちゃ好きです。いいですよね。

sayshine 最初は『moment』っていうタイトルでした。

LAKE レコーディングの時は『moment』ってタイトルでしたよね。

sayshine 活動休止が決まってから『lost moment』にタイトルを変更しました。

ーー『full moon』はまたまったく違う、明るく楽しい曲になっていますね。アニメのOPやEDでもいけるような曲だと思いました!

LAKE 歌っていて楽しいです。

RISA デモの段階では、もうちょっと大人っぽかったんですけど、最終的に変わりましたね。

ーーステージでRISAさんがものすごい笑顔なので驚きました。

RISA 珍しく笑ってます。ちゃんとこの曲は気持ちを切り替えて、笑顔で歌おうとしていますね。これまでクロノスの曲中で笑顔というのはほとんどなかったんですけど、この曲は長尺のライブのことも考えて、緩急つけるために意識して変えました。

FLAME 個人的には、音楽的に好きな曲と、振りが好きな曲と、ライブで披露していくうちに好きになっていく曲があるんです。『full moon』は、その中でも3つ目のパターンです。ライブでやってお客さんの反応を見て、どんどん好きになった曲ですね。他の曲はカッコいい曲も振り付けの中で、自分なりにポップなダンスをしてみようとしたりしているんですよ。でも『full moon』はそんなこと考えなくても、自然に笑顔になって、自分自身も楽しくパフォーマンスできている曲です。それにクロノスを知らない人にも、好きになってもらえそうな曲なので、お気に入りです。

MAI お客さんにも『full moon』好きという人が多いんですよね。なんかこの曲が始まると、お客さんも明らかに笑顔になっているので、わたしも意識せずとも自然と笑顔になっちゃいますね。

sayshine それに抗うために、Bメロは7拍子になってます。

RISA (笑)。歌ってるのは、MAIちゃんとれーちゃんです。

MAI あそこは苦労しました。レコーディングの時にRISAちゃんに「歌って〜!」ってお願いして(笑)、どうリズムとればいいかとかブレスのタイミングとかを教えてもらいました。でも初披露から3回目くらいまでは、怖かったです。みんな楽しい曲と言ってるけど、うちらドキドキだったよね!

LAKE 「今日『full moon』あるよ!」って、2人で本番前に音源聴いて確認したりしてました! 

MAI だんだん笑顔が増えたのは、その恐怖がなくなったのもあるかもしれないですね。お客さんも披露何回目かになると「あそこの変拍子がいいよね」と言ってくる人も増えて(笑)。クロノスのお客さんは、変拍子に反応する人ばかりで。

ーーekomsのヲタクは「変拍子きたー!」って喜びますからね。

FLAME 変拍子はわたしも好きなんですよ。『full moon』最初聴いた時「変拍子だ!」って巻き戻して聴いてましたから(笑)。

sayshine 『full moon』『デザイン』『previously』は、ekomsっぽさを意識した曲です。

RISA 確かに、その3曲好きっていうお客さん多いですね。

FLAME セットになってるよね。

AMEBA 偶然なのかどうなのか、アルバムに1曲ずつ入ってますね。

LAKE わたしは今回のアルバム曲は全部好きで、悩んじゃうんですけど…『gone』がいま一番好きです。最初に歌詞を読んだ時に、最後の曲だというのを実感したんです。命だな、命の終わりの曲だなと。レコーディングしたのもこの曲が最後で、最後の曲にふさわしい曲なんです。

sayshine この曲は最後に作った曲です。最初は8曲の予定だったんですが、発売日が延期になったことによって、この曲が増えて9曲になりました。

LAKE イントロがいいですよね。なんかお寺の門をくぐっていくようなイメージです。

sayshine 構想自体はだいぶ前からありました。『瞑』のMVを作っていた頃だと思うので、1年ちょっと前で、このタイミングでやっと形にできました。曲的には、完全に僕の趣味に振った曲です。

LAKE この曲はいつもと違って、sayshineさんからかなり説明をしていただきましたね。

FLAME いつもはそんなに説明してくれないですからね。

sayshine 「こんなの思いついちゃった!」「これよくない?」…という感じだったんですよ(笑)。歌詞に関しては、これまでのすべてがこの曲に繋がる…ようなイメージです。『gone』というタイトルは消失というような意味なんですけど、ほかにも意味がありまして…歌詞にも注目してほしい曲です。

◆ここ数年のクロノスのライブについて◆

ーークロスノエシスのワンマンライブというと、Spotify O-EASTでの4thワンマン『blank』(2021年12月21日)がひとつの到達点のような気がしています。あのステージには驚きました。

sayshine あのライブから、本当にやりたいことをやるようになりましたね。それまで、やりたいことをやらなかったわけじゃないんですが、どこか普通というか、大衆受けを考えたほうがいいのか…と悩んでいたんですね。4thワンマンからは、やりたいことを全力でやると舵を切りました。

ーーなるほど、そうなんですね。なんだか様子がおかしかったじゃないですか? オープニングが途中に入ってきたり、ライブ後に公開されたセットリストが違っていたり…。

sayshine ああ、あの時は、ループ期間中だったんですよ。

ーーあのライブを作り上げたsayshineさんは、相当大変だったのではないかと思っているのですが…。

sayshine 覚えてないんですよ。大変だった時の記憶ってなくなるといいますけど、それだと思います。

FLAME あのライブの前は、sayshineさん本当に壊れちゃうんじゃないかと思っていました。

sayshine でも、そういうほうが、いいライブが作れるんですよね。

メンバー全員 (笑)

FLAME 追い込まれた方が…というタイプですよね。でもあのワンマンは、わたしは楽しかったです。自分たちのライブを、生で観てみたいと本当に思ったライブでした。

AMEBA 初お披露目の曲もたくさんあったり、大変だったのは覚えています。

LAKE 5人での『seed』もお披露目だったよね。最初出てきて、ポーズ取った時のお客さんのざわめきを覚えています。本当にわたしたちがやりたいことをやって、クロスノエシスを見せつけられたんじゃないかと思います。

RISA わたしはsayshineさんと同じで、あんまり覚えていないんですよ。それまでで最大級の会場で、自分たちのライブにたくさんの人が携わってくれているから、アイドルというか1人の人間として、プレッシャーは感じていましたね。

MAI わたしもあんまり覚えてない勢ですね(笑)。自分の感情を感じるより前に、やることを覚えていくのにいっぱいいっぱいで。

LAKE やることも覚えることも多すぎて、ステージというものに一番向き合ったライブだったんじゃないかな。

MAI それに正直、O-EASTガラガラなんじゃないかと思っていたんですよ。でもステージに出たら、お客さんで客席が埋まっていて、うちらO-EASTでちゃんとライブしてる! と感じたんです。始まってから、怖さが楽しさに変わったのは覚えています。

ーーそのあとはアルバム『circle』の発売を挟んで、ツアー『3rd anniversary tour”0”』が始まります。恵比寿LIQUIDROOMでのファイナル(2022年5月27日)は、アルバム曲も多く、照明も映像も凄かったですが、一番印象に残っているのがアンコールでの幕が降りたままでのパフォーマンスでした。

全員 (笑)

FLAME そうでした(笑)。幕が閉まっていても、わたしたちはいつも通りにやっていたんですよ。

LAKE 全力でライブをやっていたよね。

FLAME わたしたち的には普通にやっていたから、すっかり忘れていました!

sayshine メンバーも、照明さんもいつも通りにばっちりやっていました。

LAKE あとからお客さんに、なんで幕が閉まってたのかとかいっぱい聞かれました(笑)。

ーー本当に初めての体験で、踊っている気配は感じるけど、本当にメンバーは幕の向こうにいるのか、本当はいないんじゃないのかとか、幕が開くまでは両方の可能性があるとか、シュレディンガーの猫みたいなことを考えていました。

sayshine …そう感じたなら、それが正解です。

全員 (笑)

ーーそのあとはYouTubeで配信されたスタジオライブ『entity』(2022年10月28日)がありました。あれも、sayshineさんのやりたいことをやったのかなと思っています。曲中で衣装が変わるとか、次の曲で衣装が変わるとか。

sayshine まさにそうで『awake』の「何度でも色づいた」という歌詞で、白衣装から色のついた衣装に、セーラームーンみたいに変えたかったんです。

ーー映像だからできる、sayshineさんの考える理想のライブという感じなんでしょうか?

sayshine そうですね。いつものスタッフで、そういうライブをやってみたいと思って作りました。

MAI いつものスタッフさんに加えて、それぞれの部門でスタッフさん増えていて、さらに撮影スタッフのみなさんもいるので、ものすごい数の人が参加してくれていて、びっくりしました。

LAKE みなさんの熱意も凄くて、1曲を何度も撮ったりして、普段のワンマンライブ以上に体力を使いました。

RISA クロノスのライブって映像みたいだとよく言われるんですけど、本当に映像にすると、より完ぺきにできて、映像の中に閉じ込められたみたいな感覚になりましたね。

ーーそして今年に入って5thワンマンライブ『salvations』は、歌を聴かせてダンスを見せるというような、これまたまったく違うライブでした。

RISA 1年ちょっと前の4thワンマンで、これだけ自分たちはやれる、これだけのお客さんが見にきてくれるということを実感できたんで、自信を持つことができました。だから5thワンマンは、受け止めてくれるお客さんに向けて、自分たちの実力を見せつけるというライブでした。

ーー一番高いS席のお客さんが、かなり多かったのには驚きました。

FLAME ちゃんと予定を開けて、高いチケットを買って、この日はクロノスを観る日だと決めてきてくれるお客さんが、たくさんいて…ありがたい気持ちはもちろんありますけど、それに見合うパフォーマンスをするために毎日レッスンを重ねて、1曲1曲の練度を上げてライブに挑みました。

AMEBA ストレートなライブと言われがちでしたが、セトリの流れにはちゃんとストーリーはあったと思います。

RISA 『3rd anniversary tour”0”』を経て、ステージの演出に頼らないパフォーマンスはできたんじゃないかなと思います。

sayshine 会場のキネマ倶楽部自体が歴史と世界観のある場所じゃないですか。だからそこで、シンプルなクロノスのライブをしたいと思いました。

FLAME 特徴でもあるサブステージをどう使うのかと、想像していたお客さんはいたみたいですけど、それも使わず、わたしたちのパフォーマンスだけを見せるライブでした。

◆そして5人はラストライブへ…◆

ーーそれを経て、5月20日のラストライブ、4th anniversary one man live『plant』があるわけですが、最近対バンや定期公演などでステージを観るごとに、どんどん完成度が上がっていて、どこまでいっちゃうのかと思っています! みなさんはラストライブに向けて、現在どのように考えているのかを最後にお聞かせください。

RISA 終わることに重きを置く…みたいなsayshineさんの死生観に影響されているのかもしれないですけど、自分もいまそういう考えなんです。ステージを褒めていただいて嬉しいですし、今を一番よくしたいとはずっと思っていますけど、物語の終わりに最高のものを見せたいんです。昔の有名な作曲家も、死後になってから評価された人は多いですよね。アイドルグループも同じだと、自分は勝手に思っていて、ライブ活動が終わるからクロノスがすべて終わるわけではないですし、だったら一番いい状態で終わりたいんです。今後もクロノスの音楽に出会ってくれる人がいると思うので、クロノスという作品を残すため、なにができるのかを考えながら、新曲の完成度を高めていこうとしていますね。

FLAME 尻すぼみにはなりたくなかったので、5月20日で終わりって自分たちで決めました。決めたからには、ずっと最高値を更新していきたいです。でも終わるからといって、これまでと違うマインドにはなりたくないんです。これまで通り、できる限りの、最大限のパフォーマンスを見せるために、日々のライブもレッスンもがんばり続けています。ラストまで、みなさんよろしくお願いします。

MAI わたしは1回アイドルを辞めて、表に出ない生活をしていた時期もあるんですが、その時に感じたのは、自分たちが与えたものも、与えたもらったものも、記憶にあるものも、過去にあったことも消えないし、思い出せない瞬間はあっても、なくなることって本当にないんだということなんです。だから、終っちゃっても消えるわけじゃないというのが自分の中に強くあります。5月20日までに、みなさんに与えられるものはすべて与えたい、できる限りのことをすべてしたいんです。メンバーみんな、同じ気持ちでいるのも嬉しいですね。レッスンしていて、いまだに初期の曲でもここはこうしたほうがいいんじゃないかとか話し合ったりしてますし、ラストだから手を抜くなんて人はいないし、共通意識を持って、ラストに向かえています。5月20日以降も、みなさんの人生を救える存在でいられれるといいなと、思っています。

LAKE 頭では理解しているんですけど、終わるということが実感できていないのが正直なところです。最後の○○みたいなのもどんどんやってくるんですけど、クロスノエシスでの4年間がわたしの日常になりすぎていて、ラストライブの後、もうクロノスのライブがない…という実感がないんです。でもわたしがこうして存在しているのは、ファンのみなさんのおかげですし、わたしがここにいたというのを残せるのも、みなさんのおかげだと思っています。大切なみなさんに最後まで愛を伝え続けます。
今後の人生で、ふとした瞬間にみなさんが私たちのことを思い出せるような、そんな心の支えになりたいと思っています。
その気持ちを持って、最後まで活動していきたいと思います。

AMEBA わたしはアイドルを始めた時から、終わる時は一番綺麗な状態で終わりたいとずっと思っていました。5人になったクロスノエシスが、5人のままで最後を迎えられる。わたしはいまのこの5人のパフォーマンスが、一番綺麗な状態だと思っています。そんな状態で終われるのが嬉しいんです。自分はアイドル向いていないとずっと思っていて、でもステージで表現するのは大好きで…そんなわたしが、クロスノエシスというひとつの命がはじまって終わるまで立ち会うことができてよかった。みなさんの心に残るような存在になりたいので、最後に最高のライブで終わりたいと思っています。

ーーでは最後、sayshineさんお願いします。

sayshine ついこの間のライブのステージでも、ずっと上手くできていなかったところができるようになったりしていて、いまだに5人は成長しているんですよ。本当にこの5人がいまでも上を目指し続けているんだと、僕も実感しています。そういう5人を、できるだけ観て欲しいです。ラストライブに関しては、今作っているところですが、アンコールはありません。自分たちも一瞬一瞬を大切にしていきますので、みなさんも一瞬一瞬を大切に、見逃さないようにして欲しいです。