外環道「関越〜東名」は″逆走″構造!? 地下トンネルが右側通行になっている「2つの理由」
工事が進められている外環道の「関越〜東名」区間は、対向車線が左側を走る配置になっています。なぜこのような「逆走」のような構造になっているのでしょうか。実は開通済みの高速道路にもあります。
大泉JCT南側で上下車線が「クロス」
工事が進められている外環道の「関越〜東名」区間(画像:国土交通省)。
工事が進められている外環道の「関越〜東名」区間。大泉JCTからさらに南下し、三鷹付近で中央道と、多摩川の手前で東名と接続します。本線トンネルは上下線それぞれ別に掘削され、大深度地下で都内を南北に縦断していきます。
ところで図面を見ると、上下線の2本のトンネルは、大泉JCT南側で互いにクロス。一般的な日本の道路とは逆の「左が南行き、右が北行き」という配置となっています。
もちろん互いの車線は見えないので、左側を走る対向車線には気づかず、運転中に“逆走”しているような感覚になることはないはず。とはいっても、なぜこのような配置にしているのでしょうか。
東京外かく環状国道事務所は「上下線のシールドトンネルは、複数の『横連絡坑』という待避路で結ばれています。一方のトンネルで緊急事態が発生した場合、利用者はクルマを路肩へ停車させ、この待避路を通じてもう片方のトンネルへ逃げ込むこととなります」と話します。
「上下線のトンネル配置を逆にすれば、"進行方向左側にある路肩"が、上下線で向き合う形になります」
さらに事務所は、地元住民からの質問に対して、もうひとつの理由も提示しています。それは、「本線の左車線からランプ分岐をさせたい場合、上下線のトンネル配置を逆にすれば、ランプ部が本線と本線に挟まれる形となり、建築物の基礎等が支障となるのを避けられる」とのこと。一般的な車線配置で左車線側からランプを分岐させると、その分の用地が必要になりますが、本線を逆配置にすると、左側から“本線と本線のあいだ”へ、省スペースにランプを作れるというわけです。
このような設計は、首都高中央環状線の「山手トンネル」大橋JCT〜大井JCT間でも採用されています。上下線は計2回クロスし、そのあいだずっと「右側通行」となっています。これも同様の理由で、初心者が苦手とする「右車線分岐・合流」も回避されています。