日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。「私の気持ちは完全に無視されていました」と語る朋美さん(仮名・52歳)にお話を伺いました。自分本位な夫は自分がしたいときにだけ、朋美さんの寝室を訪れたといいます。仕事、家事、育児にひとり大奔走するなか、第二子、第三子、第三子も誕生。傍からは幸せそうに見えてもじつは毎日泣いていたという当時のお話を伺いました。

レスなのに定期的に子どもが生まれた理由とは?

第一子の出産直前、大きなおなかの妻に引っ越し作業を丸投げしてきた夫の話を前回しました。

産後も育児に協力するどころか、夜泣きがうるさいと言って、一方的に別の部屋で寝ることにした夫。しかし、自分がセックスしたいときだけ、妻と子どものいる寝室にやって来たといいます。

●夫にとって私の存在ってなに?避妊もせずに…

子どもの夜泣きが始まって以降、私と子どもは1階、夫は2階の部屋で寝ることになりました。ミルクをあげて、哺乳瓶を洗って、おむつ替えをして…。夜泣きがひどくて一晩中抱っこしていて、夫は気がついても協力してくれることはまったくなく、一緒に住んでいるのにワンオペ状態が続きました。
そんなある夜、私と子どもが眠る寝室に夫がのこのこやって来ました。急に私に覆いかぶさって「もう一人欲しいでしょ」と言って、避妊もせずに勝手に始めたのです。

育児もしないくせに…思いましたが、私はもう疲れすぎて思考停止状態でした。ほとんど反応をしないまま、夫はひとりさっさとコトをすませ、とっとと2階に上がっていきました。

こうして、夫は自分がしたいときにだけ降りてくるという状態が継続しました。私は2年後に第二子、そのまた2年後に第三子と立て続けに男の子を出産。子どもはかわいいし、うれしい気持ちはありましたが、ただ自分のタイミングで行為をするだけの夫に対しては、もう愛情はほとんど感じられなくなっていました。

●困ったことがあるとすぐに実家を頼る夫

夫の家までは歩いて15分の距離。共働きをしていることに文句を言っていた姑も、孫が誕生するとメロメロになってたくさんかわいがってくれました。朝のゴミ出しで意見が対立して意向、険悪だった空気も少しずつやわらいできました。
ある日、夫の休日に「私が美容室へ行く間、3時間だけ子どものことを見ててね」と子守を頼んだのですが、髪を切って家に帰ると、夫も子どもたちもいない…。

どこへ行ったんだろう? と思って夫に電話をかけると「子どもがウンコしたから、実家に来てる。オムツ替えられないもん、俺」と言うのです。
3人目になっても、おむつ替えすらやる気のない夫に唖然としました。本当に頼る場所がなければ自分でなんとかしたのかもしれませんが、実家が近すぎることが悪い方へ影響していた気がします。

夫は困ったことがあるとすぐ実家へ帰ってしまうようになりました。
唯一救いだったのは、姑が孫のお世話を喜んで引き受けてくれていたことでした。

●レスの始まりは私だった。もうしたくない

この頃は性行為だけじゃなく、キスやハグ、手を繋いだりするなど、夫とのスキンシップが全部嫌になっていました。産後のホルモンバランスや年齢的な問題もあったかとは思うのですが、夫の自分本位な態度に心底愛想が尽きてしまっていたのです。

妊娠、出産、産休、育休を経て仕事復帰を繰り返し、子育てと家事を一手に引き受けながらも私がフルタイムで働き続けることにこだわったのは、心のどこかで夫と添い遂げるのは無理だという予感があったからだと思います。いざというときのために経済的に自立しておきたいという気持ちが強かったです。

●周囲に見せている自分と本当の自分のギャップに涙する日々

子どもが3人もいると、周りからは「幸せそう」とか「うらやましい」と言われることが多かったですが、子どもたちが寝静まって夜一人になると、時々寝室で泣いていました。

疲れすぎていて、なんで泣いているのか自分でもよくわからないけれど、ホッとするたびに涙が出てしまうのです。子どもたちの前で常にがんばっている自分と本来の自分のギャップが大きすぎて、いろいろ限界がきていたのかもしれません。
なにも知らない夫は、相変わらずしたいときだけ下に降りてきて、終わったら上の部屋へ戻って行く…。ほとんど夫がひとりでしているような行為でも、タイミングよく妊娠…。

気がつけば、私は4人目を授かっていました。夫に愛はなくとも、子どもは別。毎日必死でしたが、とにかく優先順位のいちばんは子どもたち。なんとしても私が守って育てるんだという決意が強くなりました。

●「えぇ〜また男かぁ」と肩を落とす夫に呆れ

「今度こそ女の子が欲しいな」と私も期待こそしていましたが、エコーで4人目も男の子であること判明。その結果を夫に伝えると「えぇ〜また男かぁ、まじかぁ」。明らかに落胆の表情を浮かべられました。アニメだったら「チーン」という効果音がつけられそうな顔をされたのが今でも忘れられません。

一方的に避妊もしないでしてきたくせに「予定していた子じゃない」とか「できてしまった子」という言い方もされました。
私は、予定日がクリスマスイブだったこともあり、「神様からプレゼントされる子みたいだなぁ」という気持ちだったので、夫との温度差が激しい妊娠生活でした。
しかし妊娠後期、まさかの切迫早産に見舞われ緊急入院になってしまったお話を次回したいと思います。ダメな夫が初めて迎えた家族の大ピンチ。どう立ち向かい乗り越えていくのか、お楽しみに。