三菱自動車、ピックアップトラック「トライトン」の国内復活に期待!?

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三菱自動車は2023年度内に投入を予定している新型トライトンのコンセプトカー「MITSUBISHI XRT Concept」をタイで開催している第44回バンコク国際モーターショー2023に参考出品した。
 
【画像】新型トライトンのコンセプトカーと歴代モデル

トライトンは三菱自動車の最量販ピックアップトラック。タイのレムチャバン工場で生産し、世界約150カ国へ輸出している世界戦略車である。約9年ぶりに刷新し、6代目トライトンとして2023年度内にタイで発売した後、アセアンやオセアニアなどに順次展開を拡大していく計画だという。
 
今回披露した「MITSUBISHI XRT Concept」は新型トライトンのコンセプトカーで、存在感のある精悍な表情と厚みのあるフードからつながる水平基調で力強さを表現するとともに、前後のオーバーフェンダーやマッドテレーンタイヤなどの装着により、過酷なラリーを走破する力強さや大地を疾走する躍動感が与えられている。
 
ボディには噴き出す溶岩のエネルギーを内包する岩石をモチーフとした力強いカモフラージュパターンが施され、サイドにはラリーアートのブラインドアイコンである10本線のグラフィックが配され、三菱自動車の走りにかける情熱を表現している。
 
かつて国内導入していたピックアップトラック
 
トライトンは1978年に発売したL200(日本名:フォルテ)を起源とするピックアップトラック。初代L200は日本の旧大江工場(愛知県)と一部はタイのレムチャバン工場で生産し、グローバルで展開していた。
 
以降、2代目は1986年にストラーダとして国内販売、1995年登場の3代目からはタイでの生産シフト。国内へは1997年に輸入販売の形で導入された。
 
トライトンとして2006年に輸入販売
 
そして2005年に登場した4代目L200は“スポーツユーティリティトラック”をコンセプトにこれまでの武骨なオフロードトラックから、曲面を多用したスタイリッシュなピックアップトラックとして生まれ変わり、トライトンとして2006年より輸入販売された。
 
世界一過酷なダカールラリーを制したパジェロ エボリューションをモチーフとしたフロントフェイスを採用。キャビンとカーゴベッドを融合するJラインなど斬新なエクステリアデザインが特徴的だった。乗用車並みの快適な乗り心地も実現していた。
 
2006年8月7日の先行予約受注時点では300台を輸入販売する計画だったが、当時国内メーカーにはピックアップトラックのラインアップがなかったこともあって注目度も高く、好調な受注状況から同年9月26日の正式発売の際には、さらに300台を追加販売することになった。
 
その後、ユーザーニーズに応えた改良を施しながらスポット販売の形で輸入された。
 
そんなトライトンだったが、2014年発表の5代目となる現行型については、国内導入がなかった。
 
グローバルでは進化を続けて販売
 
5代目は、乗用車並みの快適性とピックアップトラックの機能性や信頼性を併せ持ち、プライベートユースからコマーシャルユースまで幅広く活用できる「スポーツユーティリティトラック」という4代目のコンセプトを踏襲しながら、さらに強化した商品としてリリース。「究極のスポーツユーティリティトラック」を目指し、内外装ともにさらに上質感をアップ。高級感あふれるものとなっていた。
 
2018年には、今の三菱に共通するダイナミックシールドを核とした“三菱顔”に化粧直しを敢行。現在に至っている。
 
今、ピックアップトラック市場が盛り上がりを見せる(!?)
 
国内ではトライトンの影が薄れつつあるなかで、くしくも再びピックアップトラックが脚光を浴びている。それはトヨタが2017年にタイより輸入販売を開始したハイラックスによるものだが、国内メーカー唯一のピックアップトラックのラインアップとして、こちらもアウトドアアクティビティを楽しむプライベートユース層の需要を満足させるモデル。
 
ハイラックスは2020年のマイナーチェンジで外形デザインを変更したほか、2021年にはスポーティグレードのZ GRスポーツも導入。さらなるユーザーの獲得を目指している。
 
さらにクロカンブランド随一のジープもラングラーベースのピックアップモデル、グラディエーターを2022年に国内導入するなど、日本のピックアップトラック市場もにぎわいを見せてきた。
 
トライトンがタフなラリーを制覇
 
スポーティさで言えばトライトンも、じつは負けていない。と言うのも三菱自動車が支援するチーム三菱ラリーアートによりトライトンの改造クロスカントリー車両(T1仕様)でアジアクロスカントリーラリーに参戦している。
 
2022年11月21~26日に開催されたアジアクロスカントリーラリー2022では、タイとカンボジアを舞台に東南アジア特有の大自然の中で約1週間、総走行距離約1700kmの過酷なラリーを制し、初参戦で見事に総合優勝を果たした。
 
2023年8月中旬に開催されるアジアクロスカントリーラリー2023には、大会2連覇を目指して新型トライトン(改造クロスカントリー車両〈T1〉)で参戦する計画も発表している。
 
新型トライトンの国内投入に絶好のタイミングなのではないかと
 
現在の三菱自動車はアウトランダーやエクリプス クロスといったSUVや、ミニバンらしからぬ走破性を誇るデリカD:5など、日常生活はもちろんアウトドアアクティビティを楽しめるモデルをメインに展開している。これに再びトライトンが加われば、多種多様に広がるニーズに応えることができるのではないか?
 
冒頭でも触れているとおり、今のところ日本導入のアナウンスはない。ただ、活況なSUV市場にあって、このユニークなピックアップトラックを投入すれば、ユーザーの選択肢が広がることは間違いない。
 
もうひとつ。かつてはスポーティモデルのグレード名にも採用されていて、久々に復活した「ラリーアート」についても、アジアクロスカントリーラリーを戦うトライトンが三菱自動車の国内モデルラインアップを果たせば、ブランドイメージを盛り上げるのにも十分。ラリーを通じて得られた知見をフィードバックした市販車なら、タフさや信頼感、安心感もプラスイメージになるはず。
 
グローバルに展開するトライトンが、国内のピックアップトラック市場に新たな風を吹き込むか……。新型の日本導入に期待せずにはいられない!?
 
〈文=ドライバーWeb編集部〉