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ヘアカット専門店「QB HOUSE」で働く美容師8人が2月14日、運営元のキュービーネット(東京都渋谷区)などに対し、未払い残業代など計約2836万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。原告らが加盟する労働組合「日本労働評議会」(労評)が都内で会見を開いて、明らかにした。

QB HOUSEは、直轄店と業務委託店(本社と業務委託契約をした個人事業主が従業員を雇用する)の2つの店舗運営があるが、業務委託店に雇用されると福利厚生が受けられず社会保険も加入できない状態となっているという。

原告の一人、笠川隆さんは「同じQBという看板のもとで働いているにもかかわらず、これだけの労働条件格差があることが許せない」と訴えた。

●雇用関係「QBネットとの間にある」と主張

訴状などによると、原告は神奈川県の店舗で働く美容師8人。原告らは2003〜16年にキュービーネットの求人募集をみてスタッフとして採用され、個人事業主であるエリアマネジャーが運営する店舗に配属された。採用書には、雇用主が誰であるか記載がなかったという。

その後、2014年にエリアマネジャーを雇用主とする雇用契約書を結ぶよう求められた。賃金の欄には、基本給や固定残業代の額の記載はなかったという。

原告側は、キュービーネット主催での店長会議や指導、マニュアルに基づいた業務指示があるため「実質的な使用者はキュービーネットであり、同社との間で雇用関係がある」と主張。採用書や雇用契約書に固定残業代の額が記載されていないため、「労働基準法37条の割増賃金とは認められない」と指摘している。

また、従業員が働くエリアマネジャー店では、法定労働時間が1週44時間の運用となっていた。労働基準法で定められた法定労働時間は1日8時間・1週40時間だが、理美容業で常時10人未満の労働者を使用する場合は、特例措置対象事業場として、1日8時間・1週44時間まで労働させることができる。

これについて、原告側は「各店舗が規模が著しく小さくパッケージ化された統一的な店舗運営をおこなっているため、独立性はない」などとして、特例の適用はされないと主張している。

原告の一人、林広道さんは「就業規則やルールがない中で、賃金をカットされたり同意もなく配転させられたりした。矛盾を感じて、組合を立ち上げた。この現状は今も続いている」と訴えた。

●会社側のコメント

QBハウスを展開するキュービーネットホールディングスは「訴状が送達されておらず、詳細な内容が確認できないため、現時点でのコメントは差し控えさせていただきます」とコメントした。