Cloudflareが、自社のクラウド上に構築されたオープンソースでデプロイが容易なSNSプロトコル「ActivityPub」および「Mastodon」の互換サーバー「Wildebeest」を発表しました。

Welcome to Wildebeest: the Fediverse on Cloudflare

https://blog.cloudflare.com/welcome-to-wildebeest-the-fediverse-on-cloudflare/

2023年2月9日、Cloudflareがスーパークラウド上に構築できるオープンソースのActivityPubおよびMastodon互換サーバーであるWildebeestを発表しました。





CloudflareはWildebeestを発表した理由として、「Cloudflare上にフェディバースを構築できるようにするため」と説明しており、具体的にはTwitterの競合サービスとして知られるMastodonの独自サーバーを簡単かつ手軽に構築できるようにすることを使用例として挙げています。

Mastodonを利用するには、既存のサーバーに参加するか、独自のルールを持ったサーバーをホストする必要があります。Cloudflareは独自のサーバーを実行するメリットとして、「新しいコミュニティを構築して共通のテーマとルールで他のユーザーを引き付けたいから」「サードパーティーのサーバーを信頼したり、ポリシーを順守する必要がなく、独自サーバー上で自分の選んだドメインのもと個人アカウントを作成することができる」「データ、個人情報、コンテンツを完全に制御し、インスタンス上で何が起きているかを可視化することができる」などを挙げています。

しかし、Mastodonの開発元であるMastodon gGmbHが提供するサーバー実装方法に従って独自のサーバーを構築するのは「非常に難しい」とCloudflareは指摘。「非常に難しい」理由としては、サーバーまたはVPSをレンタルし、ソフトウェアをインストールし、データベースとウェブサーバーをセットアップし、ネットワークを構築して攻撃や悪用から保護する必要があるためと説明しています。

これに対して、Wildebeestを使えばわずか数分でCloudflare上にMastodon互換サーバーを構築することが可能となります。また、悪用や攻撃からサーバーを維持・保護するための心配をする必要がなくなる点もポイントであるとCloudflareは説明しています。

Wildebeestはマネージドサービスではなく、ユーザーのCloudflareアカウントでクラウド上に実行されるユーザーのインスタンス・データ・コードです。さらに、オープンソースでもあるため、誰でも拡張・改善が可能という点も特徴です。

Wildebeestのソースコードは以下のGitHubリポジトリで公開されています。

GitHub - cloudflare/wildebeest: Wildebeest is an ActivityPub and Mastodon-compatible server

https://github.com/cloudflare/wildebeest



記事作成時点でWildebeestがサポートしている内容は以下の通りです。

・ActivityPub、WebFinger、NodeInfo、WebPushおよびMastodon互換のAPI。Wildebeestは他のフェディバースサーバーに接続したり、他のフェディバースサーバーからの接続を受信したりすることもできます。

・最も人気のあるMastodon向けウェブ(Pinaforeなど)、デスクトップ、モバイルクライアントとの互換性があります。また、タイムラインとユーザープロフィールを検索するためのシンプルな読み取り専用ウェブインターフェイスも提供します。

・投稿を公開・編集・宣伝・削除することが可能。テキスト・画像・動画(間もなく)もサポート。

・誰でもフォロー可能。

・コンテンツの検索が可能。

・インスタンスの下に1つまたは複数のアカウントを登録できます。認証はGitHubやGoogleなどのCloudflare Accessと互換性のあるIdP、あるいはメールベースにすることが可能。

・プロフィール情報、アバター、ヘッダー画像を編集可能。

なお、Cloudflareのジョン・グラハム＝カミングCTOはWildebeestを使って独自のMastodonサーバーを構築したとツイートしており、カミングCTOのアカウントは「@jgrahamc@social.jgc.org」だと宣伝しています。