おならが強烈にクサい、お腹が張る…「自律神経が乱れている人」の特徴と対策 #195
おならは臭いもの、お腹が張るときはあるけどあまり気にしない、そう捉えている人は多いかもしれません。ですが、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によるとそういった不調は、自律神経の乱れや腸内環境が悪いことのサインなのだそう。愛先生が、すぐできる対策を教えてくれます!
お腹の調子は、過去の自分の食習慣や行動の結果です
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 196
最近、おならがよく出る、お腹が張る、おならが強烈にクサイなどでお困りの人はいないでしょうか。「なんでだろう?」と考えてもその瞬間が過ぎてしまえば、そんな悩みもすぐに忘れてしまうことでしょう。でも、本当はその「なんでだろう?」は忘れないでほしいのです。
私たちの食習慣の結果が、分泌物や排泄物などとなって現れるケースが多いからです。おならがクサイ、お腹が張って苦しいなどの結果は、自分の過去の行動が原因となっています。明らかな不調として表面化する前におならの状態を元に戻していくように食事を変化させていきましょう。
とくに寒さを感じるときには、すぐにエネルギーとなる甘いものやカロリーの高い揚げ物やクリーム系の食べ物を食べたくなりがちです。こういった食材は、腸にダメージを与えてしまいます。ということで、今週は食の見直しとおなら対策をするための食薬習慣を紹介していきたいと思います。
今週は、おなら対策となる食薬習慣
寒い日はぬくぬくと布団にくるまったり、暖かい部屋でゴロゴロしているのが幸せですよね。暖かい時期と比べると冬は外に出るのが面倒になり、動画や漫画などを見ながら、お菓子を食べてご褒美タイムを過ごす頻度が増えている人も多いのではないでしょうか。このような生活を続けていると増えてしまうのが、お腹の張り、おなら、おならの強烈なニオイです。
漢方医学では、体質を判断するときに、便、おなら、舌苔、痰、鼻水、汗など分泌物や排泄物の状態を確認することでカラダの状態を紐解くことがあります。ということで、おならの状態はカラダの状態を知らせてくれるありがたい指標と考えることもできます。
漢方では、クサイおならが増えているときに『湿熱』が生じていると考えます。そして、ストレスや気候の変化などにより自律神経が乱れてお腹がパンパンになっているときを『気滞』と考えます。そこで、悪玉菌が増えてしまっている腸から『湿熱』を取り除き、腸の動きをサポートして『気』の巡りを改善する食薬をとっていきます。食べるとよい食薬は、【エノキのステーキ 山椒風味】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:エノキの石づきステーキ 山椒風味】
レシピはこちらです。
<材料>エノキの石づき 1つオリーブオイル 大さじ1塩・山椒 適量
※「エノキの石づき」は一番下のおがくずがついたところを1センチ程度を切り落とした、茎が固まっている部分のこと。
<作り方> エノキに塩と山椒を振り、両面をオリーブオイルで焼いて、味を整えたら完成。
【えのき】
水溶性の食物繊維の一種βグルカンを含み腸内環境を整え『湿熱』の除去に働きます。また、ビタミンDも含むため腸壁を強化したり、免疫を強化する働きもあります。さらに、リラックス作用があり『気』の巡りを改善するGABAも含んでいるので、おならが気になるときにはおすすめな食材です。
【山椒】サンショオールをはじめとした香り成分が、胃腸の働きをサポートしてくれます。とくに腸にたまったガスをとりのぞく『理気』作用が期待できます。
放置していると腸内環境が悪化して、免疫が低下し風邪をひきやすくなったり、例年より花粉症などのアレルギー症状が悪化したり、肌トラブルが悪化してしまう可能性もあります。腸は、元気な心と体にとって大切な存在です。腸の悩みは早めに解決していくようにしましょう。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©Aleksei Morozov/Gettyimages©Maskot/Gettyimages
文・大久保愛