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立体駐車場のキャラクターが変わった

コロナ禍で、すっかり空港から足が遠ざかってしまったという方もいるでしょう。

【画像】各階のキャラクターは?【羽田空港の駐車場っていまこんな感じです】 全10枚

そんな貴方が、今年の年末年始の移動で羽田空港に行くと、以前と微妙に違っていることに気が付くでしょうか? 


羽田空港の立体駐車場の各階にはキャラクターが描かれている。    AUTOCAR JAPAN編集部

その変化は駐車場にあります。

何かといえば、立体駐車場に描かれるキャラクターです。

実は、2019年に西側のP2立体駐車場がリニューアルされ、各階に描かれているキャラクターが変更になっていたのです。

また、2022年には東側のP3立体駐車場もキャラクターのサイン改修が実施されました。

これにより、P2の立体駐車場は、1階「サクラ」、2階「チューリップ」、3階「アサガオ」、4階「ヒマワリ」、5階「バラ」、6階「ユリ」が、1階「アジサイ」、2階「チューリップ」、3階「アサガオ」、4階「ヒマワリ」、5階「バラ」、6階「ユリ」となりました。

また、P3立体駐車場は、1階「アシカ」、2階「ペンギン」、3階「クジラ」、4階「ラッコ」、5階「イルカ」、6階「シロクマ」、7階「ウミガメ」が、1階「ペンギン」、2階「アシカ」、3階「カメ」、4階「ジンベイザメ」、5階「イルカ」、6階「エイ」、7階「クジラ」と変化したのです。

P2に関しては1階が「サクラ」から「アジサイ」に代わり、P3に関しては、「ラッコ」「シロクマ」「ウミガメ」がなくなり、新たに「カメ」「ジンベイザメ」「エイ」が加わっています。

西は「陸」、東は「海」をイメージ

では、そもそもなぜ羽田空港の駐車場には、花や動物のキャラクターがサインに使われているのでしょうか。

そこで羽田空港のP2とP3の駐車場を管理する一般法人空港振興・環境整備支援機構(空港支援機構)の広報担当者にたずねてみました。


羽田空港の立体駐車場はどのフロアも似たような構造。数日の旅を終えて帰ったきた時に、クルマがどこにあるかわからない! という事態が起こらないように各階に動物や植物が描かれている。    シャッターストック

羽田空港の用地は、南北に縦断する首都高速道路により、東西2地区に大きく分類されます。国土交通省では、東西2地区のデザインコンセプトを取りまとめるにあたり、首都高速道路東側地区を海のイメージ、西側地区を陸のイメージとしました。海に近い陸側を『海』、陸に近い西側を『陸』とする考えです」

たしかに羽田空港を地図で見えると、真ん中を首都高速道路が南北、というか北西から南東に向かって斜めに空港を二分しています。

そして、高速道路を挟むように、海側となる東側にP3とP4、陸側となる西側にP1とP2の立体駐車場が配置されています。

「立体駐車場は、駐車階が6〜4層を数え、1層あたりの駐車枠が400台相当あります。また、各層とも同一平面となるため、いざ帰るときに駐車した階や駐車枠を思い出せないことが予想されました」

「このため、各階層に動物などの異なるキャラクターを用いた絵をサインとして表示することで、駐車した階を印象づけることになりました」

「立体駐車場もキャラクターが被らないように調整するため、東側地区(P3とP4)は海のイメージから海棲動物をモチーフとするキャラクターが選定され、西側地区(P1とP2)は陸のイメージから陸生動物および植物をモチーフとするキャラクターが選定されています」

ラッコはお馴染みではなくなった?

P2は陸に近い西にあるので花のキャラクター、P3は海に近い東側にあるので海棲動物が使われているというわけです。

そうなれば、次に気になるのは「アジサイ」や「ペンギン」などが選ばれた理由です。


P2の立体駐車場は、1階「サクラ」、2階「チューリップ」、3階「アサガオ」、4階「ヒマワリ」、5階「バラ」、6階「ユリ」が、1階「アジサイ」、2階「チューリップ」、3階「アサガオ」、4階「ヒマワリ」、5階「バラ」、6階「ユリ」となった。    鈴木ケンイチ

「誰でも知っている、誰でもわかる絵にするには、実は、限られた動植物たちになってしまいます」

「立体駐車場は段階的に整備を進めてきましたが、4棟目を建設した段階でキャラクター候補に限りが出てきたため、それ以降の立体駐車場では、誰もが分かる絵を重視した選考となり果物や鳥類が採用されています」と空港支援機構の広報担当者は説明します。

ちなみに、P2のリニューアルでは「従前の植物(花)を踏襲するか、新たなキャラクターとするかデザインの検討をおこないましたが、25年間の使用で馴染みのある花を採用しました」とか。

それで6つの花のうち5つが継続利用されることになったようです。

また、P3のサイン変更では「キャラクター選考では、従前の海棲動物を踏襲」したとか。

踏襲したと言いつつも、「ラッコ」「シロクマ」「ウミガメ」が使われなくなってしまったのは、時代にあわず「誰もが知る」という点が弱まっているのかもしれません。

どうやら「ラッコ」は、現在、国内の動物園でほとんど飼われなくなっているとか。

1980〜90年代に大人気となった「ラッコ」ですが、最近の若い人には遠い存在になってしまっているのでしょう。

絵のテイストも変わっていた!

ちなみに、今回のリニューアルでは、植物や動物の絵は単体から壁画風へと変わりました。

花であれば、花弁だけでなく茎や葉も含む切り花がモチーフになっています。


P3立体駐車場は、1階「アシカ」、2階「ペンギン」、3階「クジラ」、4階「ラッコ」、5階「イルカ」、6階「シロクマ」、7階「ウミガメ」が、1階「ペンギン」、2階「アシカ」、3階「カメ」、4階「ジンベイザメ」、5階「イルカ」、6階「エイ」、7階「クジラ」と変化した。    鈴木ケンイチ

また、動物の方も同様で、海棲動物ということで水中や岩礁もあわせて描かれています。

P2駐車場はサインだけでなく、トイレまわりも大幅に改修され、バリアフリー化やジェンダーフリー用「誰でもトイレ」の採用、パウダーコーナーの設置などがおこなわれました。

「エレベーター乗り場の壁画風サインは、デフォルメされたキャラクターが明るい色彩とよく馴染んでいるためか、エレベーターまちのお客さまが鑑賞したり写真撮影されている状況をお見かけいたします」

「リニューアル後は、自車駐車位置をお探しになるお客さまが少し減少していることから、駐車階の認識が深まったのではないでしょうか」

「また、現場からは『エレベーターホールが明るくきれいになった』『キャラクターが可愛く子供が喜ぶようなイメージになっている』などの声があると報告を受けています」と空港支援機構の広報担当者。

もしも年末年始の移動で羽田空港の駐車場を利用することがあれば、ぜひともエレベーターホールなどに描かれたキャラクターにも注目してみましょう。絵1つにも、いろいろなストーリーがあるのです。