ネイティブでも読めない、摩訶不思議なスペルの単語や地名…難読英単語をご紹介します(写真:artswai/PIXTA)

この前、アニメ『ブルーロック』をテレビで見ていたら、エピソードタイトルに出てきた漢字が難しくて読めなかったんです。「滾り」という漢字だったんですが、気になってしまい、横目でアニメを見ながらネットで検索。何しろ読み方がわからないので検索するにもいろいろと苦労し、最終的に「たぎり」と読むのだとわかってスッキリしました。

いやあ、本当に日本語って難しい! ネイティブなのにいつまで経っても読めない漢字があるなんて……と思っていたのですが、「ちょっと待った! 英語でも読めない単語って結構あるぞ」と思いつきました。

今回は英語の難読単語を取り上げてみたいと思います。中にはネイティブでも読めない摩訶不思議なスペルの単語や地名もありますので、皆さんもぜひチャレンジして読んでみてください。Good luck! (頑張って!)


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難読単語 入門編

最初に、皆さんも目にしたことのある単語からスタートです。「すでに読み方を知っている」という方も多いと思いますが、よく考えると変なスペルですよね。


全部読めましたか。これらは、発音しない文字があるせいで読み方が難しいですよね。英語の勉強を始めたころ、なぜこんなスペルなのか不思議に思いながらも、そのまま受け入れて覚えた記憶がありますね。では、読み方を確認してみましょう。


climbは「登る」という意味。Bは発音しません。筆者はclimbと言うと、アーケードゲームの「クレイジークライマー」やファミコンの「アイスクライマー」を思いついてしまう世代です。

receiptは「レシート」のこと。Pは発音しません。これ、動詞receive「受け取る」の名詞形だと知っていましたか。wrapは「包む」という意味。名詞で「包み」という意味もあります。日本語でもラッピングって言いますね。そしてこのWは発音しません。

4つ目のknifeは日本語でも同じ、意味はそのままですね。子どものころ、know「知る」やknee「ひざ」と同様に、この発音しないKが不思議でたまりませんでした。doubtは「疑う」「疑い」という意味ですが、トランプゲームの「ダウト」が懐かしい。ずいぶんやってないですね。これもBは発音しません。

難読単語 初級編

入門は楽勝でしたか。では、もう少し難しい単語を見てください。これは読めるでしょうか。


どうでしょう。「えー、これが初級?」と思った方、そうなんです。急に難しい感じがしましたか。でも、さらにおかしなスペルの単語がこのあと待っていますよ。もうこのあたりから、かなり例外的な文字の読み方も登場し始めていますよね。では、読み方を確認してみてください。


subtle「微妙な」とtomb「墓」は、入門編同様に発音しないBが入っています。subtleはLの音で終わっているのでアメリカではTの音がlittleやbattleと同じように変化します。「サロー」や「サドー」のように聞こえるかもしれません。tomb「墓」はOの音が「ウー」になるという例外的な読み方。王族や皇族などの大きな霊廟のようなものを指すことが多く、われわれが一般的に「お墓参り」というときにはgrave「墓」のほうを使います。

3つ目のanxiety「不安」のようにXをZの音で読むのって、妙な感じですよね。そういえば、筆者の中学校の英語の教科書にxylophone「木琴」(ザイロフォン/ˈzaɪləˌfoʊn/)っていうのがありました。あれもXをZの音で読む単語でした。thorough「徹底的な」はthroughとスペルを間違えそうですね。でも、Oがひとつ多いのです。「サラブレッド(thoroughbred)」の「サラ」の部分に当たる単語です。

indict「起訴する」はCを読まないんです。もともとはenditeというスペルだったみたいで、それなら納得だったんですが……。この単語の語源であるラテン語のindictareになぞらえて、スペルだけ変更されてしまったらしいんです。もう! 発音ごと変えてくれよー!

難読単語 中級編

中級はすでに読み飛ばしたくなるレベルかもしれないです。でも、意外に知っている単語もあるはず!


さあ、これはもうサクッと解答を見てしまいましょう。ひとつでも合っていたら、excellent!(素晴らしい!)。きっと英語が得意な方に違いないですね。


ubiquitous「同時にいたるところにある・遍在する」という単語は、日本語では「ユビキタス」というカタカナ語になっています。英語では発音が異なるので注意しましょう。pneumoniaは「肺炎」という意味。初めのPは発音しないことと、EUが「ウー」という母音になることが押さえられれば読めそうですね。

3つ目のtortoiseは「リクガメ」のこと。日本語では「トータス」とカタカナにすることがあります。ウルフルズのトータス松本さんは「カメ好き」で、「トータス」という芸名にしたそうですね。ちなみにturtleは「ウミガメ」を指すことが多いですが、実際はカメ一般を指します。つまりtortoiseもturtleの一種ということです。

次のmnemonicは「暗記法」という意味です。学生時代にさまざまな教科で語呂合わせしてましたよね。「富士山麓オーム鳴く」とか覚えましたが、いまでもあるんでしょうか。この単語、初めのMさえなければ、割とふつうの単語っぽいのに! 最後のeweは「雌ヒツジ」のこと。発音はyouと同じです。ちなみに、ramが「雄ヒツジ」、lambが「子ヒツジ」で、ヒツジ全般はsheepです。

難読単語 上級編

上級編は難読地名です! 日本でも地名は難しいですもんね。これはネイティブでも読めない人がいますよ。


読み方がわかると、聞いたことのある都市も入っていると思います。解答をご覧ください。


初めのふたつはアメリカ合衆国の都市です。Albuquerqueは日本語では「アルバカーキ」と呼ばれています。ニューメキシコ州最大の都市で、世界最大の熱気球祭として知られる「アルバカーキ・インターナショナル・バルーン・フィエスタ」が有名です。日本では佐賀の「佐賀インターナショナル・バルーン・フェスタ」が有名ですよね。

Tucsonは日本語では「ツーソン」と呼ばれています。英語発音にならって「トゥーソン」と呼ぶこともあります。アリゾナ州にある都市で、「ツーソン・ジェム・ショー」と呼ばれる世界最大規模の宝石鉱物見本市でも有名です。石マニアの間では聖地みたいですよ。

Worcesterは、Worcester sauce(ウスターソース)発祥の地として知られています。「ウスターソース」は、Worcestershire sauce(ウスターシャー・ソース)と州の名前で呼ばれることもあるんですよ。

一説では、ウスターの主婦が、余った果物や野菜に酢や塩を加えて保存していたら、勝手に熟成してできあがったのがウスターソースの起源となったのだとか。筆者の友人のアメリカ人の中には「ウォーセスター」と発音している邪道なやからもいますが、皆さんは正しい発音を覚えておいてくださいね(笑)。

ちなみに似たようなスペルでLeicesterやGloucesterという地名もありますが、これらも「レイセスター」「グロウセスター」とは発音しません。Leicester (レスタ/ˈlestə/)、Gloucester(グロスタ/ ˈɡlɔstə/)ですので、一緒に覚えておいてください。

Greenwichは「グリニッジ天文台」で有名なグレーターロンドンにある都市。グリニッジ子午線やグリニッジ平均時でも知られています。もともとの発音は日本語でもならわれている「グリニッジ/ˈɡrɪnɪʤ/」でした。現在は上の表に書いた「グレニッチ/ˈɡrenɪtʃ/」で呼ばれることも多いそう。両方が混ざった「グリニッチ/ˈɡrɪnɪtʃ/」「グレニッジ/ˈɡrenɪʤ/」の発音をする人もいます。

ただし、「グリーンウィッチ/ˈɡrinwɪtʃ/」とは発音しません。アメリカのConnecticut(コネチカット州)にも同名の都市がありますが、アメリカでは「グリーンウィッチ」と発音する人もいるのだとか。そういえばConnecticut (コネティカットゥ /kəˈnetɪkət/)も難読地名ですね。

イギリスの地名では、語末に-wichや-wickが付くものがありますが、これらは「村」や「農場」という意味を持っているようです。これらの地名の中には、Wを発音しないパターンのものも多いので、読み方の可能性のひとつとして覚えておくと便利です。たとえば、以下の地名もGreenwichのようにWを発音しません。


最後のひとつは笑うしかない!

5つ目のCholmondeleyはスペルからは想像もつかない読み方ですね。Cheshire(チェシャー州)にある小さな村落の名前のようです。どの部分がどうなったら「チャムリー/ˈtʃʌmli/」になるのか、もうこれは笑うしかないレベルの難読地名です。大笑いついでに最後にもうひとつだけ、


という名字も紹介しましょう。イギリス北部Northumberland(ノーサンバーランド)にあるFeatherstoneという村に由来する名前とのこと。さあ、なんて読むと思いますか。「フェザーストーンホー?」「フェザーズトンホフ?」いえいえ、違うんです。「ファンショー」(Featherstonhaugh /ˈfænʃɔ/)なんですって! もう何これ?

(箱田 勝良 : 英会話イーオン 教務部 チーフトレーナー)