「ZOZOチャンピオンシップ」に出場している松山英樹のクラブセッティングは、スリクソンの未発表ドライバー『ZX5プロトタイプ』が入っている以外は、年明けから大きな変更はなし。そのドライバーをよく見てみると、松山の好みの顔に近づけるために以前は入っていたペイントがない。松山のクラブを担当するスリクソンのツアーレップ、宮野敏一氏に理由を聞いた。
「松山選手は逃げて見える顔よりも、真っすぐでつかまって見える顔を好みます。ドライバーのフェースは曲面なので、フェースの真ん中からトゥ側とヒール側に丸みを帯びてマスクラインが乗るのが通常です。それがあまり好きではないんです」と話していた宮野氏。市販品では緩やかなフェースの曲面に合わせて、クラウンの塗装も緩やかにカープを描いているのだが、宮野氏がペンを使ってそれが真っすぐに見えるように、それこそ「髪の毛1本分凹んで見える顔」に調整していたのだ。
それが今回の新ドライバーはクラウンの塗装が最初から真っすぐになっていて、「(ペンを使って)マーキングしていません」。市販品と松山のクラブでは見え方が違っていたのだが、構えたときの顔に関しては、このまま市販される予定だという。
「要するに、松山プロが使わない時間があって、よくなっていった。会社としては悔しい思いで頑張ったんです」。ドライバーを構えたときの顔が松山の好みに合わない場合は、実際に打ってテストをする段階までいかず、当然バッグのなかに入ることもない。それが今回は、9月のシーズン開幕戦「フォーティネット選手権」から、新ドライバー投入にいたった。ノンペイントのドライバーに対し、3番ウッドのテーラーメイド『SIM2』はフェースが真っすぐに見えるように、がっつり白いペイントが施されている。
そんな“真っすぐ顔”にこだわる松山だが、ウェッジも直線的だ。ウェッジは真っすぐ構えて使うこともあるが、グリーン周りではフェースを開いたりして、あらゆるライに対応しなければならない。通常は刃の部分(リーディングエッジ)が丸みを帯びていて、開いたときにも拾いやすくなっているが、松山のリーディングエッジは真っすぐになっている。
「松山プロはフィル・ミケルソンくらい、鬼のようにフェースを開きますよ。ウェッジはショットも大事だし、開いたときも大事。リーディングエッジが丸いと、ショットのときに刺さりそうに感じるし、ショットのイメージが出づらい。そいう意味で松山プロのウェッジは、どちらかというとアイアンの顔に近いですよね」
アイアンショットとのつながりを重視して、ウェッジもアイアンの顔に近いというわけだ。ウェッジのフェースの上側、トップブレードも少し直線的に見える。松山の正確なショットを支えるクラブには直線がいっぱいあるのだ。
【松山英樹のクラブセッティング】
1W:スリクソン ZX5 プロトタイプ(9.5度/Tour AD DI-8 TX)
3W:テーラーメイド SIM2(15度/Tour AD DI-9 TX)
5W:コブラ RADSPEED TOUR(19度/Tour AD DI-10 TX)
4-9I:スリクソン Z-Forged(DG Tour Issue S400)
46、52度:Cleveland RTX 4 Forged プロトタイプ(DG Tour Issue S400)
56、60度:Cleveland RTX 4 Forged プロトタイプ(DG Tour Issue X100)
PT:スコッティ・キャメロン プロトタイプ
BALL:スリクソン Z-STAR XV
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