法務部行政執行署高雄分署に設置されているパブリックアート(上/同分署提供)と木野智史さんの陶芸作品「颪(おろし)(眼)」(下/木野さん提供)

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(高雄中央社)南部・高雄市の法務部(法務省)行政執行署高雄分署に設置されている台湾人芸術家が手掛けたパブリックアートに盗作の疑いが持ち上がっている。日本の陶芸家、木野智史さんの陶芸作品「颪(おろし)(眼)」と形が酷似しており、木野さんは早急な謝罪と作品の撤去を求めている。

盗作の疑いがあるのは「公平正義・円融和諧」(公平と正義・円融と調和)と題されたステンレス製の作品。同分署によると、2017年に文化部(文化省)のウェブサイト上で行われたコンテストに出品され、最高評価を受けたものだという。

市民からの情報提供を受けたメディアが先月29日に疑惑を報じ、友人から教えられて事態を知ったという木野さんは同30日、中央社の取材に「画像を見る限り、細かな形のバランスや角度まで完全に同じ」と指摘。盗作したとされる台湾人芸術家が「形はシンプルで他の人も考えられる」「素材やコンセプトも違う」と釈明していたと話した上で「台湾の芸術界のためにもこのまま終わらせてはいけないと考えている」と胸の内を明かした。

また同分署から電話で今回の「騒ぎ」について謝罪があり、作品にはカバーをかけて隠し、調査員の人数を7人からさらに増やすと説明があったという。

同分署は、藝術や知的財産権に詳しい専門家に調査を依頼し、他人の権益を侵害していないか調査を行うと表明。作品を制作したメーカーにも書面での説明を求めたとした。

木野さんによれば、「颪(眼)」は台風の目をイメージしたもの。形や色のグラデーションが特徴的な「颪」シリーズの作品の1つだとしている。

(曽以寧/編集:齊藤啓介)