一般列で弔門に参加したベッカム氏。(C)Getty Images

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 元イングランド代表デイビッド・ベッカム氏の振る舞いが、大きな反響を呼んでいる。

 現地時間9月16日、ベッカム氏は8日に崩御したエリザベス女王の棺が安置されているロンドンのウェストミンスターにて、一般弔門の列に並び、一市民として別れを告げたという。現地紙『The Independent』や『Mirror』が報じた。

 この弔門は一般市民向けにも開放されており、連日長蛇の列ができていた。ベッカム氏は、VIPとして列に並ばず弔問できたが、この“特例待遇”を拒否。16日の午前2時に黒のオーバーコートに身を包んで一般列に並び、13時間待ち続けた末、女王への別れの挨拶を済ませたという。

 英公共放送『BBC』は特別待遇を避けた理由を「祖父へのリスペクトによるものだ」と伝えている。

「一部の上流階級の人々が膨大な待ち時間を回避することに国内で批判が高まるなか、世界的なフットボールアイコンは、他の一般人とともに長時間を待機列で過ごした。これは、彼の祖父の影響、そして祖父への考え方の尊重である。

 デイビッドは列を避けることもできたが、他の国民と同じようにしたかったのだ。王室を愛した彼の祖父が参列のスキップを許さないだろうと考え、同じようにしたのだろう。デイビッドは市民と同じように女王に会いに行きたかったのだ」
【動画】「国家を歌うとき、奮い立った」弔問を終えてインタビューに応じるベッカム
 実際に立ち合いを目撃した市民によれば、ベッカム氏は棺に横たわる女王と“再会”が叶った瞬間、目に涙を浮かべていたという。弔問後、同氏は現地局のインタビューに応じ、「午前2時に来れば列は静かだろうと思ったけれど、皆同じ考えだったみたいだ」と肩をすくめたが、このように述べたという。

「イングランド代表としてユニホームを着て、国歌(『God Save The Queen』)を歌うとき、いつも身体が震えた。僕を奮い立たせてくれた。僕はOBE(大英帝国勲章)を受賞したときのことを特別な瞬間として覚えている。僕を大の王室好きに育ててくれた祖父母も連れて行った。

 そして妻と一緒に名誉ある賞を受賞し、女王陛下とお話することができた。本当に幸運なことだ。彼女がいかに特別な存在であったかを痛感する悲しい日々だが、残してくれたものを大切に思い出す日々でもある」

 弔問後はさすがに疲れた表情も浮かべていたというベッカム氏。だが、品位を示してみせた、その行動には称賛の声が続々と上がっている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部