須田亜香里

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今年の9月末にSKE48から卒業することを発表している須田亜香里。2009年11月にグループに加入し、3期生として、またチームEのリーダーとしてメンバーを牽引してきた。さらに、握手会の女王という異名を持つほど、ファンへの神対応が話題に。現在はバラエティ番組での活躍も著しい。30歳という節目で、10年以上続けてきたアイドルを辞めることを決意した須田に、今の気持ちを聞いた。(前後編の前編)

【写真】バラエティ番組と表情が一変、ライブ中の須田亜香里【10点】

──卒業発表からしばらく経ちました。卒業はいつ頃から考えていましたか?



須田 2年くらい前からです。ただ、その時点で考えていたのは、アイドルを辞めても大丈夫だと自信を持てるようになるにはどうしたらいいんだろうということでした。

──なぜ卒業へと心が傾いていったんでしょう?



須田 自分のやり方ではアイドルをやることに限界があるだろうと思ったんです。自分の人生と向き合った時に、タイムリミットが近づいているなって。どういうことかというと、一人の人間としての人生を考えたら、結婚したいという思いもあるし、親に彼氏を紹介してあげたいなとも思います。アイドルのままでいると、一人の女性として生きる上で普通のことができません。そのことに違和感を持ってしまったんです。

時代は変化しているから、アイドルも恋愛したっていいじゃないかという声もあるけど、アイドルはスキャンダルがないほうがいいんです。たくさんの方が惹かれる理由はそこにありますから。今までそれを守ってきましたし、これからもノースキャンダルに期待する方もいらっしゃると思うけど、私はそれを苦しく感じてしまって。

──アイドルを10年以上続けると、どうしても芽生える思いですよね。



須田 10年前はアイドルとして夢を追いかけるのが目標だったけど、今はこれからの人生をどうやって生きていこうかなというのがテーマです。これからを考えた時、30代って節目ですから。

ゆきりん(柏木由紀=AKB48)さんのような頑張り方は素敵だと思います。でも、私はまだまだ現役で頑張るという生き方は選べませんでした。

──卒業発表時、「新しい自分に出会ってみたくなった」と話していましたね。



須田 人間として限界のない自分に出会いたいです。アイドルの自分では味わえなかったものもあるだろうし、表現できなかったものもあります。たとえば、コメンテーターとして出演させていただく番組で、「女性としての意見をお願いします」と言われても、私は恋愛トークを握手会のエピソードに置き換えないといけなくて。視聴者の方にとって、それはリアルではないと感じたはず。だけど、今後は限界がなくなるわけですから、可能性が広がると思います。

といっても、卒業してすぐにいきなり大きく変わることはないと思います。アイドルの衣装を着なくなること以外、仕事内容に変化はないだろうし、積極的に男性をハントするようなこともないです(笑)。

──卒業発表時、「失敗を恐れて、挑戦をやめてはいけない」とも話していました。



須田 いろんな番組に出させていただいていますけど、アイドルとしての須田亜香里を求められていたのであって、人間としての須田亜香里を求められていなかった番組もあると思います。卒業することによって出演のチャンスが減ることが怖かったんです。でも、今となっては、仮に減ったとしても動じない自分になれたなと思います。「また頑張ればいいじゃん」と励みにするだけです。

──自信がついたんですかね。



須田 自信がついたわけでも、勝算があるわけでもなくて、人生って乗り越える時のほうが楽しいじゃないですか。その楽しさを知ったし、周りにはお仕事を通して出会ったスタッフさんやファンの方がいらっしゃいますから。

もう一つ卒業理由として挙げられるのは、一つひとつのお仕事と丁寧に向き合いたかったということがあります。ありがたいことに、今はレギュラーをいくつもいただいていて、テレビに出ることが夢だった私にとって、こんなに楽しいことはありません。そんなスケジュールにアイドルのお仕事が入ってくると、こなすだけで必死になってしまう。そんな自分が嫌なんですよね。アイドルのお仕事って、レッスンを地道に繰り返したり、立ち位置を覚える作業をしたり……意外と時間が必要で。

となると、睡眠時間を削ることになります。ファンの方は、私が寝ないでステージに立っていることを知っているから心配してくれますが、以前とは応援の方向が変わってきてしまったんです。アイドル人生は私にとって大切なもの。だからこそ、こなすのではなく、一つひとつと丁寧に向き合いたかった。でも、現状のスケジュールを考えるとそれもできない…。それも卒業理由として大きかったです。

【後編はこちら】須田亜香里が30歳でSKE48卒業「年齢をマイナスと捉えることに違和感、等身大の自分を見せたい」