彩虹眷村、壁画がペンキで塗りつぶされる 著作権巡りトラブル 台湾・台中=写真は台中市政府提供

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(台中中央社)古民家を埋め尽くすカラフルな壁画で人気の中部・台中市の観光スポット「彩虹眷村」(レインボービレッジ)で先月30日夕方、壁画が塗りつぶされているのが見つかった。器物損壊などの容疑で警察の取り調べを受けているのは、市の委託を受け同村を管理していた企業の代表者や従業員計14人。背後には著作権を巡るトラブルがあったとみられる。

色とりどりの壁画を描いたのは、同村に暮らしていた黄永阜さん。今年で98歳を迎える黄さんはメディアで広く取り上げられ、「虹のおじいさん」として知られる。絵が塗りつぶされたことに対し、黄さんは同31日、「一生かけた創作が台無しにされた」とのコメントを発表した。

文化クリエーティブ企業「彩虹文創」は約10年前から同村の運営、管理を担当し、グッズの販売なども行っていたが、近年は著作権や収益を巡り黄さんとトラブルになっていた。同社は、敷地内の絵は黄さんの作品を基に同社のメンバーが創作を膨らませたものだとしており、同社が手掛けた絵は9割に上ると主張している。

そんな中、市は建物の補修工事のため、同社に立ち退きを要請。同社の代表者は、ペンキで絵を塗りつぶしたのは抗議の意を示すためだとし、「市が原状回復を要求したので従った」と説明している。塗りつぶしたのは同社のメンバーが描いた部分で、黄さんの絵は残してあるという。

市政府文化局は、器物損壊容疑で同社の代表者らを告訴した。陳佳君局長は1日、報道陣の取材に対し、土地や建物に加えて壁画も市の所有物だと述べ、破壊することは許されないとの立場を示した。

(蘇木春、趙麗妍/編集:楊千慧)