Metaが運営するInstagramはもともと写真共有SNSとして人気を集めましたが、近年ではショート動画共有SNSのTikTokが若者人気を集めていることもあり、Instagramも動画に力を入れています。ところが、「Instagramが動画優位になりすぎている」との批判が著名人から寄せられる事態となり、Instagramのアダム・モッセーリCEOが懸念の声に答える動画を投稿しました。

Instagram, Facing Criticism From Kylie Jenner and Others, Tries Explaining Itself - The New York Times

https://www.nytimes.com/2022/07/26/technology/instagram-kylie-jenner-criticism.html

Instagram CEO Mosseri explains changes after Kardashians complain

https://www.cnbc.com/2022/07/26/instagram-ceo-admits-test-pivot-to-video-is-not-yet-good.html

Facebook and Instagram are racing to keep up with TikTok : NPR

https://www.npr.org/2022/07/26/1113724820/facebook-is-making-radical-changes-to-keep-up-with-tiktok

Instagram responds to criticism with shocking revelation that it will ‘continue to support photos’ | TechCrunch

https://techcrunch.com/2022/07/26/instagram-feed-changes-adam-mosseri-reels/

Instagramは写真共有SNSとして若者から絶大な人気を誇っていましたが、近年ではTikTokにその座を脅かされていることから、動画投稿やレコメンデーションシステムを充実させる方向にシフトしています。2020年にはショート動画共有機能「Reels」をリリースし、2022年7月にはInstagramに投稿される動画をすべてReelsとして共有することが発表されました。

Instagramの動画がReelsと統合へ、今後投稿する15分未満の動画はすべてReelsに - GIGAZINE



ところが2022年7月下旬、Instagramで3番目に多い3億6100万人ものフォロワーを抱えるファッションモデルのカイリー・ジェンナー氏が、「MAKE INSTAGRAM INSTAGRAM AGAIN(Instagramをもう一度Instagramにしよう)」というキャンペーンについての投稿をシェアしました。このキャンペーンは、Instagramが次第にTikTokに近づいて動画投稿が優位となったり、フィードにフォローしていないアカウントの投稿が表示されるようになったりしたことを批判するものです。署名プラットフォームのChange.orgに開設されたページには、記事作成時点で17万人を超える署名が集まっています。

キャンペーン · MAKE INSTAGRAM INSTAGRAM AGAIN · Change.org

https://www.change.org/p/make-instagram-instagram-again-saveinstagram



ジェンナー氏はこのキャンペーンについてInstagramのストーリーでも紹介したほか、ジェンナー氏の妹でモデルのキム・カーダシアン氏もストーリーで触れました。カーダシアン氏はInstagramで7番目にフォロワー数が多く、巨大な影響力を持つセレブたちがInstagramの方針に異議を唱えたことは大きな注目を浴びています。実際、2018年にはジェンナー氏がSnapchatを批判する投稿を行ったところ、一気にSnapchatの時価総額が13億ドル(当時のレートで約1400億円)も吹き飛んだことがありました。

そこでInstagramのモッセーリCEOは7月26日、ユーザーやセレブから寄せられた懸念の声に反応する動画を投稿。その中で、Instagramの変更点やプラットフォームの潮流、変わらない点などについて説明しました。



モッセーリCEOはInstagramのアプリでさまざまな変更が行われていることについて、さまざまな懸念の声が上がっていることを認識していると述べています。



まず、5月に発表された「フィードのフルスクリーン表示」についてはテスト段階であり、ほんの数%のユーザーのみに展開されている状況だと説明。また、モッセーリCEOは「はっきりさせておきたいのですが、今のところフルスクリーン表示機能はよくありません」と述べ、フルスクリーン表示には問題があることを認めています。そのため、機能をさらに広く展開するには改善が必要だと述べました。



Instagramが動画を優先し始めた」という指摘については、Instagramはこれからも写真をサポートし続けることを明言し、モッセーリCEO自身も写真が好きだと述べています。それでも、Instagramに投稿される動画はますます増加する見通しであり、それはフィードを時系列順で並べてみても明らかだと指摘。もはやその流れを止めるのは難しく、Instagramも動画にシフトせざるを得ないと主張しています。



自分がフォローしていないアカウントの投稿が表示されるレコメンデーションシステムについては、ユーザーがオススメされるコンテンツに満足していないのはInstagramのランク付けが悪いのだとして、改善の必要があると認めました。



また、レコメンデーションシステムは一時的に停止することも可能だと言及。レコメンデーションシステムはクリエイターがより多くの人にリーチすることを助け、特に小規模なクリエイターが新しいオーディエンスを獲得する役に立つとモッセーリCEOは述べています。



Instagramではさまざまな変更が行われていますが、モッセーリCEOはInstagramのほとんどの部分は以前と変わっておらず、これからも写真や友人とのコミュニケーションをサポートし続けると主張。それでも世界の急速な変化と共に、Instagramも変化し続けなくてはならないと訴えました。



最後にモッセーリCEOは、Instagramの変化などについて思ったことをコメントで伝えてほしいと述べ、動画を締めくくりました。



さらにモッセーリCEOは動画投稿から数時間後のツイートで、最近のInstagramでは友人同士のやり取りはフィードではなくストーリーやDMで行われていると指摘。「可能な限り友人からの写真や動画をフィードの上部に表示し続けますが、友人に追いつくための最善の方法は、Instagramの他の機能を使用することです」と述べています。



モッセーリCEOの動画には、モデルであるクリッシー・テイゲン氏の「私たちは動画を作りたくないの、アダム」というコメントや……



スポーツ専門チャンネルのESPNでライブストリーミングディレクターを務めるマット・アフォード氏の「私はただ、楽しい写真をスクロールしたいだけなんです」という反応



作家のロクサーヌ・ゲイ氏の「今のInstagramは最悪です。TikTokになろうとするのをやめてください。私は動画を作りたくありません」といったコメントが寄せられています。