シチズン時計のウオッチブランド「CAMPANOLA(カンパノラ)」から、ブランド初となるフライングトゥールビヨン薄型機械式ムーブメントを採用した新モデルが登場した。「天(NZ3000-01L)」と「地(NZ3000-19P)」をラインナップし、限定5本ずつ、価格は両者とも935万円。シチズン フラッグシップストア(東京・大阪)で販売する。

カンパノラ グローバルアート コレクション。左が「天(NZ3000-01L)」、右が「地(NZ3000-19P)」

天(NZ3000-01L)

地(NZ3000-19P)

今回の2モデルは、カンパノラの新しいコレクションとなる「グローバルアート コレクション」の第1弾。2012年にシチズングループへ参画したスイスのラ・ジュー・ペレ社が製造した機械式ムーブメントを搭載する。

トゥールビヨンとは、機械式時計(ムーブメント)において、世界三大複雑機構とよばれるもののひとつ。ぜんまいの駆動力で動く機械式時計は、その傾きや地球の重力によって精度が影響を受けるのだが、トゥールビヨンはムーブメントの一部に回転機構を盛り込むことによって、傾きや重力の影響をなくして精度を保つ。なお、世界三大複雑機構はトゥールビヨンのほか、パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)と、時刻を音で知らせるミニッツリピーターだ。

新作の天(NZ3000-01L)と地(NZ3000-19P)が備えるフライングトゥールビヨンは、ムーブメントのキャリッジ(回転する部分)が宙に浮いているように見える特別な構造をしている。カンパノラ グローバルアート コレクションのためにラ・ジュー・ペレ社が製造した機械式ムーブメント(キャリバー Y392)で、3.07mm(キャリッジを除く設計値)という薄型を実現した。ケース全体でも10mmという薄さだ。

天(NZ3000-01L)と地(NZ3000-19P)のシースルーバック

また、ムーブメントの各所にはダイヤカットと手作業の面取りが施され、繊細で美しい仕上がり。新たに設計したというキャリッジは、カンパノラのシンボル「ベル」を抱く。ダイヤルの窓とシースルーバック(無反射コーティングのサファイアガラス)の裏ぶたからは、美しいムーブメントとその精密な動きを見られる。

文字板は「天と地」を表現した漆塗り。会津漆の伝統工芸士、儀同哲夫(ぎどうてつお)氏が手がけた。天(NZ3000-01L)の文字板は螺鈿(らでん)という手法で大小の星々を描き、プラチナ粉を散らして研ぎ出したのちに青い透き漆を重ね、炎のように舞う星雲を表現している。一方の地(NZ3000-19P)は、乾漆粉によって黒い生地をあえて荒らしたうえで、金を散らして大地の荒々しい表情を見せる。

天(NZ3000-01L)

地(NZ3000-19P)

ケースの素材はK18ホワイトゴールド、ケースサイズは径42×厚さ10mm(設計値)、風防は両面無反射コーティングのデュアル球面サファイアガラス、バンドの素材はワニ革、防水性能は日常生活用防水。機械式ムーブメント「キャリバー Y392」のパワーリザーブは約90時間と長い。