大谷陥没の現場 埋め戻しへ 宇都宮
宇都宮市大谷地区の採石場跡地で1991年に発生した大規模な陥没場所で、4月から埋め戻しの工事が行われます。30年以上、そのままの状態になっていた唯一の大規模陥没箇所がようやく復旧に着手されます。
宇都宮市の西部、大谷町・瓦作地区。草が生い茂り、くぼ地に水がたまって沼のようになっているこの場所は、かつて田んぼでした。約2万9千平方メートルもの広大な土地の地下には、大谷石の採石場跡があり、1991年4月に大規模な陥没が発生しました。
大谷地区は幻想的な光景が楽しめる地下採石場跡地を利用した資料館があり、観光客向けの施設も次々にオープンしていて新たな人気スポットとなっています。
その一方で、1970年代の最盛期に120社ほどあった採石業者が、地下で採石を行った影響で跡地では過去4度、大規模な陥没がありました。その一つが瓦作地区の陥没場所で周辺には住宅もあり、地域住民からは不安の声があがっていました。しかし、本来埋め戻しの責任がある採石業者が廃業していたり、土地の権利者が複数いたりすることなどから対策は進みませんでした。
そこで、採石業者らでつくる大谷石材協同組合が地域住民と話し合いを重ね、条例に基づく埋め戻しの許可を去年2月、市に申請したところ、3月29日に許可が下りました。埋め戻しに必要な土砂は5万6500立方メートルにもなり、県の公共事業で発生した土を使います。組合がその土の処理料を受け取り、それを工事費用に充てます。今後3年間で半分ほどを埋める計画で、その後、残りも埋め立てる予定です。組合では5月にも埋め立てを始めるということです。