新型コロナウイルス感染拡大の第6波の始まりとされる1月から2月22日までに栃木県内では82件のクラスターが確認されました。

このうちの31件は高齢者福祉施設で発生しています。

感染リスクの高い高齢者が過ごす施設とあって施設側は日ごろから感染対策に気を使っていますが、それでも防げない現状に関係者たちは頭を悩ませています。

2月18日夜、県庁で行われた緊急の会議です。

高齢者施設でのクラスター急増を受けて、県や関係団体、有識者らが今後の対応を協議しました。

ここ半年におけるクラスターの発生状況です。

去年7月からの第5波では発生の半数が「事業所」だったのに対し、1月からの第6波では4割弱が高齢者福祉施設で発生していて、第5波と比べて10倍の件数となっています。

県が2月22日に死亡を発表した60代以上の高齢者2人は高齢者福祉施設の入居者。今後も感染が拡大すれば施設内で死亡する人がさらに増えてしまう危険もあります。

宇都宮市白沢町にある介護老人保健施設「しらさぎ荘」です。

これまでに施設内での感染は発生していませんが、高齢者施設でのクラスターが急増する中、職員は今まで以上に神経をとがらせています。

手指の消毒など基本的な対策に加えて3階建ての建物をフロアごとに区分けして人の行き来を制限したり、利用者の家族との面会をオンラインにしたりしています。

この施設がこれまで感染を防いでこられた理由の1つに独自のマニュアルがあります。

利用者を感染させてしまう可能性が最も高い職員への対応を最重要項目としていて、出勤できる職員の人数に合わせてきめ細やかな対応を設定しています。

一方、元々人手不足が叫ばれる介護や福祉の現場では感染後に十分な対応を取ることが難しい施設もあります。

県は陽性者が発生した施設に他の施設から応援職員を派遣する事業を行っていますが、陽性者が発生した建物、いわゆるレッドゾーンでの業務はその施設の職員が対応するのが現状で、施設内での感染を広げないための取り組みは道半ばとなっています。