今月3日に死亡しているのが見つかった50代男性の部屋。散らかった室内が男性の孤独でつらかった日々を思わせる=21日、ソウル(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】今月3日、韓国・ソウルの集合住宅の一室で、50代の男性が死亡しているのが見つかった。部屋はごみや衣服で散らかり、流しには食べかけのカップ麺や宅配料理の容器が重ねられていた。机の上には飲みかけの薬や薬袋が散らばり、室内からは鼻を突く不快な臭いがしていた。男性は離婚後、長く一人暮らしをしており、遺体は異臭がするという住民からの通報により発見された。警察は男性が持病により死亡したものと結論付けた。

 与党議員が2020年に公開した資料によると、16年から20年6月にかけて身寄りがなく死亡した40〜50代の男性は2735人で、同年齢層の女性(383人)の7倍以上だった。

 専門家は、中年男性の孤独死に対する社会的セーフティーネット(安全網)と対策が整っていないと警鐘を鳴らしている。

 10年以上にわたり孤独死や犯罪の現場の特殊清掃を手掛けてきたキム・セビョル氏は「この1年間に清掃した孤独死現場の9割ほどが40〜50代男性の現場だった」と語り、新型コロナウイルスの流行以降、これら男性の孤独死現場は体感的に2割以上増えたと伝えた。

 また、孤独死する中高年男性の多くは日雇いの建設労働者で、離婚後に狭い部屋で一人暮らしし、飲酒量も多い人たちだったとし、40〜50代は派遣業者に頼らなければ仕事がないが、福祉の対象から外されていることが問題だと指摘した。

 翰林大の石才恩(ソク・ジェウン)教授(社会福祉学)は「孤独死は社会的孤立によって起きるが、中高年男性は家族がばらばらになる過程で孤立するケースが多く、孤独死の比率が高い」と説明する。中高年男性は家長としての責任を果たせなかった場合に挫折感などを強く感じることが多く、そこへ経済的困窮や病気が重なれば孤独死が起きるという。

 ソウル大の李奉柱(イ・ボンジュ)教授(社会福祉学)は「中高年層は基本的に社会活動を行う年齢とみなされるため、(福祉の対象から外れる)死角地帯に入っているときにリスクがより大きくなる」とし、中高年層の就職支援やメンタル面の治療支援などのシステムをより総合的に整える必要があると指摘している。