Engadgetでは年末年始にかけて、おすすめのガジェットやサービスを紹介するベストバイ2021企画を展開しています。以降から、2021年に反響の多かったくんこくさんのレビュー記事を再掲してお届けします。

VAIO株式会社から、「VAIO FL15」というノートPCが発売されました。

単純に光学ドライブを省いて薄くなった大画面ノートPCが出ただけなのかと思いきや、いつもと様子が異なります。

なんとintel製ではなく、AMD Ryzenプロセッサーを搭載。

近年にみられるAMDの勢いは凄まじく、低コストタイプとはいえ長らくVAIOを愛用してきているユーザーとしては非常に新鮮。

また今回のモデルについては、基本スペックは固定となっており79,200円(税込)〜と、これもまた従来のVAIOノートと比較すると随分とリーズナブル。

大画面で安いというという事もあり、失礼ながらよくある量販モデルだろうと侮っていましたが、実際に使ってみると、これはなかなか良いぞと。

VAIO ノートパソコン FL15(Amazon)

カラーバリエーションはブラック・ホワイト・シルバーの3色。

そのうち今回実機を使ってみたのは、ホワイトのモデル。

天板とキーボード面が白く、ディスプレイ面と本体の側面から底面にかけて黒いツートンカラーのようなカラーリングに見えます。

VAIO株式会社としては、先に「VAIO S15」という15.6型の同じ画面サイズのノートPCを発売しています。

そちらと果たして何が違うのか?

「VAIO FL15」のサイズは、約358.7mm×20.5mm×239.2mm(幅x高さx奥行)、重さ約1.85kg。

「VAIO S15」のサイズは、約361.4mm×26.0mm×254.3mm(幅x高さx奥行)、重さ約2.25kg。

「VAIO S15」は、最大Core i7-9750H(6コア12スレッド,2.60GHz,最大4.50GHz)、DDR4の最大32GB(16GBx2)、ストレージは最大SSD(NVMe)1TB+1TB HDDが選択可能であり、4K HDRディスプレイやBDドライブも選択可能。

また、USB Type-CはThunderbolt 3に対応しているため拡張性向上の他、外付けGPUを使用することもできるという、オールインワンPC。

当然ながら性能面でも利便性でも「VAIO FL15」よりも上位となります。

その一方で、「VAIO FL15」は、プロセッサはAMD Ryzen プロセッサー(AMD Ryzen 3 4300U [4コア4スレッド,2.70GHz,最大3.7GHz])、メモリはLPDDR4Xの8GB、ストレージはSSD(NVMe) 256GB。

光学ドライブは搭載せず、メモリーはマザーボードに直付けとなるなど、基本構造は全く異なります。

それゆえに、同じディスプレイサイズでありながら、「VAIO S15」よりも一回り小さく、より薄く、かつ軽量になっていることがわかります。

自宅内での移動などでも持ち運びしやすくなり、より自由に移動できるという利点があります。

もう少し細かくみていきましょう。

「VAIO FL15」は、15.6型ディスプレイを採用したいわゆる大画面ノートPC。

解像度は、割安なPCにありがちなHD(1366 x 768)ではなく、フルHD(1920x1080)のアンチグレア仕様。

ベゼル上部にWebカメラを備えつつ、その周囲のベゼルは狭くやぼったい印象はありません。

インターフェースは右側面に充電端子、USB Type-A、USB Type-C、HDMI、左側面にUSB Type-A、ヘッドホン出力、microSDカードリーダー。

またセキュリティーロック・スロットも備えています。

USB Type-A の汎用性と、USB Type-CによるUSB Power Delivery、USB 3.0、DisplayPort 1.4に対応している拡張性が高さもあり、使い勝手は良さげ。

ワイヤレス通信はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とBluetooth 5.1を搭載。

ACアダプターが最初から付属。

もちろんこのACアダプター(19V/2.1A出力)で充電することもできるのですが、USB Type-Cを介してUSB Power Deliveryでの電源入力(45W以上必要)にも対応。

そのため、外出時や急を要した場合にはUSB Type-Cから給電や充電しての利用もできます。

外部ディスプレイへの最大解像度は、USB Type-C™ (DisplayPort)から「4096×2160/60Hz」、HDMI端子から「4096×2160/24Hz または 3840×2160/30Hz」まで対応。

Type-C ドッキングステーションを利用することで、大画面への出力や有線キーボード、マウス、プリンター、電源確保用のUSBケーブルなどを一括して接続といった使い方もできます。

こうして仕事場や自宅にいるときはデスクトップ化環境を作りつつ、出かけるときには1本のUSB type-Cケーブルを抜いてすぐに外に持ち出すといった使い方もできます。

ディスプレイを開いてみると、テンキー付きの大型キーボードとなっています。

ただしよく見ると、テンキーは1列少く変則的となっていたり、キートップが若干狭くなっているため、頑張って入れました感があります。

このあたりフルのテンキー備えている「VAIO S15」と比べると使い勝手は多少劣る部分はあります。

キーピッチ19mmのフルサイズキーボード。

一つ一つのキートップが独立したアイソレーションキーボードを採用。

キーのストロークは約1.0mmで、VAIO SX12/14の約1.5mmという深さと比べるとかなり浅い印象があります。

好みのわかれる部分ですが、慣れればタイピングも問題なさそうです。

タッチパッドはかなり広い面積で、加えて2ボタン付き。

マウスなしでも、思い通りに操作できるのでストレスフリー。

「VAIO FL15」はその価格設定の安さもあって、勝手にもっとチープなイメージを持っていたのですが、質感についても触り心地も良く、筐体についても非常にしっかりとしていい意味で裏切られました。

今回搭載しているAMD Ryzen 3 4300U は、4コア4スレッドのエントリー向けのプロセッサーながらグラフィック性能はなかなか高く、ストレージはSSD(NVMe) となっている事もあり、過度に重い処理でなければかなり快適に動作しています。

国内で販売されるVAIOとして初のAMD Ryzenプロセッサーを搭載したモデルで10万円を切る価格はとても魅力的。

ただせっかくなら、もっとパワフルな最新世代のRyzenや、高解像度ディスプレイ、メモリやSSDのパーツ構成をパーソナルユースでカスタマイズできるようになって欲しいという欲もでてきます。

販路についても、VAIOストアや一部量販店、Amazon「VAIOストア」と狭められており、主戦力となるVAIOシリーズとは異なる販売方法で今後の動向について様子を見極めているのかもしれません。

そうした少し控えめに出てきた「VAIO FL15」ですが、予想していてものよりもずっと良いモデルだったことも事実。

VAIO株式会社は、枠をはみ出さない真面目路線な会社ですが、今年はフルカーボンを纏う「VAIO Z」に始まって、今回のRyzenプロセッサーを搭載する「VAIO FL15」など意欲作が登場。

今後もアグレッシブなモデルが登場することを期待したくなります。

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