22日、衆院財務金融委員会の参考人質疑に出席した福井日銀総裁。(資料写真:宗宮隆浩)

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日本銀行の福井俊彦総裁が村上ファンドに1000万円を拠出し、運用利益を上げていた問題で、衆院財務金融委員会(小野晋也委員長)は22日午前10時から、福井総裁の参考人質疑を行った。総裁は、質疑に先だって、同ファンドへの資金拠出で世間を騒がせたことについて「深くおわび申し上げたいと思います」と改めて陳謝。また、答弁の中で、総裁就任時に同ァンドを解約しなかった点に触れて、当時の判断ミスを認めた。

 2003年の日銀総裁就任時に、同ファンドへの資金拠出を取りやめなかったことに対する批判について、総裁は日銀のコンプライアンス(法令遵守)ルール上「問題はない」との認識を示した上で、「結果として世の中をお騒がせすることになり、大変申し訳なく思っている」と述べた。また、ファンドへの拠出を続けたことについて、「より慎重に判断をしていれば異なる結論に至った」と判断ミスを認めた。 さらに、巨額の利殖行為を行ったのではないかとの指摘には、「私の不徳の致すところで、真摯(しんし)に深く反省しております」と重ねて謝罪した。

 石原宏高議員(自民)に、ファンドの目標利回りや成功報酬など契約の詳細についての認識を問われ、総裁は「恥ずかしいことだが、契約書を読んだことはない。よく認識していない」と説明。「ド素人ですので…」という答弁に、「それはないだろう」というヤジが飛ぶ場面もあった。

 総裁と近親者の金融資産の即時公開を求めた近藤洋介議員(民主)に対して、総裁は情報開示のあり方に関する日銀の内部ルールを見直す方針を示し、「ルールの結論に従う」として明確な回答を避けたため、委員会は2度にわたって中断された。近藤氏は、参考人として出席していた日銀理事2人の退席を求めた上で、改めて金融資産の即時公開を強く要求したが、総裁は「公開ルールを検討中である」として、即答を避けた。

 正午過ぎまで続いた委員会は、福井総裁とオリックスグループの宮内義彦最高経営責任者との関係を追及。総裁は「経済同友会時代からの民間ベースの付き合い」と宮内氏との関係を説明し、「村上ファンドについては話したことない」と、一貫して利益供与を受けたのではないかという指摘を否定した。

 委員会の模様はインターネットで中継された。【了】

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