トレーニング中にてんかん発作の兆候を察知した優秀なアラート犬(画像は『tinastikeleather 2021年10月11日付TikTok「My lifesaver」』のスクリーンショット)

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盲導犬や聴導犬などとして活躍する介助犬には、糖尿病アラート犬など特殊な訓練を受けた犬も存在する。今回話題となっているのは、てんかん発作が起こる前にその兆候を察知して知らせるというアラート犬だ。トレーナーでもある飼い主がトレーニング中にてんかん発作を起こし、犬は事前に察知して転倒しないように気遣う姿を見せた。このスマートな対応には、「素晴らしい活躍だよ!」といった声が多数寄せられている。『The Mirror』などが伝えた。

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アメリカ在住のティナさん(Tina)は、2001年からてんかん発作に苦しんでいる。てんかん発作には、手足の激しい痙攣や短時間の意識消失など分かりやすいものから、ミオクロニー発作と呼ばれる全身が一瞬ピクッとするような小さな症状まである。

ティナさんは2018年8月22日に深刻なてんかん発作に襲われ、それまでの40年間の記憶を失ってしまった。家族や友人、自分自身のことも分からない状態に酷く恐怖を覚えたというティナさんは、今もてんかん発作と闘っている。

そんなティナさんはてんかん発作のアラート犬として、ジャーマンシェパードの“マックス(Max、2)”を飼っている。てんかんアラート犬の認知度を高めるために、普段のトレーニングの様子を撮影してTikTokに投稿しており、話題になった動画もトレーニングの一環を捉えようとカメラを設置していた際に撮れたものだった。

その動画には、キッチンに立って何か作業をするティナさんの姿が映っている。その足元で寝そべっていたマックスはおもむろに立ち上がると、ティナさんの周囲をそわそわと歩き始めた。そして前足をキッチンカウンターの上に乗せて立ち上がり、ティナさんの顔を舐めたりしている。

のしかかるようにして前足を乗せるマックスに、ティナさんは床を指差して降りるように指示を出した。それに従ってマックスは一度床に戻るが、再び前足をカウンターに乗せて立ち上がりティナさんの顔を覗き込んでいた。

マックスが立ち上がってティナさんの顔を覗き込むこの動作は、てんかん発作の兆候を察知したときに見せる合図だという。このようにマックスの合図を受けて事前に発作が起こることが分かれば、その場に座って対応することで意識消失による転倒などを防ぐことができるのだ。

ところが動画撮影中、ティナさんはマックスがトレーニングをしているだけだと勘違いしていたのか、座ったりする動作は見せていない。それでもマックスは諦めずティナさんの足元にすり寄って合図を続けていると、ティナさんは発作を起こし床に手をついて倒れ込み始めた。

これを見たマックスはすぐにティナさんの胸の下に入り込んで支え、ティナさんが床に頭を打ちつけないようにゆっくりと横になるのを手伝っていた。

ティナさんがこの動画をTikTokに投稿すると、今月14日の時点で110万件以上の「いいね」が寄せられており、ユーザーからは「倒れるのを支えようとしているのがすごい」「いい子過ぎて涙が出てくる」「犬というのは本当に素晴らしい生き物だね」など称賛や感激のコメントが届いた。

メリーランド州ボウイに拠点を置くてんかん財団「Epilepsy Foundation」によると、犬はてんかん発作を起こす兆候を数秒前、長いときには45分も前から察知できることもあるという。

犬によって合図が違うそうで、マックスのように顔を覗き込み目を合わせるという動作のほかに、周囲を歩き回る、撫でる、吠えるなど様々な方法でてんかん発作を教えてくれる。発作中や発作後に飼い主のサポートができることは明らかになっているが、100%てんかん発作を知らせてくれることは保証できないと同財団は公表している。

画像は『tinastikeleather 2021年10月11日付TikTok「My lifesaver」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)