東京ゲームショウ2021のIKEAブース

9月30日〜10月3日にかけて開催されたゲーム業界の展示会「東京ゲームショウ2021(TGS2021)」より。今年は幕張メッセのリアル会場では規模を縮小しての開催となりましたが、その中でも目を引いたのは、イケア・ジャパンのブースでした。ROGとコラボした「ゲーミング家具」の展示を行っていました。

IKEAといえば言わずと知れたスウェーデン発の家具ブランド。改めて説明するまでもありませんが、北欧デザインの家具や生活雑貨を多く取り揃え、家具の組み立てキットとして低価格で販売しているブランドです。

家具屋のIKEAがなぜゲーム? と思われるかもしれませんが、IKEAは2021年4月に初の「ゲーミング家具」を発売し、ゲームを快適に遊ぶためのアイテムのラインナップを拡充しています。TGS2021の展示では、ゲーミング家具を取り入れた部屋のコーディネートを紹介していました。

■ROGとコラボしてゲーミング家具に本格参入

IKEAのゲーミング家具への参入にあたって、ASUSのゲーミングブランド「ROG(Republic of Gamers)」とコラボレーションしています。すでに発売済みの製品も含めて、家具や小物など計30製品がラインナップされています。

10月発売の新製品の中では、ROGと共同で開発したというゲーム用デスク「UPPSPEL(ウップスペル)」シリーズは注目に値します。電動昇降機能付きで、テーブルトップを高さ72cm〜120cmに調整快適な高さに調整可能。好みの高さを4つ保存して、ボタン一発で呼び出せます。

UPPSPELの電動昇降デスク。天板の高さは72〜120cmで設定できます
IKEA

テーブルトップ裏側にケーブル収納トレイがあるほか、昇降ボタンの横にスマホなどを充電できるUSB-Aポートを備えるなど、ゲームやデスクワークを快適にする工夫が盛り込まれています。価格は横幅140cm版が7万9990円(税込、以下同)、横幅180cm版が8万4990円となっています。

昇降デスクUPPSPEL以外はROGとの共同開発ではなく、「ROGの意見を聞いて開発した」(イケア・ジャパン広報)としており、広い意味でのコラボレーションとなっています。

ゲーミング家具といっても七色に光るわけではなく、北欧デザインらしいシンプルな見た目に、ゲーマー好みの要素を取り入れています。カラーリングは黒地に赤といったこれまでのIKEA家具ではない、いかにもゲーミングといったカラーも取り入れたものがある一方で、白を基調とした明るい色合いの製品も揃えています。白基調の家具はビングのインテリアの一部として取り入れられたり、女性など幅広い層のゲーマーが選びやすいような色使いを意識してデザインされています。

MATCHSPEL(マッチスペル)のゲーム用チェア(1万5990円)“黒地に赤”はこれまでのIKEAでは絶対に選ばなかった配色だといいます

ゲーミングチェアは4種類が発表されています。中でも「HUVUDSPELARE(フーブドスぺラレ)」は、4999円というゲーミングチェアとしては破格の品となっています。深めに腰掛けられるため、座り心地は快適ですが、キャスターの固さなどは価格相応の作りだと感じる部分もありました。

HUVUDSPELAREの4999円ゲーミングチェア

2022年1月発売のGRUPPSPEL(グルックスペル)のゲーム用チェアは、IKEAのゲーミングチェアとしては最上位の製品になります。価格は発売時に公表されますが、同社広報によると「3万円を下回る価格で検討している」とのことで、ゲーミングチェアとしては手に入れやすい価格であることは変わりません。シートはメッシュ素材でフッドレストや肘置きの高さを調整可能。キャスターの動きも安定感があります。長時間PCゲームをプレイするヘビーユーザーや、在宅勤務が多い人でも、快適に座れそうです。

はフェイクレザー仕上げのモデルもあります。こちらも2022年1月発売ですが、価格は3万円をやや上回りそうとのことでした。

写真の椅子が最上位モデルのGRUPPSEWLゲーム用チェア。2022年1月発売予定
IKEA

■ゲームライフを快適にする小物も充実

椅子やテーブルのほかに、キャニスターやガラスキャビネット、マウスパッドや有孔ボードなどがゲーミング関連アイテムとしてラインナップされています。

例えばUPSPELブランドのキャスター付き台車は、ゲーマーならではのニーズに答えた製品です。「CPUスタンド」と名付けられたこの製品はゲーミングPCを置くために設計されています。スチール製で1299円というお手頃価格も魅力です。

UPSPELのCPUスタンド(1299円)。ゲーミングデスクトップを置けるキャスター付き台車です

LÅNESPELARE(ローネスペラレ)ブランドでは、LEDリングライトとスマートフォンホルダーのセットを3999円で販売。今時の需要を取り入れた、ゲーム実況や配信で活用できるアイテムです。

ちょっと目を引くのがLÅNESPELAREのアクセサリースタンド。片腕をにゅっと突き出した形状は、ドラクエのキャラクター「マドハンド」を彷彿とさせます。この指は可動式で、ヘッドホンをかけたり、スマホやコントローラーを持たせたりできるようになっています。

LÅNESPELAREのアクセサリースタンド(2499円)

■実は日本発のアイデアだった

世界中に店舗を構えて展開するIKEAですが、今回のゲーミングアイテムは、日本が世界で2番目の展開国となっています。日本では一部の製品が2020年4月に投入されており、10月からは世界中のIKEAでの販売が始まりました。

イケア・ジャパンによると、このゲーミング家具は、実は日本の製品企画チームの提案で生まれたものだといいます。同社広報によれば「昨今ではゲームを楽しむ人がますます増えている中で、『より快適な毎日を、より多くの方々に』という理念を持つイケアにとって、ゲーマーさんにより快適な毎日をお届けしたいと考えるのは自然な流れだった」といいます。

一方で、直近ではテレワークの需要も増えており、ゲーミング家具はその需要にも応えています。先行販売された4999円のHUVUDSPELAREゲーミングチェアは、在宅勤務やスモールオフィス向けにまとめて買っていく人も多いそうです。

IKEAのゲーミング関連アイテムには、家具だけでなくヘッドホン掛けや有孔ボード、毛布、マウスパッド、ポスター、マグカップなどもラインアップされています。これはIKEAが「暮らしのための品がすべて揃う場所」を目指し、ゲームを楽しむ人のための部屋作りを提案しているため。今後もゲーミング関連のラインナップは随時拡大していく方針としています。

イケア・ジャパン広報は「東京ゲームショウへの出展を通して、ゲーム業界からの反響を聞き、今後もゲーミング家具の開発に生かしたい」とコメントしました。