テレワークで「サボる」人たち、実は「94%」が出勤していてもサボっていた…!

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企業の働き方改革を支援する株式会社クロスリバー代表・越川慎司氏が著した『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がビジネスマンに売れている。各企業の人事評価「トップ5%社員」に共通する行動習慣や思考パターンを明らかにし、その「ルール」を取り入れると、「その他95%」の一般社員も確実に成果が出るというのだが、生き残りをかけて必死なサラリーマン諸氏にとって「福音」か、それとも「耳の痛い話」か──。

「トップ5%社員」のノウハウの秘密

今回、これまで働き方改革の支援をしてきた企業各社で「トップ5%」の人事評価を得ている社員の言動を、定点カメラやICレコーダー、メールの履歴なども用いながらAIで解析して、95%の一般社員との違いを明らかにしました。業種業界を超えて、優れた成果を上げるビジネスパーソンには、共通する行動習慣や考え方のようなものがあるのではないか──という仮説を確かめたわけです。

「トップ5%」と聞くと、高学歴でIQ(知能指数)の高いトップエリートを想像するかもしれません。ところが、人事評価上でトップ5%の評価を受ける人材を調べると、意外にもIQはさほど高くなく、自分の「弱み」であっても周囲に率先して見せていくような腰の低い人が多いなど、意外な結果がたくさん出てきました。

そう聞いても、「環境や条件が違うから、トップ5%の習慣や考え方を知ったところで意味がない」と感じた人も多いかもしれません。ところが、この「トップ5%」調査によって導き出されたルールの一部を、29社の一般社員約2万人に2週間試してもらったところ、85%の人から「効果があった」というフィードバックがありました。

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天才になれなくても、上手にはなれる

とんでもない発明をしたり、世の中の仕組みを変えるようなビジネスモデルを考え出したりすることは、限られた一握りの人にしかできないことかもしれません。将棋でいえば、誰もが藤井聡太二冠のようになることは、残念ながら無理な話です。

でも、「ビジネスというゲーム」を今よりずっと上手になるための「攻略法」や「ノウハウ」はちゃんとあるのです。

各企業の人事評価「トップ5%」の行動習慣や考え方は、想像以上にシンプルなものであり、多くのビジネスパーソンにも適用でき、再現性のある「成果を出すためのルール」です。しかも、出勤しても、テレワークでも、変わらず成果を出すことができます。

では、「5%社員」は、いったいどのような行動ルールを持っていたのでしょうか。『トップ5%社員の習慣』から、データをいくつかを紹介しましょう。

目的志向で、弱みを見せることを恐れない

■98%の「5%社員」が徹底的な目的志向

「5%社員」は働いた時間よりも残した成果に焦点を当てます。資料の作成が終わって作業充実感を覚える一般社員と違い、作成した資料で契約締結や稟議承認された時に達成感を味わいます。無駄な時間を費やさずに最短距離で目標を達成できるように、時間に対してシビア。そのためか、一般社員よりも1.7倍も多く時計を見ていました。

■87%が自分の弱みを露呈する

「5%社員」は、常に他人から学ぶ姿勢でいて、人間関係の構築に力を入れています。雑談から入って相手との距離感を縮め、自分の弱みをさらけ出します。無意識に、心理学でいうところの「返報性の原理」を用いているのでしょう。まずは自分が腹を割って話すことで、相手も胸の内を明かすのです。アンケート調査では、「5%社員」で「自分の弱みを出すことに抵抗がない」と答える人は73%もいました。

「意識」ではなく「行動」を変える

■「5%社員」の85%が挑戦を実験と捉えている

「5%社員」の特徴は、行動の量と頻度の多さです。結果として自分の活躍できるフィールドを見つけています。一般社員と比べて、会話やチャットで接する人数は+89%、会議での発言頻度は+32%、オフィス内の移動距離は+22%でした。成功するにはたくさんの失敗が必要だと考え、100%完璧を目指しません。

■「5%社員」の73%が意識変革はできないと思っている

「5%社員」は計画を必要最低限にして、すぐに行動に移行します。まず実現可能性が高い定量目標を決めて、精神的なハードルを低くします。たとえば、「毎週金曜の午後3時は15分内省する」、「来週火曜までに新商品のアイディアを3つ用意する」などと、期限付きで具体的な目標を立てていました。「行動ファースト」を続けると、思いがけない結果が舞い込み、「意外とやってよかった」と意識が変わった自分に気づきます。意識変革ではなく行動変革が先なのです。

周りの人を「巻き込む」力

■「5%」社員は、一般社員の3.2倍「ありがとう」を口にする

「5%社員」は社内外の人たちを巻き込む力を持っています。サポートしてもらったら、言葉でしっかり「ありがとう」と伝えています。「5%社員」が発する感謝の頻度は、一般社員の実に3.2倍でした。とくに「トップ5%の管理職」は、部下に対して「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えることが多く、他の管理職の4.1倍以上。部下と厚い信頼でつながり、テレワーク中であっても気軽に「今ちょっといい?」と言い合える関係を構築しています。

■「5%社員」は重要度を重視、「95%社員」は緊急度を重視

95%の一般社員のうち97%は、「緊急性が高い仕事」に注力します。ただ、「緊急度は高いが重要度が低い仕事」にも手を出してしまい、時間を浪費しています。一方、「5%社員」は、緊急度が低いものの、重要度が高い仕事を行うことに注力します。それが成果を出し続けるうえでのポイントになることを知っているのです。

■「5%社員」は伝わる資料を作る

「5%社員」は凝り過ぎた資料を作りません。いきなりPowerPointを立ち上げたりせず、メモを使ってその攻め方を練っていきます。まずは手書きで戦略を練り、そして誰に、どのように行動してほしいのかシナリオを考えます。彼らは、「伝える」ことよりも「伝わること」を目指しているため、相手の頭の中に入れるべき重要なことを見極め、資料の中で視覚を通して相手に「伝わる」ようにしています。

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「サボる人はどこでもサボる」という真実

■テレワークでサボる人の94%が出勤していてもサボっていた

コロナ以前の2019年、在宅勤務を実施していた625人のPCログを解析し、匿名でアンケートも取りました。すると、5時間以上ゲームをしていたり、ずっとネットショッピングをしているなど、約14%の社員がサボっていたことが明らかになりました。

衝撃だったのは「その後」です。サボる社員を追跡調査したところ、うち94%がオフィスへ出勤しても、やはりサボっていました。サボるかサボらないかは、場所ではなく、職責と評価の問題だと再認識することができました。

一方、「5%社員」は、上司と共に行動目標を決め、テレワーク中も率先してチームメンバー全員に進捗状況を報告・共有しています。情報の透明性を保ち、進捗を示すことで不要なサボり疑惑が起こることを自然に回避しています。

このような「5%社員」が行っている「進捗の見せる化」をクライアント企業29社で実証実験したところ、一般社員でもサボる人が減少するという効果が出ました。

「現状維持」すなわち「劣化」

ここまで読んでおわかりのように、「5%社員」の行動は、実はあまりにもシンプルで当たり前のことばかりなのです。それにもかかわらず、彼らの「成果」がずば抜けているのはなぜでしょうか?

それは、実際に行動を起こし、かつそれを継続しているからです。自分でコントロールできない物事に対し、愚痴を言っても事態は何も変化しません。自分でできる範囲で少しずつ行動を起こし、現実を変え続けることが、結果として大きな成果につながるのです。

変化が激しく不確実な時代は、止まって何もしないでいると劣化していきます。ミスをしないようにじっとしていれば生き残れるほど甘くはありません。

日本でも急速に普及したテレワークは、今後、標準的な働き方のオプションとなっていきます。週休3日や副業、ジョブ型評価を推進する企業も増えていきます。一方、コロナ対策の大盤振る舞いにより、やがて税金が上がり、手取り収入は減っていくことになるでしょう。

成果を上げること、今より向上させていくことは、私たち一人ひとりが暮らしと家族を守り、生き残っていくために「避けて通れない道」です。ならば、変化にしなやかに対応し、成果を挙げてきた「5%社員」の行動に学び、大いに真似ましょう。それはきっと、あなたのビジネスパーソンとしての対応力アップに役立つはずです。

インプットするだけでは何も変わりません。本稿で紹介した「5%社員」の行動を、どれか1つでもいいので、この1週間以内に試してみてください。そして「意外と良かった」と思えたら、それはあなたが変化に対応できた証です。