シャープのX1Dにも採用された3インチフロッピー「Compact Floppy disk(CF2)」:スイートメモリーズ File021

[名称] Compact Floppy Disk、CF2
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約72mm(実測)
[容量] 180KB〜720KB
[登場年] 1982年頃〜

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「Compact Floppy disk(CF2)」は、日立製作所、松下電器産業、日立マクセルによって開発されたフロッピーディスク(FD)型のメディア。サイズが3インチ(磁気ディスクの実測は約72mm)となるやや小ぶりなものですが、磁気ヘッドで読み書きするという点は、他の多くのFDと共通です。

フォーマットはトラック数40、セクタ数9、セクタサイズ512Bで、容量は片面で180KB、両面で360KB。後にトラック数が80となる倍密度となったCF2-DDというメディアが登場し、両面で720KBまで拡張されています。

メディアの表面にはAとBという文字が刻まれており、挿し込むときの向きでどちらの面を使うかが決まります。基本的には片面ずつしか使えないという点は、ファミリーコンピュータ ディスクシステム(QD)と同じですね。

ちなみにこれは、今回紹介している「For Single Head-Drive」となるタイプの場合。これとは別に「For Double-Head Drive」となるタイプ(CF2-D、CF2-DD)があり、これを対応ドライブで使うと、裏返すことなく両面が利用できました。

左上にある赤い丸は、ライトプロテクト用のスイッチ。A、Bそれぞれの面を別に扱うことから、スイッチもそれぞれの面に用意されています。形は、FD型のメディアとしては珍しく、明らかな長方形。横幅は79.6mmと3.5インチFDより狭いですが、縦は99.5mmとむしろ長く、厚みも約5.1mmと分厚く頑丈になっています(すべて実測値)。

磁気ディスクにアクセスする窓部分が無防備のように思えますが、ちゃんと金属製のシャッターで守られています。このシャッターは3.5インチFDのように外側ではなく、ケースの内側に装備されているため、知らずに見ると空きっぱなしだと勘違いしちゃいますね。ちなみにシャッターの開け閉めは、側面にある白いパーツをスライドさせることで行います。

ドライブに挿し込む動作でシャッターが開き、取り出すときには自動で閉まるようになっているわけです。これにプラスして中央部分の隙間も狭く、3.5インチFDと比べホコリが侵入しづらそうな作りとなっている点に感心します。

とはいっても、シャッターには特にロックなどはかかっておらず、爪楊枝などで白いパーツをスライドしてしまえば開けられますけど。

試しにやってみましょう。

こんな感じにシャッターが開きます。

CF2は、海外ではAmstrad社のPCとなる「Amstrad CPC」などで採用されたほか、日本でもシャープの「X1D」(CZ-802C)、日立の「ベーシックマスターレベル3マーク5」、セガのゲームパソコンとなる「SC-3000」(の周辺機器「SF-7000」)などで採用されました。

とくにイギリス、ヨーロッパ方面ではAmstrad社が採用していたことからそれなりに利用されていたようですが、3.5インチFDがMacintoshを始め、IBM PC、MSXなど主要なPCで広く採用されたのに比べると劣勢。1991年以降はAmstrad社も3.5インチFDへと切り替え、CF2は消えていきました。

連載:スイートメモリーズ

参考:

Word Processing with Amstrad: The PCW8256/8512, Google Books
3-inch Compact Floppy disk, Museum of Obsolete Media
CF2 Compact Floppy Disc, CPCWiki
Amstrad CPC, ウィキペディア
シャープ X1D, AKIBA PC Hotline!, インプレス
SC-3000, セガハード大百科, セガ

外部サイト