11日、「共謀罪」の新設に反対する院内集会に出席する民主党の松岡徹・参議院議員(右)と、社民党党首の福島瑞穂・参議院議員(撮影:佐谷恭)

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法律に違反する行為に合意するだけで、実際には犯罪行為をしなくても処罰の対象にできる「共謀罪」の新設に反対する市民やジャーナリストらが11日、衆議院第2議員会館で院内集会(共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会主催)を開き、請願署名10万2142人分を、民主党の松岡徹・参議院議員ら国会議員に手渡した。

 共謀罪を新設する組織的犯罪処罰法などの改正法案は、03年3月に初めて政府が国会に提出して以来、継続審議を繰り返し、すでに2度廃案になっている。入管法改正案や未決拘禁法案の審議が優先されているものの、与党は今国会での成立を目指している。共謀罪に関する国会での審議は、今月末かゴールデンウィーク明けに始まると予想されている。

 市民団体や日本弁護士連合会などは同罪の新設に反対し、今年になって同様の反対集会を相次いで開催。日弁連は、法律に違反する行為を話し合うことと実際に犯罪行為に及ぶことは全く別だとし、思想に対する処罰にあたるのではないかと指摘している。また、これまでの国会審議でも、規定があいまいで犯罪目的の団体かどうかの判断が警察に委ねられるため、恣意的捜査のおそれがあるとの議論もあった。

 同集会に出席した松岡議員は「与党側は1日も早く審議をしたがっている。悪法を導入するときには必ず、公共の秩序であるかのような諫言(かんげん)を持って提案してくるのが世の常だが、共謀罪もそうだ。私たちの国民社会が大きく様変わりし、戦前の治安体制のような社会に戻ってしまうのではないかと危惧(きぐ)する」と話した。

 社民党の保坂展人・衆議院議員は「署名の厚みを受け止めて、共謀罪廃案に向けて頑張りたい。反対の世論は次第に広がりを見せているが、まだまだ認知度が低く、『凶暴な人間は捕まえなければ』と思う人もいる。細かな内容が伝われば、相当議論を呼ぶに違いない。街頭でも声を上げる必要がある」と語った。【了】

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