台湾のメディアでは「武漢肺炎」という名称が定着している。一方、中国では新型コロナウイルスを「武漢肺炎」と呼ぶことに反対している。(イメージ写真提供:123RF)

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 台湾での新型コロナウイルスの呼び方について議論が生じている。現在、台湾のメディアでは「武漢肺炎」という名称が定着している。一方、中国では新型コロナウイルスを「武漢肺炎」と呼ぶことに反対している。特定の地名を使った呼び方が定着すると、ある場所や国に対し悪感情が生まれる可能性があると感じているからだ。

 では、世界的に見るとどうだろうか。世界保健機関(WHO)により新型コロナウイルス(COVID−2019)と命名され世界的にもその表現が用いられている。WHOが2015年5月に新しい感染症の命名に関するガイドラインを発表し、差別や偏見を避けるため、特定の地名などを結びつけないと定めているためだ。しかし、台湾は今でも「武漢肺炎」という表現を使用している。

 なぜ台湾人は「武漢肺炎」という表現を使用しているのだろうか? この名称はもともと台湾伝染病センターで使われ始めその後メディアもその呼称に準じるようになった。その後WHOにより新型コロナウイルス(COVID−2019)との命名された後も、台湾では引き続き「武漢肺炎」との名称がメディアで使われている。

 「中時電子報」が4日に発表した社説では、「台湾政府は大陸と台湾間の経済問題だけでなく憎しみを増加させ、大陸にいる台湾人にまでその影響が広がっていると」と指摘している。さらに「新型コロナウイルスに対して政治的な見方をせず、専門性の見方を中心に考えるべきだ」と忠告している。危険に面する状況では情報を共有し、協力し合う必要がある。こうした状況に乗じて反中感情を悪化させ、台湾人の心の中に中国への憎悪が根付くように仕向けるべきではない、と厳しく非難している。

 今回の新型コロナウイルスへの対応が迅速で的確と世界的にも高い評価を受けている台湾だが、世界的な危機に面する状況では国の垣根を超えた協力が必要なのは言うまでもない。(編集担当:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)