武漢市に進出する日本企業の業種別と、細分類別の上位

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 帝国データバンクが保有する企業データから、工場や駐在所、関係会社の設立などを通じて中国・「武漢市」に進出する企業を集計したところ199社に上ることが判明した。

 湖北省全体で見ると、進出する日本企業は229社に上る。中国全体で約1万4千社の進出企業があるなか、湖北省に約2%が集積している計算となる。また、湖北省に進出する日本企業のうち8割超が武漢市に集中した。武漢市以外には、鄂州市や襄陽市、荊州市などが進出先としている。

 武漢市に進出する企業のうち、業種別で最も多いのは「製造業」の92社(構成比46.2%)。次いで「卸売業」(38社、同19.1%)、「サービス業」(28社、同14.1%)などが多くを占める。また、飲食店などで武漢市内に店舗を有する「小売業」(13社、同6.5%)などもあった。

 武漢市に進出する企業のうち、業種別で最も多いのは「製造業」の92社(構成比46.2%)。次いで「卸売業」(38社、同19.1%)、「サービス業」(28社、同14.1%)などが多くを占める。また、飲食店などで武漢市内に店舗を有する「小売業」(13社、同6.5%)などもあった。

 業種をより細かく分類した細分類別では、「自動車部分品等製造」が23社(構成比11.6%)で最も多い。次いで「受託開発ソフトウェア業」(8社、同4.0%)、持株会社などの「投資業」、「自動車駆動等装置製造」(7社、同3.5%)、「金属プレス製品製造」(6社、同3.0%)などが多くを占める。武漢市は中国有数の自動車工業都市であることから、自動車生産に関連する業種が上位を占めている。

 都道府県別では、「東京都」が最も多く82社(構成比41.2%)で最多。以下「大阪府」(28社、同14.1%)、「神奈川県」(16社、同8.0%)、「愛知県」(13社、同6.5%)など。総じて大都市圏に集中しているが、「長野県」や「静岡県」、「広島県」など製造業が多く集積する県でも多くみられる。

感染拡大で中国での操業停止、輸出入制限も懸念 最大4000社超に影響及ぶ可能性も

 湖北省・武漢市を震源に新型のコロナウイルスの感染が拡大するなか、政府は29日午前にもチャーター機により、帰国を希望する中国在留邦人全員を帰国させる。既に大手自動車メーカーのホンダ(東京・港)や、武漢に自動車用シートパッドタイヤ製造の工場を有するブリヂストン(東京・中央)などをはじめ、武漢市に拠点を構える企業を中心に駐在社員や家族の帰国等に向けた対応を急ぐ動きが相次いでいる。

 武漢市をはじめ中国国内での営業休止といった動きも広がる。大型温浴施設の運営を手掛ける極楽湯HD(東京・千代田)は、武漢や上海などFC店を含めた8店舗の臨時休業を決めた。

 中国国内は春節の大型連休中であり、工場や店舗の営業停止による影響は限定的とされている。ただ、春節以降も感染拡大が続く場合、引き続き中国国内で営業や操業再開ができるかは不透明感が強い。そのため、武漢市へ進出する企業だけでなく、中国で事業を展開する幅広い企業に大きな影響を与える可能性は高い。

 また、新型肺炎の感染動向によっては中国本土から「モノ」の移動が制限される事態も考えられ、湖北省や中国全土に進出していない日本企業でも広く影響が懸念される。帝国データバンクの調べでは、輸出先が判明している日本企業約1万2千社のうち、中国を輸出先とする割合は3割超に上っている。かつて2002年11月に中国・広東省から広まったSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行時には、検閲強化による輸出入量の減少や納期の遅れなどが発生したことで業績に大きなダメージを受け、最終的に経営破綻につながった中小企業も多かった。そのため、新型肺炎と日本企業の対中国ビジネスへの動向には細心の注意が求められる。