ソフトバンク・柳田悠岐

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◆ 坂本勇人がリーグMVPに

 2020年、新たな時代の幕開け──。新シーズンの到来に向けて、このオフも様々な動きが見られた。

 近年の日本野球界を牽引する“世代”といえば、「史上最強」の呼び声も高い「1988年組」が有名なところ。昨季も巨人・坂本勇人がセ・リーグMVPに輝いているように、30歳を超えた今、もっとも脂が乗った充実期を迎えている選手が多い。

 10年以上のキャリアを積んだ高卒組に続き、大卒組も2020年がプロ10年目のシーズンに。これだけの時間が経てば、さらなる夢を追いかける者や、新たな挑戦に向かう者、もしくは背水の覚悟で新年を迎える者や、そしてユニフォームを脱ぐ決断を下す者など、様々な立場の人間が出てくる。

 今回はそんな「1988年組」の今オフの動きに注目した。

◆ 3人目のメジャーリーガー誕生へ

 まずは、「さらなる夢を追いかける者」から。

 この世代では田中将大と前田健太という2名が高卒でプロ入りした後、輝かしい実績を残してメジャーリーグへ挑戦。今なお第一線で戦いを続けている。

 そんな中、新たにメジャー挑戦の夢を掲げたのがロッテの石川歩だ。田中や前田と違い、大学・社会人を経てプロ入りした石川はまだプロ6年目。海外FA権を取得するのは順調に行っても2023年シーズン中となっており、もしそのオフの挑戦となれば、移籍が叶ったとしても“36歳のルーキー”ということになる。

 具体的な時期や方法などについては明言をせず、「まずは日本で活躍して」と語る右腕。「いつになるかは分からない」とは言ったものの、当然ながら行くなら早いに越したことはない。今季からの1年1年が勝負になってくる。

 また、その石川に先駆けてアメリカでの挑戦権を掴んだのが西武の秋山翔吾。今オフに海外FA権を行使して、シンシナティ・レッズと契約合意に至ったことが報じられている。

 田中、前田につづくこの世代から3人目のメジャーリーガー誕生へ。野手としては初ともなるだけに、これからの挑戦から目が離せない。

◆ 移籍した福田、残留した會澤

 一方、メジャーを目指すことなく、日本で戦っていくことを選んだ選手もなかにはいる。

 例えば、上で先に登場している坂本勇人は複数年の大型契約を結んでいることが明らかとなり、ソフトバンクの柳田悠岐は今オフ新たに7年契約を結んだことが話題に。これからもプロのキャリアをスタートさせた愛するチームを牽引していく。

 FA組では、ソフトバンクの福田秀平がロッテへの移籍を決断。12球団屈指の戦力を誇るチームのなかにあって、スーパーサブやここ一番での切り札的な役割がメインだったが、新天地では不動のレギュラーとしての活躍に期待がかかる。

 対して、広島の曾澤翼は広島残留を選択。“打てる捕手”という稀少性からFA宣言すれば争奪戦も予想されていたが、早々に決断を下し、オフには侍ジャパンの正捕手として『プレミア12』の優勝に大きく貢献。五輪イヤーを前に、稲葉篤紀監督への猛烈なアピールに成功した。

 

◆ 新たなステージへ…

 最後に、プロという世界は甘くない。上記のように結果を残している選手たちばかりではなく、昨年限りでユニフォームを脱いだ選手もいる。

 そのひとりが、かつてドラフト会議で6球団が1位競合した大石達也。見るものすべてに夢を抱かせる剛速球を持ち、プロの舞台でも活躍が期待されたが、度重なるケガに苦しめられて思うような結果を残すことができず。9年の戦いを終えた今オフに自由契約となり、現役引退を決断した。

 

 なお、今年から球団の育成グループのスタッフへ転身することが決まっており、勉強のためにアメリカへ派遣されることも発表されている。奇しくも同期入団の秋山とともに海を渡ることになった。

 ひと口に「黄金世代」と言っても、このように立場は様々。ここで取り上げたほかにも、これからレギュラー奪取を目指す者がいれば、復活が待たれる者もおり、注目すべき選手は枚挙に暇がない。

 平成から令和へ、2019年から2020年へ…。時代は移り変わろうとも、球界を牽引する「1988年組」から目が離せない。

◆ 1988年生まれ世代の選手たち

※2020年シーズンMLB/NPB所属

【MLB】

田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)

前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)

秋山翔吾(シンシナティ・レッズ)

【NPB】

<西武>

増田達至

木村文紀

森越祐人

高橋朋己 ※育成契約

<ソフトバンク>

柳田悠岐

<楽天>

下水流昂

塩見貴洋

福山博之 ※育成契約

<日本ハム>

吉川光夫

斎藤佑樹

秋吉 亮

<ロッテ>

石川 歩

松永昂大

大嶺祐太 ※育成契約

南 昌輝

福田秀平

<巨人>

澤村拓一

坂本勇人

<DeNA>

梶谷隆幸

宮粼敏郎

<阪神>

荒木郁也

<広島>

會澤 翼

中村恭平

<中日>

福田永将

堂上直倫

大野雄大

遠藤一星

<ヤクルト>

山田大樹

石山泰稚

藤井亮太

上田剛史

※「1988年組」=1988年4月2日〜1989年4月1日生まれの選手たち