100%植物性原料なのに肉の味や風味、食感を分子レベルで解析して再現した人工肉/代替肉がアメリカのスーパーマーケットに並ぶようになっています。マクドナルドやケンタッキーも注目し、人工肉を使った新メニューを開発しているとのことで、最新科学が集結した人工肉は一体実物はどんな仕上がりなのか、購入して焼いて食べてみました。

Beyond Meat - The Future of Protein™

https://www.beyondmeat.com/

Home - Impossible Foods

https://impossiblefoods.com/

ということで左が「Impossible Burger」で右が「Beyond Burger」。いずれも100%植物原料の人工肉ですが、異なったメーカーの製品です。



全長123.8mmのiPhone SEと比較するとこのくらいの大きさ。Impossible Burgerは鮮やかな赤色ですが、パッケージの窓から見えるBeyond Burgerはくすんだ茶色であることがわかります。



Impossible Burgerは1袋あたりの内容量が340gで、1人前(113g)あたり19gのタンパク質を含みます。



厚みは1.5cmほど。



背面の栄養情報を確認してみると、113gあたりのカロリーは240kcalで、脂肪が14g、炭水化物が9gで、コレステロールはゼロ。



主な原材料は水、濃縮大豆プロテイン、ココナッツオイル、ナチュラルフレーバー。全体の2%以下の材料としてじゃがいもプロテイン、メチルセルロース、フードスターチ、塩、グルコン酸亜鉛、チアミンなどが含まれます。



開封してみるとこんな感じ。一見するとミンチのようですが……



ミンチよりも水気が多くねっとりしています。



生肉の生臭さなどは特にありませんが、シーチキンのような、肉の代わりに食べられる菌類「マイコプロテイン」のような、独特の匂いがあります。



非加熱の状態のImpossible Burgerは以下のムービーからも確認できます。

生の「Impossible Burger」はこんな感じ - YouTube

続いてBeyond Burgerを見ていきます。



栄養情報を確認したところ、113gあたりのカロリーは250kcalで、タンパク質量は20g、脂肪は18g、コレステロールはゼロで、炭水化物は3gとなっています。



Impossible Burgerは大豆プロテインが主原料でしたが、Beyond Burgerの主原料はエンドウ豆。水、圧縮キャノーラ油、精製ココナッツオイル、米プロテイン、ナチュラルフレーバー、ココアバター、ムング豆プロテイン、メチルセルロース、ポテトスターチ、リンゴ抽出液、塩、酢、レモン濃縮液、ビーツパウダーが含まれており、Impossible Burgerとは原料がかなり違います。



開封したところ。



これもかなり水気が多め。Impossible Burgerと同様に白い粒が入っていますが、これは冷えて固まったココナッツオイルのようです。



実際に牛と豚のあいびき肉を使ったハンバーグの種も作ってみたので、3種類を比較してみました。一番上があいびき肉、左がImpossible Burger、右がBeyond Burgerです。生の状態の見た目の近さはImpossible Burgerの方が上。



実際に焼いてみます。2つの人工肉は加熱時間が異なり、Impossible Burgerは「両面で6分」、Beyond Burgerが「片面3分」とのこと。



人工肉を焼いてひっくり返すところは以下から確認可能。じゅわじゅわ〜と本物のお肉を焼いているかのように脂があふれ、肉の香ばしい匂いすら感じました。

人工肉「Impossible Burger」と「Beyond Burger」を焼いているところ - YouTube

いずれのハンバーグも本物の肉のように色が変化しています。



Impossible Burgerにいたっては肉の表面に肉汁のように赤い液体が浮かんできました。



ということで焼き上がり。まずはImpossible Burgerから食べてみます。



表面は焦げてカリッとした質感。はしで押さえると、脂がじゅわじゅわ〜っと浮かんできます。



「はしでスッと切れる」というほどには柔らかくありませんが、脂身の少ないお肉のような感じといえば、その通りかも。



焼きたてを食べてみたところ、肉ではないはずなのになぜか肉の香ばしさがあり、食感も脂身の少ない肉そのもの。「某ハンバーガーチェーンのパティの上位互換」というコメントが出たほどに肉らしさがあり、知らずに食べたら人工肉だと気づかない仕上がりです。



さらに、Beyond Burgerの方も食べてみます。



同じ人工肉ですがImpossible Burgerとは味も食感もかなり違います。Beyond Burgerは豆の形が残っており、弾力も強いので、より粗びき肉に近い仕上がりといえます。味も違いが大きく、「Beyond Burgerの方が肉の旨みや香りが強い」という声もありましたが、「Impossible Burgerの方がつなぎ少なめのこだわりハンバーグっぽい」という声も。好みはImpossible Burger派とBeyond Burger派とで分かれましたが、どちらも別の方向性で「肉」を再現しています。



なお、同じ120gでハンバーグを2つ成形してみたところ、焼く前と焼いた後でサイズはほぼ同じ。牛肉のハンバーグのように焼いた後に縮んでしまうことはありませんでした。



Impossible BurgerとBeyond Burgerの断面を比較すると以下のような感じ。



これがImpossible Burgerで……



こっちがBeyond Burger。



なお、牛肉を使ったスタンダードなハンバーグも焼いてみたところ……



断面はかなりImpossible Burgerに近いことがわかりました。



いずれの人工肉も単体でしっかり味わって食べると、食べ進めるごとに少し違和感が出てきますが、バンズに挟みハンバーガーにするなどして具材として使うと、本物の肉とほとんど違いはありません。Impossible BurgerもBeyond Burgerも、アメリカではスーパーマケットで販売されるようになっています。特にImpossible Burgerは2019年10月からGelson's Marketsというスーパーマーケットで扱われだしたところ。お店に行ってみるとヴィーガン/ベジタリアンコーナーがあり……



ここでBeyond Burgerが6.99ドル(約760円)、Impossible Burgerが8.99ドル(約980円)で販売されていました。