主力顧客であるトヨタ自動車は、配車サービスやシェアカーを見据えた高効率保守サービスに乗り出している

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 「あすの会見で、事業規模を3年で倍にすると宣言してもいいか?」。アイシン精機社長就任直後の伊勢清貴に声を掛けられた、専務役員でアフターマーケットバーチャルカンパニー(VC)プレジデントの立松敬朗は、自信を含んだ声でこう答えた。「どうぞ!」。事業の成長性に対する確信と「大手競合メーカーと同規模の事業にしたい」という強い思いが込められていた。

手を出せない
 2018年8月、アイシンは新たなVCを設立した。補修部品や市販品の販売を手がけるアフターマーケットVCだ。同社は多数のグループ会社を抱えるが、実はアフター事業を手がけるのは主にアイシンとアドヴィックス(愛知県刈谷市)、アート金属工業(長野県上田市)の3社。新規商材の拡充でグループ会社と連携したくても、担当者を探す所から始めなければならなかった。シェア首位を誇るアイシン・エィ・ダブリュの自動変速機などに需要があることは分かっていたが、手を出せない。立松は「機会損失が多い」と感じていた。

 グループをまとめる同VCの効果は抜群だった。「この製品は売れないか」「あの部品も検討してほしい」―。各社から活発な提案が上がってきた。「グループ会社に認知できたことはとても大きい」。立松はアフター事業に対する期待を実感する。現在はパワートレーンやブレーキなど事業領域ごとにワーキンググループを作り、担当者を決めている。「VC前は人選だけで何週間もかかっていた。スピードは何倍にも上がっている」(立松)。アイシンとアドヴィックスの商品企画や販路の統合も検討している。

動ける体制も
 拠点整備も進む。フィリピンやミャンマー、パキスタンなどで拠点を新設。22日にはタイの車部品販売会社と資本業務提携を結んだ。「これまで1年たってもできなかったようなことが、2―3カ月でできる」(立松)。今後は南米の東方地域の強化が大きなテーマの一つ。立松は「商品や地域の課題が明確になり、すぐに動ける体制もできている」と、地域攻略の加速に力を込める。

 今や部品やサービス販売で継続的に収益を稼ぐビジネスモデルが主流になりつつある。立松は「大手競合は後から収益を回収する考え方を前提に、幅広い品ぞろえやサービス、各地域に根付いた販路を持つ。早く追いつきたい」と意気込む。シェアリングが普及した世界でのアフターサービスのあり方や商品開発、販売方法の検討も課題だ。アイシングループで新たなビジネスの柱が動き始めた。(敬称略)