広がる「健康経営」に投資家が注目する理由
16社が初の選定
「当社は5年連続で健康経営銘柄に選ばれました」。2019年2月下旬の発表当日、花王はこんなプレスリリースを発表した。
花王やTOTO、テルモのように連続して健康経営銘柄に選定される、常連企業がある一方で、今回は日本水産やJXTGグループ、オムロンなど16社が初の選定となった。
状況は様変わり
「隔世の感があります」。こう話すのは、日本における「健康経営」の提唱者で商標登録者でもあるNPO法人「健康経営研究会」の岡田邦夫理事長。10年前ほどはセミナーの参加者確保にさえ苦労したというが、今や状況は一変。銘柄の選定材料となる「健康経営度調査」への回答企業数は急増し、過去最多を更新し続け、すそ野は着実に広がっている。学生の間でも、健康経営に力を入れる企業は働き方改革に前向きで、安心して勤められる企業とのイメージが定着しつつあり、就職先選びの判断材料のひとつとなっている。
収益性との関係も明らかに
少子高齢化に伴い、増え続ける社会保障の抑制や労働力不足への対応。健康経営はこうした社会的要請に企業としてどう応えるかを示すものである。一方、投資家は中長期的な成長力の観点から着目している。レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長は、競争力の源泉である従業員とどう向き合おうとしているのか、「健康経営は企業側が発する重要なメッセージ」と受け止めている。
健康経営と企業業績や収益性の関連性も明らかになってきた。三菱UFJモルガンスタンレー証券の調査によると、健康経営銘柄は価格変動比率(ボラティリティ)が低く、純資産より純利益での株価対比の割安度が高いという。
